2007年11月28日水曜日

V.A. / Blues Harp Diggers ~ Harmonica Samurai


『V.A. / Blues Harp Diggers ~ Harmonica Samurai』 (P-Vine PCD-23965)
1) 松田幸一 / New Block and Tackle Blues
2) 西村ヒロ / Set You Free
3) WABI / You Got Me
4) THE BLUES POWER / Got My Mojo Workin'
5) KOTEZ & YANCY / I Want You By My Side
6) パリャーソ / ちからのいっぷく
7) 石川二三夫 / Is You Is Or Is You Ain't My Baby
8) JUNGLE HOP / Drinkin' Wine
9) TETSUYA NAKAMURA & JAMES WALDMAN / The Livin' End
10) 入道 / Lone Star
11) BLUES HOUSE BLUES BAND / Checkin' Up On My Baby
12) ROLLER COASTER / Key To The Highway
13) ROLLER COASTER / Honest I Do
14) WEEPING HARP SENOH / I'm Going Back Home ~ Oh Baby You Don't Have To Go
15) BLUE BEAT BOX / In My Side
16) KOTEZ /Walter's Boogie

日本人ハーピストといえば、石川二三夫さんか妹尾隆一郎さんかってところでしょうが、実際あまりよく知らない。だから、一度にこれだけの人を聴けるとは良い企画だ。

僕のお薦めは、(3)と(9)。
WABIこと湯口誠司さんはシカゴ在住で、日本人唯一の米ホーナー社認定ハーピスト。ヴィンテージなシカゴ・サウンドですが、ポテンシャルの高い演奏です。オリジナル曲も上手く作るから、あとは個性が出てきたら面白くなると思います。

仲村哲也さんはWARのメンバーで、リー・オスカーの後釜として加入したハーピストです。いろんなバンドを掛け持ちするなど、ロサンゼルス界隈では引っ張りだこだそうですね。(9)はギタリストのJAMES WALDMANとのデュオによるアルバム「Down By The Riverside」の中からの一曲。ハーモニカとギターだけの素朴なカントリー・ブルースだけど、郷愁を感じるサウンドに引き込まれてしまいます。来日公演を見逃してしまったのは、今でも悔やんでます。

2007年11月27日火曜日

V.A. / Blues Harp Diggers ~ Groovy Instrumentals


『V.A. / Blues Harp Diggers ~ Groovy Instrumentals』 (P-Vine PCD-23964)
1) The Billy Gibson Band / Hip Hug-Her
2) Junior Wells / Cha Cha Cha In Blue
3) Jerry McCain / 728 Texas (Where The Action Is)
4) Buster Brown / The Madison Shuffle
5) The James Harman Band / Wake Up Call
6) Raful Neal / Blues On The Moon
7) Frank Frost / Harp And Soul
8) George Smith / Blues In The Dark
9) B.Brown And His Rockin' McVouts / Candied Yams
10) Jerry McCain / Midnight Beat
11) Frank Frost / Harpin' On It
12) Louis Myers / Just Whaling
13) Big John Wrencher / Back Porch Boogie
14) George "Wild Child" Butler / The Best Of Wild Child
15) Junior Wells / Chitlin Con Carne
16) Johnny Dyer featuring Rick Holmstrom / BBQ At J.D.'s
17) Rod Piazza & The Mighty Flyers / The Toddle
18) Ronnie Earl & The Broadcasters / Jerry Jumps In
19) Carey Bell / Easy
20) Bernard McGee / California Breeze (Instrumental)

ニューオーリンズ特集も一段落ついたところで、またブルースをぼちぼちやって行こうかなと思います。

今日は、シリーズ第4弾の「ブルース・ハープ・ディガーズ~グルーヴィ・インストルメンタル」です。有名も無名も地域性もお構いなしに、ハープメインのインスト曲をどっさり詰め込んだコンピ。ハープ好きもファンキー・ブルース好きもど真ん中のサウンドで、たっぷり楽しめますね。

一曲目のビリー・ギブソンという人は、メンフィスの白人ハーピストのようです。2006年の録音ということは、まだ若い人なんでしょうか? 生ハープとアンプリファイドを交互に吹き分けるのは面白いですね。バンドのノリもいいし、迫力があってカッコいいです。

