『Fillmore Slim / The Legend of Fillmore Slim』 (Mountain Top CD-MTP777)
1) Legend of Fillmore Slim
2) Trapped by the Devil
3) Nosey Woman
4) Love for the Third Time
5) Hey Little Brother
6) Watch Yo'self
7) Jack You Up
8) My Friend Blue
9) Vegetable Man Intro
10) Vegetable Man
11) She Don't Love Me
12) Blues from the Heart
13) Tired of My Old Lady
14) Legend of Fillmore Slim Intro
フィルモア・スリムは34年ニューオリンズで生まれ、現在ウェストコーストで活躍しているシンガー&ギタリスト。55年頃からロスで活動し始め、59年に録音もしてるようですが、聴いた事はないです。初アルバムはクラレンス"ギター"シムズ名義で、87年に出された「Born to Sing The Blues」。99年にMountain TopからCD化されたものを初めて聴いた訳でして、一発で気に入りそれからのファンです。少々繊細でハイトーンの歌声は好みが分かれる所ですが、エモーショナルでソウルフルな歌い回しをし、僕は結構好きです。ギターはあまりチョーキングを多用しない無骨なタイプ。当時はレスポールタイプのギターを使用しており、微妙に歪みサスティーンの効いた音はとても気持ち良くて、フレージングも良いので、なかなか聴かせてくれます。しかし、最近は歌に専念して、あまりギターを弾いてくれないので少々寂しいですね。
今回の新作でも8)と11)でギターを披露してますが、殆ど歌に専念してます。いつもの特徴のある歌声は健在で、73歳とは思えないほど張りがあり上手いですね。感服させられます。ギターは今や無くてはならない存在となったフランク・ゴールドワッサーが全面的に参加し、ハーモニカではリック・エストリンが渋く華を添えてます。そしてもう一人、ギタリストのジョー・ルイス・ウォーカーが参加してますが、重低心のファンク・ブルース3)ではド派手に弾き倒してくれてます。カッコいい曲ですね。シャッフルの6)やエルモア調の3連スライドが入る13)もなかなかカッコいいし、ラップを取り入れたスローの5)や語りが入った11)も相変わらず遊び心があって面白い。そして、何と言ってもナイスなのが12)。この曲は尊敬するギタリストを偲んで作られた曲のようで、歌詞の中にギタリストの名前が次から次に出てきて、それに答えるかごとく透かさず、フランク・ゴールドワッサーがギターでそのフレーズを真似る。T-ボーン・ウォーカー、ジョニー・ギター・ワトソン、BBキング、アルバート・キング、アルバート・コリンズ、フレディ・キング。これがとても似てるし的を突いてるので思わずニヤリ。ほんと器用ですね。前半はスローに粛々と進むのですが、後半のソロ以降、ジョー・ルイス・ウォーカーが「これでもか」という位熱く弾きまくってます。やり過ぎだろって思うのですが、まー、いいやね。