2010年8月26日木曜日

Saffire--The Uppity Blues Women / Havin the Last Word


『Saffire--The Uppity Blues Women / Havin the Last Word』 (Alligator ALCD-4927)
1. Goin' Down The River
2. Nothin' In Your House
3. Kitchen Man
4. Somebody's Gotta Give
5. Bald Headed Blues
6. Since You Been Gone
7. Blues Lullaby
8. Travelin' at the Speed of Love
9. I Can Do Bad All By Myself
10. Too Much Butt
11. Haste Makes Waste
12. Locked Up
13. Walkin' Home To You
14. Bald Eagle
15. I'm Growing Older
16. The Bad Times

サファイアはアコースティックなサウンドで、モダンなブルースを演奏するトリオのバンドです。
 
ギターのGaye Adegbalolaは、アコギでスライドを弾き、太くてツヤのある声でダウンホームなブルースを歌うブルース・ウーマン。このアルバムでは(5)(9)(12)(14)が自作曲。
 
ピアノはAnn Rabson。この容姿からは肝っ玉おっかさんにしか見えないのですが、バレルハウス調のブギウギ、ジャンプやスウィング、ニューオリンズ・スタイルのピアノまで結構多彩で、力強く気持ちの良いピアノを弾きます。歌は黒人シンガーを思わせるほどで、Gayeと区別が付きにくいんですよね。GayeはツヤがあってAnnは程良いざらつきがあるってところかな。(6)(8)(11)(16)が自作曲。

マンドリンやフィドル、ベース等をやるのがAndra Faye。カントリーなフォーク・シンガーという感じで、ギターを持って歌う自作曲の(7)は何処となくTish Hinojosaを思わせ、澄んだ良く通る声も魅力ですね。他に(13)が自作。

それぞれが自作曲や好みのカヴァー曲を持ち寄ってサファイアが形成されてるようですが、それぞれ個性的で面白い。それにサファイアの基本コンセプトは崩さないので凄く調和が取れてるのも素晴らしいです。

3人とも曲作りが上手いしカヴァーの選曲も良いので、どの曲もいいですね。その中でもこの曲というのを挙げるのはなかなか難しいですが、とりあえずGayeだったら(5)ですね。スライドを絡ませたダウンホームなブルースだけれども、ピアノでロウダウンなリズムを刻む所なんかニクイね。ドスの効いた歌も結構な迫力。

Annは(11)がめちゃ好きです。フェスを思わせるニューオリンズ的ブルースで、このノリがとても気持ちいい。Annのピアノはほんとにいいな。

カヴァー曲ではベッシー・スミスの(3)。歌はAnn Rabson、いやー聴かせてくれますね。

2010年8月19日木曜日

Rick Estrin & The Nightcats / Twisted


『Rick Estrin & The Nightcats / Twisted』 (Alligator ALCD-4930)
1. Big Time
2. Back From The Dead
3. U B U
4. Walk All Day
5. Catchin' Hell
6. Earthquake
7. P.A. Slim Is Back
8. A Ton Of Money
9. Take It Slow
10. I'm Takin' Out My In - Laws
11. Cool Breeze
12. You Can't Come Back
13. Someone, Somewhere
14. Bigfoot

1987年のデビュー以来、ナイトキャッツを引っ張ってきたギタリストのチャーリー・バティが引退!「え~!」ですよね。
チャーリーのジャジーでスウィンギーなギターが好きだったし、兎に角、チャーリーとエストリンはもう不動のコンビだと思ってたので、やはりショック。なんか寂しいね。またいつか、チャーリーはブルース界に戻ってくるはずですから落胆はしてませんが。

リーダーとなったリック・エストリンの新生ナイトキャッツの1stアルバム。
チャーリーの代わりにギターを担当したのはクリス"キッド"アンダーセンで、最近よく見かけるギタリストなんですよね。R.J.ミッシとかチャーリー・マッスルホワイトとかジョン・メネスのアルバムで。ロッキン・ブルースをガツンと弾く印象があるのですが、ソロアルバムを聴くとオーティス・ラッシュっぽかったり、ハリウッド・ファッツみたいなジャンプ・ブルースもやってたりして、なかなかブルースな人ですね。このアルバムではクリス作の曲が(6)と(14)と2曲収録されてます。どちらもハイテンションなロッキン・ブルースのギター・インスト・ナンバー。少し歪んだストラトのソリッドなサウンドがカッコいいですね。(14)なんかはスラッピングまではやってませんが、ロカビリーっぽいノリが楽しい。