(9)のB.BrownはB.Daniel Brownというそうだが、ハウリン・ウルフをモダンにしたようなサウンドからすると、やはりメンフィス辺りの人でしょうかね。骨太のハープ好きですね。Bernard McGeeは「ファンキー・ハーモニカ」にも収録されてたサザン・ソウルのハーピスト。滑らかで透き通るハープの音も気持ちいいです。
しかし、やっぱキャリー・ベルのクロマチックはたまりませんな。

2007年11月25日日曜日

Ingrid Lucia & The Flying Neutrinos / Don't Stop


『Ingrid Lucia & The Flying Neutrinos / Don't Stop』 (Ingrid Lucia ILCD 2007)
1) A Place In The Sun
2) New Orleans
3) Mind Your Own Business
4) If I Could Be With You (One Hour Tonight)
5) There'll Be Some Changes Made
6) Hometown Blues
7) Big Long Slidin' Thing
8) Margie
9) Getting Some Fun Out Of Life
10) Do You Know What It Means To Miss New Orleans?
11) Down Home
12) Why Don't You Go Down To New Orleans?
13) It's A Long Lonely Highway

イングリッド・ルシアはニューオーリンズで活躍しているジャズ・シンガーです。
4年位前、「The Hotel Child」というアルバムを初めて聴いて、一発で気に入って、その時既に発売されてたアルバムは全て買い集めたほど惚れ込んでしまったです。

ビリー・ホリディをずっとキュートにしたような、コケティッシュな妖艶さで、30年代頃のニューオーリンズ・ジャズをノスタルジックに歌います。それは、ネオ・スウィングともレトロ・スウィングとも形容できるわけでして、あ~流行だからね、とか言われそうだけど。

イングリッドは音楽一座の中で生まれ育ち、旅から旅へと演奏活動を続け、既に8歳の時にはステージに立ち歌を歌ってたそうである。筋金入りのシンガーだったんですね。しっかりしたジャズを歌えるのも、なるほどという感じです。

さて、この「Don't Stop」というアルバムは、今年発売された新譜です。前作の「Almost Blue」ではクールなジャズに寄り添ったアルバムでした。出来も良かったので、更に突き詰めて行くのかなと思われたが、なんとレトロ・スウィング路線に戻って来ました。これではっきりしました。イングリッド・ルシア単独名義の時はジャズで、フライング・ニュートリノスが絡むとレトロ・スウィングでという事なのでしょう。
まずは、パーソナル・ラインナップから紹介しましと、

Ingrid Lucia - vocals
Duke Heitger - trumpet, vocals #4
Craig Klein - trombone, vocals #8
John Fohl - guitar
Bert Cotton - guitar
Gerald French - drums, vocals #12
Jesse Boyd - bass

2002年発売の「Fortune」頃から若干の変動はあるものの、大方この面子でアルバム製作からライヴ活動まで行ってるようです。Duke Heitgerはディキシーランド・ジャズやレトロ・スウィングのアルバムを出してる若手ホープのトランペッター。以前見たイングリッドのプロモーションビデオでは、トランペットのアーヴィン・メイフィールドが参加してましたが、彼が参加したアルバムもちょっと聴いてみたい気がしますね。Craig Klein とBert Cotton は先日紹介したボノラマのメンバーです。John Fohl はこちらも先日紹介したジョニー・サンソンのアルバムに参加してたギタリストですね。こうして見てみると、ニューオーリンズ・コミュニティーの横の繋がりの強さを感じます。

