2007年7月19日木曜日

Fillmore Slim / The Legend of Fillmore Slim


『Fillmore Slim / The Legend of Fillmore Slim』 (Mountain Top CD-MTP777)
1) Legend of Fillmore Slim
2) Trapped by the Devil
3) Nosey Woman
4) Love for the Third Time
5) Hey Little Brother
6) Watch Yo'self
7) Jack You Up
8) My Friend Blue
9) Vegetable Man Intro
10) Vegetable Man
11) She Don't Love Me
12) Blues from the Heart
13) Tired of My Old Lady
14) Legend of Fillmore Slim Intro

フィルモア・スリムは34年ニューオリンズで生まれ、現在ウェストコーストで活躍しているシンガー&ギタリスト。55年頃からロスで活動し始め、59年に録音もしてるようですが、聴いた事はないです。初アルバムはクラレンス"ギター"シムズ名義で、87年に出された「Born to Sing The Blues」。99年にMountain TopからCD化されたものを初めて聴いた訳でして、一発で気に入りそれからのファンです。少々繊細でハイトーンの歌声は好みが分かれる所ですが、エモーショナルでソウルフルな歌い回しをし、僕は結構好きです。ギターはあまりチョーキングを多用しない無骨なタイプ。当時はレスポールタイプのギターを使用しており、微妙に歪みサスティーンの効いた音はとても気持ち良くて、フレージングも良いので、なかなか聴かせてくれます。しかし、最近は歌に専念して、あまりギターを弾いてくれないので少々寂しいですね。

今回の新作でも8)と11)でギターを披露してますが、殆ど歌に専念してます。いつもの特徴のある歌声は健在で、73歳とは思えないほど張りがあり上手いですね。感服させられます。ギターは今や無くてはならない存在となったフランク・ゴールドワッサーが全面的に参加し、ハーモニカではリック・エストリンが渋く華を添えてます。そしてもう一人、ギタリストのジョー・ルイス・ウォーカーが参加してますが、重低心のファンク・ブルース3)ではド派手に弾き倒してくれてます。カッコいい曲ですね。シャッフルの6)やエルモア調の3連スライドが入る13)もなかなかカッコいいし、ラップを取り入れたスローの5)や語りが入った11)も相変わらず遊び心があって面白い。そして、何と言ってもナイスなのが12)。この曲は尊敬するギタリストを偲んで作られた曲のようで、歌詞の中にギタリストの名前が次から次に出てきて、それに答えるかごとく透かさず、フランク・ゴールドワッサーがギターでそのフレーズを真似る。T-ボーン・ウォーカー、ジョニー・ギター・ワトソン、BBキング、アルバート・キング、アルバート・コリンズ、フレディ・キング。これがとても似てるし的を突いてるので思わずニヤリ。ほんと器用ですね。前半はスローに粛々と進むのですが、後半のソロ以降、ジョー・ルイス・ウォーカーが「これでもか」という位熱く弾きまくってます。やり過ぎだろって思うのですが、まー、いいやね。

2007年6月13日水曜日

V.A. / Blues Harp Diggers ~ Best Of Big Walter Horton


『V.A. / Blues Harp Diggers ~ Best Of Big Walter Horton』 (P-Vine PCD-23954)
1) JOHNNY SHINES / Evening Sun
2) SHAKEY "BIG WALTER" HORTON / Have A Good Time
3) BIG WALTER HORTON / Jumpin' Blues
4) BIG WALTER HORTON / Hard-Hearted Woman
5) JESSE FORTUNE / Too Many Cooks
6) BIG WALTER HORTON / Cotton Patch Hot Foot
7) BIG WALTER HORTON / I'm In Love With You baby (Walter's Blues) [take 1]
8) BIG WALTER HORTON / What's The Matter With You [take 1]
9) ARBEE STIDHAM feat. SHAKEY "BIG WALTER" HORTON / When I Find My Baby
10) GEORGE "WILD CHILD" BUTLER / Open Up Baby
11) BIG WALTER HORTON / Black Gal
12) BIG WALTER HORTON / Blues In The Morning
13) BIG WALTER HORTON / Little Boy Blue [take 2]
14) SHAKEY "BIG WALTER" HORTON / Need My Baby
15) BIG WALTER HORTON / Hard Hearted Woman
16) BIG WALTER HORTON / Now Tell Me Baby [take 2]
17) BIG WALTER HORTON / Back Home To Mama
18) TOMMY BROWN feat.BIG WALTER HORTON / Southern Women
19) SUNNYLAND SLIM feat.BIG WALTER HORTON / Highway 61
20) BIG WALTER HORTON with CAREY BELL / Trouble In Mind

P-Vineのブルース・ハーモニカのコンピ・シリーズは、全部で5枚リリースされるそうですが、こちらもその中の1枚で、ビッグ・ウォルター・ホートンの名演集となってます。

のっけからジョニー・シャインズの53年JOBセッションに客演した時の曲とは、こりゃまた粋ですね。イントロのアンプリファイド・ハープのこの音。切れの良さといいアタックの強さといい、何度聴いても惚れ惚れしてしまいますよね。どっちがメインか分かんない位吹きまくってて最高です。

2)や14)は56年のコブラ録音。コブラといえばオーティス・ラッシュが超有名で、「I Can't Quit You Baby」ではホートンがハーモニカを吹いていたが、ホートンの曲ではラッシュがギターを弾いてます。ウイリー・ディクソンが絡んでるだけあって、R&B的な感覚のモダンな作りで新しさを感じます。ハロルド・アシュビーのサックスとホートンの太いハープ。この絡みは本当にたまらんですね。

3)や6)~8)、11)~14)は51年、メンフィスでのモダン・RPM録音。この頃はまだ生ハープなのですが、音の太さは本当に凄いですね。それと、ハンド・ヴィブラートを使った奏法は、当時のあだ名"MUMBLES"からも分るように、もごもごとした吹き方もホートンの特徴的はものです。18番の「Little Boy Blue」はやっぱシビレます。

4)、17)の54年ステイツ録音も傑作なんですよね。
5)や9)、10)、18)、19)といったサポート側に回った時でも名演奏は多く、その存在感に圧倒されます。19)のサニーランド・スリムの56年コブラ・セッションに、共に参加しているジミー・ロジャースの「Walking By Myself」、この曲でもホートンがハーモニカを吹いてるのはご承知の通りで、僕はこの曲でビッグ・ウォルター・ホートンを初めて聴いたのですが、その繊細かつ豪快なブローは凄まじく、一発で惚れ込んでしまったのです。

これだけの巨人でありながら性分が災いしてか、自己名義の録音にあまり恵まれず、晩年までマックスウェル・ストリートで演奏し続けていたそうです。感慨深いものがありますね。そんなウォルター・ホートンのありそうでなかった究極のベスト盤。チェスの一連のベスト盤に匹敵するくらいの内容で、マスト・アイテムになること間違いなし、と思います。