さて、リック・エストリンさんですが、独特のクセのある歌い方には、好き嫌い好みが分かれる所でしょうが、クロマチック・ハープに関してはつまんないという人はあまりいないんじゃないでしょうか。スロー・ブルース(9)では、ウォルター・ホートンを思わせるような哀愁漂うクロマチックの音色に痺れますね。ヨーロピアン風の(11)はこのアルバムの中で唯一ジャジーな曲で、ハーモニカもジャジーなギターも渋い。表参道のカフェで流しても良さそうなオシャレな曲。シカゴ・ブルース(12)でのハープや何処か聴いたようなギター・フレーズがカッコいいロッキン・ブルースの(4)も結構好きですね。

新生ナイトキャッツは残念ながらジャジーさがあまりありませんが、エストリンの好みでしょうけれどもロッキン・ブルース色が強くなってます。このノリはやっぱ楽しい。

2010年8月16日月曜日

Bobby Jones / Comin' Back Hard


『Bobby Jones / Comin' Back Hard』 (Delta Groove DGPCD129)
1. She's The One
2. Two Headed Woman
3. I Must Be Crazy
4. Come In Out Of The Rain
5. Get It Over Baby
6. I Don't Know
7. Tired Of Your Jive
8. Cry For Me Baby
9. Three Handed Woman
10. Mystery Train
11. How Long Will It Last

ボビー・ジョーンズは伝説のブルース・シンガーだそうだが、正直知らなかった。
60年代始め、ジュニア・ウェルズの代わりにエイシズをバックに歌って脚光を浴び、アルバムを出すが芽が出ず、ソウル・シンガーに転向してアルバム出してもこれも駄目だったらしい。世に出ることなく消えていったシンガーのようです。
良い曲さえ作る事が出来たら、ボビー・ブランドのようになれたかもしれないが、歌うだけで生き残るにはやはり厳しい世界ですね。
3年前、デルタグルーヴ主催のバンド"The Mannish Boys"のアルバム"Big Plans"に参加するジョディ・ウイリアムスがボビー・ジョーンズを連れて来たそうである。
その"Big Plans"にゲスト参加、次のアルバムでレギュラーの座を獲得。そして、ソロアルバム。70歳にして出世である。
年齢に関係なく実力があれば、こういう幸運が巡って来て世に出て来る。ブルースの世界はやっぱり面白い。
さて、そのソロアルバムですが、サポートバンドが"The Mannish Boys"だから参加ミュージシャンがそりゃ凄い。パーピストがアル・ブレイク、ランディ・チョートコフ、リンウッド・スリム。ギタリストがカーク・フレッチャー、フランク・ゴールドワッサー、キッド・ラモスにジュニア・ワトソン。こりゃウエストコースト・ブルース・オールスターズやね。
これにピアニスト、ベーシストとドラマーなどなどで総勢何名だ?これだけの人が入れ替わりで演奏するとアルバムとしては散漫になる向きもあるが、そこはブルースを知り尽くした集団で、レーベルのコンセプトであるヴィンテージ・サウンド、リアル、ダウンホーム、ハウスロッキン、ロウダウンという方向性はしっかりしてる。そこにブルーズン・ソウル・シンガー、ボビー・ジョーンズの黒人らしい太くて渋い声が乗っかるという寸法だ。
曲はオール・カヴァーだが、結構渋い選曲で全曲ほんと気持ち良く聴けます。
とりあえずのお気に入りは、フレディ・キングもやったハンク・バラードの(1)。
なかなか良いです。

2010年8月13日金曜日

Buckwheat Zydeco / Lay Your Burden Down


『Buckwheat Zydeco / Lay Your Burden Down』 (Alligator ALCD-4929)
1. When The Levee Breaks
2. The Wrong Side
3. Let Your Yeah Be Yeah
4. Don't Leave Me
5. Back In Your Arms
6. Throw Me Something, Mister
7. Lay Your Burden Down
8. Time Goes By
9. Ninth Place
10. Too Much Time
11. Finding My Way Back Home

若手のザディコマン達は、伝統的なボタン式のアコーディオンを使用して、ファンクやヒップホップを取り入れた新しいザディコをブイブイやってましたが、最近のザディコとはちょっと疎遠になってしまったので今の主流がよく分からない。ソウルやブラコンを取り入れたカーリー・テイラー辺りが出て来て流れは変わってきてるのかな。