収録曲はカヴァー曲を中心に構成されてまして、(1)と(11)がイングリッドとジョン・フォールの共作によるオリジナルです。「The Hotel Child」のようなレトロさは少々薄くなりましたが、イングリッドらしいスウィンギーなアルバムになってます。(2)はポール・バーバリンのバーボン・ストリート・パレードが元ネタで、ライヴ・アルバムにも収録されてた曲ですね。僕の中でのイングリッド・ルシアのイメージにピッタリのレトロでスウィンギーな曲、これが最高なんです。トランペットとトロンボーンのコンビネーションもいいな。(3)はハンク・ウィリアムスの曲で、ライトニン・スリムやマジック・スリムがズッシリとしたシャッフルでやってましたが、イングリッドは軽快なノリのシャッフルでブルージー且つジャジーにやってます。ブルージーに歌えるのもイングリッドの良い所なんですね。(4)はサッチモを始め、いろんなジャズマンが演奏した名曲ですね。Duke Heitger とのデュエットで、この妖艶さがたまらんのです。(6)は原曲がカントリーの曲とは思えないような跳ねたノリのアレンジで、見事にイングリッドの曲にしてしまってます。Craig Klein がヴォーカルを執る(8)もスウィンギーな曲なのですが、途中でウッドベースがモダンジャズのソロを弾き出すから面白い。バラードでは最高にいいのが(10)で、鳥肌が立つ位に色っぽい。(13)はプレスリーの曲ですね。ギターのリフやロックンロールぽいギターソロがカッコ良いです。以前はルー・リードの曲とかもやってましたから、結構何でもありなのですが、何でも自分の曲にしてしまうアレンジ力にも感心させられます。

それから、このアルバムは、
"DON'T STOP was recorded in four hours"
だそうです。これには仰天しました。

2007年11月18日日曜日

Eddie Bo / Saints, Let's Go Marching On In


『Eddie Bo / Saints, Let's Go Marching On In』 (Bo-Sound 1256)
1) Pocket Train
2) Slow Roll Pt. 1
3) Slow Roll Pt. 2
4) Hard Times
5) It's Just A Matter Of Time
6) We Belong Together
7) Rainy Night In Georgia
8) Sassy (Instrumental) Pt. 1
9) Sassy (Instrumental) Pt. 2
10) Saints, Let's Go Marching On In

前作の「We Come To Party」では、ゆる~いニューオーリンズ・ファンクがこれでもかつう位に炸裂してて、「ははー、参りました」状態だったのですが、あれから早6年、エディー・ボー御年77歳現役バリバリで、久々に新作を届けてくれました。

一曲目はオリジナルのファンク・ナンバーで、前作のような派手派手ではないけれど、70年代のヴィンテージな雰囲気があって良い曲です。エディー・ボーのファンクは、ドラムやベースを強調したリズム重視というイメージがあります。この曲もリズム重視に変わりないが、リフをとるトランペットを中心としたホーン・セクションやギター、リズム・セクションそれにヴォーカルとバランス良く纏って、どっしりとした安定感のある最高のノリですね。まったりとした味のあるハイトーンの歌声も元気です。

(2)(3)は、妖しげな女性ヴォーカルを擁したスロー・ブルース。(2)ではウォルター"ウルフマン"ワシントンのブルージーなギターが前面に出て、ピアノは比較的に控えめ。一方、(3)はコロコロ転がるエディーのピアノを前面に出した構成。でも、一番前に出てんのはドラムだろって言われそうだが、このずしんとくる重たいリズムを伴ったブルースも渋くって好きです。妖しげな女性ヴォーカルは、「吐息のループ」には負けちゃうけどなんだかエロいですね(笑)

(4)は、以前に同じ曲名で録音されたことがあり、そちらはプロフェッサー・ロングヘアーを思わせるようなニューオーリンズR&Bだったが、今回のは違う曲みたいですから新たに作られたのでしょう。一曲目のような曲調のファンク・ナンバーになってます。

(5)(6)(7)は、R&B調のバラードが並んでまして、(5)はブロック・ベントン作のバラード。(7)はトニー・ジョー・ホワイト作の超有名曲で、ブロック・ベントンも好んでよく取り上げてました。60年代に戻ったかのようなエディーの哀愁漂う歌が聴きものです。

(8)(9)はJB’Sを思わせるようなファンキーな曲。Pt.1とPt.2の違いがいまひとつ分からないが、カッコいいファンク・ナンバーです。

最後は曲名通りマーチングを取り入れたファンキーな曲で、一番ニューオーリンズらしい曲ですね。シンコペーションの効いたリズムにマーチングのホーン・セクションが乗っかる。カーク・ジョセフがチューバで参加してまして、これはちょっと注目ですね。そして、ゴスペル調に歌う女性コーラス陣もとても楽しいし、体がついつい動いてしまう位のノリの良さ。ほんと楽しいですね。ニューオーリンズ最高!

エディー・ボーはカトリーナで経営していたクラブを無くして、ラファイエットに避難してるそうだが、まだニューオーリンズには戻ってないんだろうか?少しでも長く音楽活動をして貰いたいですね。

2007年11月14日水曜日

Subdudes / Street Symphony


『Subdudes / Street Symphony』 (Back Porch Records)
1) Fountain Of Youth
2) Poor Man's Paradise
3) Stranger
4) Thorn In Her Side
5) No Man
6) Fair Weather Friend
7) Brother Man
8) Half Of The Story
9) Work Clothes
10) Absolutely
11) I'm Your Town
12) Street Symphony

結成20周年を迎えたニューオーリンズのルーツロックバンド、サブデューズ。
一口にルーツロックと言っても、彼等の場合はルイジアナのスワンプ・ポップからケイジャン、ブルースにゴスペル、カントリー、フォークなど、古き良き時代のアメリカン・ルーツ・ミュージックを絶妙なバランスで融合させて、独特のサウンドを確立してるのですが、ニューオーリンズの香りはあまり感じられないんですよね。

リズム・セクションも特徴的で、ロックなサウンドを出す時はスネア、バスドラ、シンバルの最小限のドラムセットは使用するものの、殆どの場合、主にタンバリンを用いたパーカッションでリズムを取ってるんですね。これが結構ユニークだったりしますが、それにアコースティック・ギターやアコーディオンなどが絡み合ってのバンド・アンサンブルも優れてるし、飾り気のない素朴なアコースティック・サウンドの響きやバックコーラスとの卓越したハーモニーなどなど、とても心地よいんです。

2007年11月11日日曜日

Rockie Charles / I Want First Class



『Rockie Charles / I Want First Class』 (Soulgate Records 2007)
1) I Want First Class
2) Before I Find The Right Girl For Me
3) I Got Your Whipper Pill
4) I Got To Stop Lying & Pretending
5) I'm A Rolling Tumble Weed
6) My Love In Vain
7) She Got A Dummy Made Of Me
8) Because Love Hurt
9) Am I Surely Blind
10) Why Did You Lie To Me
11) Will You Still Love Me
12) Don't Believe I Want To Live Again

1942年ルイジアナ州ブースヴィルで生まれ、13歳の時に家族でニューオーリンズに引っ越す。16歳で音楽活動を始め、街の小さなクラブでブルースやロックンロールを演奏していました。67年にファースト・シングル"Mr. Rickashay" b.w. "Sinking Like a Ship"でデビュー。ナッシュビルに移り、O.V.ライトやパーシー・スレッジ、リトル・ジョニー・テーラー、オーティス・レディングのロードでバックを務める。70年に入りニューオーリンズに戻ると、自己レーベルSoulgateを立ち上げ、彼の代名詞となる"The President of Soul"を発表。これがローカルヒットします。しかし、ディスコの勢いには勝てず、レコーディングの機会を無くしてしまいます。タグボートのキャプテンという仕事をやりながら細々とライヴ活動を送る日々。そんな彼に好機が巡って来るのは20年以上も過ぎた後で、Orleans RecordsのプロデューサーCarlo Dittaに見出され、1996年に初アルバム「Born For You」を発表するに至ります。

ということで、バイオを「Born For You」のライナーから掻い摘んで紹介しましたが、「波乱万丈」ロッキー・チャールズ編みたいになってしまいました。

実際、ロッキー・チャールズのサウンドはニューオーリンズという感じではなく、やはりルイジアナのスワンプ・ブルースが基本ですね。メンフィス系のソウルという側面もあり、枯れた味のあるヴォーカルとルイジアナらしいダウンホームでレイドバックしたユル~い感じがたまらんのです。

その他にミニアルバムが2枚と2002年のフルアルバム「Have You Seen My Uncle Steve」を発表してますが、今回の「I Want First Class」は今年出た新譜です。

相変わらず自主制作で、彼を取り巻く環境は決して良くないのですが、どういう形であれ発表することが大事。というか、日本人には考えられないような手作りのチープなパッケージですが、そこに生生しいリアルさを感じるのは僕だけでしょうか。

サウンドはジャケのチープさに反比例したような濃い~内容で、ホーンセクションの入ったファンキーなものや、もろ60年代のメンフィス・ソウルといったもの、ユルユルのルイジアナ・スワンプ・ブルースからニューオーリンズR&Bものまで。最高です。

2007年11月8日木曜日

Bryan Lee / Katrina Was Her Name


『Bryan Lee / Katrina Was Her Name』 (Justin Time JUST 226-2)
1) 29 Ways
2) Don't Bite The Hand That Feeds You
3) Barefootin'
4) My Baby Done Quit Me
5) Blues Singer
6) Katrina Was Her Name
7) Take It Like A Man
8) Lowdown And Dirty
9) Ain't Nobody's Business
10) Why Did You Lie To Me
11) Flat Foot Sam
12) Bethany Jane
13) Don't Joke With The Stroke

ブライアン・リーは43年にウィスコンシンで生まれ、82年からニューオーリンズで活躍している盲目のギタリスト&シンガー。

B.B.キングやアルバート・キングからの影響を感じられるものの、ニューオーリンズ・テイストやR&B、ロックテイストを加味しつつ、よりモダンでダイナミックな自分のサウンドを築き上げた本格的なブルースマンだと思います。

伸びやかで粘りのある図太いギターと力強くてソウルフルな歌声も魅力的ですね。

91年にソロデビューして以来コンスタントにアルバムを発表し、この「Katrina Was Her Name」は通算10作目となる新譜です。全13曲中オリジナルは4曲だけで、あとはカヴァー曲という構成。全体的に弾けたノリの曲が大半を占めてて、タイトルが持つイメージとは反比例した明るく楽しいアルバムとなりました。

サックスのリフが印象的な(1)はウィリー・ディクソン作のシカゴ・ブルースですが、ニューオーリンズらしいノリの良いジャンプ・ブルースにアレンジされてます。サックスからピアノ、ギターとソロを回していくのは常套手段ですが、これが結構楽しいんですね。

どっしりとしたリズムがカッコいい(2)、弾けたようにこれでもかとギターを弾きまくる(3)や(5)とハイテンションで進む中で、タイトル曲の(6)はアコギで弾き語るマイナー・ブルースで、寂しげなスライドに胸がキュッと締め付けられる思いでした。

あと気に入ったのがジミー・ウィザースプーン作の(9)。B.B.キングやフレディ・キングを始め、いろんな人達がカヴァーした名曲中の名曲ですね。ブライアン・リーはこんな鳴きのギターを弾かせても素晴らしいです。歌もソウルフルで抜群に上手い。いや~鳥肌立ちました。これ程のブルースマンが日本では殆ど知られてないというのは本当に勿体無い事です。

2007年11月5日月曜日

The Sound Of New Orleans


『V.A. / The Sound Of New Orleans - Funky Gumbo』 (P-Vine PCD-93000)


『V.A. / The Sound Of New Orleans - Ace Vintage Treasures』 (P-Vine PCD-93029)

P-Vine企画のコンピレーション・アルバムは、釣られて良く買ってしまうのですが、秘かにお宝音源が含まれてるから見逃せないんですね。

今回の「ザ・サウンド・オブ・ニューオーリンズ 」は、ガイド・ブックの発売に連動したもので、「ファンキー・ガンボ」は、エイス・レコードやファイア、フューリーといったレーベルに、55年から62年にかけて録音された曲が収録されてます。数年前、CMに起用されて一躍有名になったヒューイ"ピアノ"スミスやリー・ドーシー、アール・キングなどの名曲から、発掘された貴重な音源まで。その中でも超目玉が、ドクター・ジョンが「ガンボ」を出す前、まだエイスでセッションマンをしていた頃に録音された2曲。ボ・ディトリーのジャングル・ビートのギターが炸裂するR&Rナンバーは、結構カッコ良い。当時、まだ10代半ばだったそうだから凄い。これは一聴の価値ありです。

一方、「エイス・ヴィンテージ・トレジャーズ」も50年代、60年代のエイスの音源を中心に構成されてます。R&BからR&R、ディープなソウルに至るまで、無名に近い人達が多く収録されてて、地味、いやいや通好みの渋い選曲ですね。最後のほうで申し訳ない程度に収められてる、アルヴィン"レッド"タイラーやリトル・ブッカー、エディ・ボーも聴き所。特に、リトル・ブッカーとはジェイムス・ブッカーのことで、58年に初めてオルガンを弾き録音した曲も入ってます。ブッカーのオルガンは強烈。この頃から既に奇人だったのですね。聴き所満載で正しくヴィンテージ・トレジャーズ。

エイス・レコードのリストには、まだCD化されてない曲が山ほどあるらしい。今後に期待ってところですね。

2007年11月3日土曜日

Bonerama / Bringing It Home


『Bonerama / Bringing It Home』 (Buffalo LBCY-509)
1) Intro
2) Bayou Betty
3) By Athenish
4) Ocean
5) And I Know
6) Mr. Go
7) Sprung Monkey
8) Gekko Love
9) Yer Blues
10) Epistrophy
11) Equale
12) Helter Skelter
13) Louie's Perch
14) Cabbage Alley

新旧問わずニューオーリンズの音楽を聴いてると、個性的な人々が非常に多くて飽きることなく楽しめる。タバコと一緒で注意書きが必要かも「依存が生じます」って(笑)。
冗談はさておき、最近特に強烈な個性を発揮してるのが、今日紹介するボノラマ。
まずは、最新アルバムのラインナップをご覧頂きたい。

Mark Mullins - (electric) trombone, vocals
Craig Klein - trombone, vocals
Steve Suter - trombone
Rick Trolsen - trombone
Bert Cotton - guitar
Matt Perrine - sousaphone
Eric Bolivar - drums
Special Guest:
Stanton Moore - drums

トロンボーンが4人もいるんですよ。デビューアルバムの時は、ゲイトマウス・ブラウンやボビー・チャールズのアルバムにも参加した事があるトロンボーン奏者のブライアン・オニール(2005年12月心臓麻痺により他界)を加えて、総勢5人もいた時期があるんですよね。こんな面白いバンドは他にないでしょう。

見た目はちょっとユニークなブラス・バンド。しかし、サウンドはブラス・バンドにあらず。彼等のHPを見ると"New Orleans Brass Funk Rock"と表現してますが、基本はジャズ・ファンクをやるジャム・バンド。そんでもってファンキーにロックしてるという感じ。実際に取り上げてるカヴァー曲もレッド・ツェッペリンやジミー・ヘンドリックス、ブラック・サバスまでやってます。セカンドに入ってるサバスの「The Wizard」は最高にカッコ良かったね。こういったハード・ロックの曲をやる時は、エレクトリック・トロンボーンを使ってまして、ディストーションを効かせワウを絡ませた音は、ジミヘンのギターさながらの凄まじさです。また、ベースラインをウッドベースみたいな音でボンボン言わせるスーザフォンも面白い。それにギター、ドラムのお決まりの構成でバンドの纏りの良さも然る事乍ら、重低音がズシーンと響いてくるファンキーなサウンドにも圧倒されますね。

そして、もう一つ特徴的なのが、今まで発表したアルバムは全部ライヴアルバムなんです。これも珍しい。この手のバンドはライヴが全てみたいなところあるし、自分達の魅力を伝えられるのはライヴしかないみたいなね。

新作の「Bringing It Home」は、2006年の9月7、8日にニューオーリンズの名門クラブTipitina's Uptownでライヴ・レコーディングされたものです。

一曲目はオリジナルで、スピード感のあるジャズ・ファンク。トロンボーン軍団のブラス・アンサンブルは見事で、それに絡みつくギターの小刻みなカッティングも気持ちいい。リズム隊の纏りも良くて、やはりスーザフォンの存在は大きい。ボノラマの真骨頂はこういう曲だなと思いますね。クラシカルなニューオーリンズR&B風味の(5)では、温かみのある歌が何とものんびりしてて好きですね。

クラシック・ロックのカヴァーは、ツェッペリンとビートルズをやってます。「Ocean」も痺れる位カッコ良いですが、やっぱ「Yer Blues」ですよ。このタメの入ったユルさはたまらんです。エレクトリック・トロンボーンのソロは、これはもうサイケだ。

最後はお得意のミーターズで、セカンドラインのファンクもお手の物。そして、隠しトラックではトラディショナルなジャズまで披露してくれてます。