バックウィート・ザディコはクリフトン・シェニエ直系の大御所中の大御所。80年代終わりに来日もしてますし、その当時結構流行ったらしいですね。シェニエはバイユー・ブルースだったが、バックウィートはブルース、カントリー、ソウル、R&R、ロックにポップ、結構な雑食性だったりします。「Where There's Smoke There's Fire」でストーンズの「Beast of Burden」を聴いた時はおーって思ったね。

そのバックウィート・ザディコの久しぶりのアルバムは、なんとアリゲーターから発売されました。アリゲーターからと言えどもやっぱりガツンとザディコが聴きたい。

しかし、一曲目から度肝を抜かれてしまった。この曲はメンフィス・ミニーの曲だが、これはもろツェッペリンバージョンのハードロックだもの。スライドの名手サニー・ランドレスのギターが凄いインパクトあって、曲によくマッチしてますね。ハモンドB3を弾いてたバックウィートも後半アコーディオンに持ち替えますが、ザディコの雰囲気はあまり感じられません。しかし、カッコいい。

次の曲は何年か前、アリゲーターからデビューしたJJ Greyの曲。義理立てかもしれませんが、元々結構良い曲です。メリハリのあるシャッフルのリズムがなかなか良い。何回か聴いてるうちにザディコに聴こえてくるからあら不思議。

(3)はジミー・クリフ。レゲエとザディコは相性いいね。リズムがブリブリだけがザディコではないと思わせてくれます。オリジナルの(4)やブルース・スプリングスティーンの(5)もレゲエのリズムを取り入れたザディコで、凄くソウルフル。この辺りはかなり好きですね。(5)はなんか泣けてきます。

何だかんだ言ってもザディコはこうでなくちゃというのが(6)。一番ザディコらしいザディコ。ザディコパーティーに行きたくなるようなこのノリ。楽しいです。

キャプテン・ビーフハートなんかも飛び出して、めちゃバラエティに富んでますが、バックウィート・ザディコはブルージーだからやっぱいいんですね。

2010年8月4日水曜日

Eddie Taylor / Live in Japan, 1977 - Deluxe Edition


『Eddie Taylor / Live in Japan, 1977 - Deluxe Edition』 (P-VINE PCD-28007/8)
DISC 1
1. Honky Tonk
2. That's All Right
3. Kansas City
4. I Don't Know
5. Drinkin' Wine Spo-Dee-O-Dee
6. She's Nineteen Years Old
7. Got My Mojo Working
8. Stop Breakin' Down
9. Goin' Down Slow
10. My Sometimes Baby
11. Bad Boy
12. Blow Wind Blow
13. Going Upside Your Head
14. You're Gonna Look For Me (And I'll Be Hard To Find)
15. Kind Hearted Woman
DISC 2
1. Night Train
2. Mean Old World
3. Caldonia
4. Hamburger O-I-8-1-2
5. For You My Love
6. Tin Pan Alley
7. Take A Little Walk With Me
8. Mean Black Spider
9. Off The Wall
10. Hoy Hoy
11. Come Back Baby
12. Signals Of Love
13. There'll Be A Day
14. I'm A Country Boy
15. Crossroads
16. Hideaway
17. Baby Please Don't Go

ロック業界にしろブルース業界にしろ、名盤がデラックス・エディション化されてちょくちょく発売されてるが、エディ・テイラーのライブ・イン・ジャパンもとうとう発売された。(と言っても1年位前の話だが)
 
デラックス・エディションってアルバムとしては散漫で、メーカーの金儲けの手段だと分かってても、こういう類の商品ってどうも弱くてついつい購入してしまう。

このライブ・イン・ジャパンはリミックス&リマスターで、曲目も完全ではないが十分収録されてるので、ステージの流れが分かってまあ面白い。そういう意味では購入して損はないかな。

リミックスとリマスターですが、やはりサウンドは現代的なメリハリの効いた音になってますね。実際のサウンドはこんな感じだったんだろうなとも思いますが、オリジナルのまったりとした音がやっぱ好きだな。このアルバムが出て、オリジナルを売っちゃった人が結構いると聞きましたが、勿体無いですよ。アルバムとしては全く別物なのに。

あと、ルイス・マイヤーズのギターの音量。せめてエディがメインの時はもう少し絞って欲しかったかな。

それと、お客さんの歓声。絞ってしまいたくなる気持ちも分からなくもないが、迫力が半減しました。ライブだもんね。

今でもたまにこのアルバム聴きますが、DISC 1は8曲目から、DISC 2は9曲目から聴き始めます。

オディ・ペインのノヴェルティ・ソングとかも結構面白いのですが、一枚70分は非常に長いし、エディ目当てで聴くとなるとここからで十分。

エディがサイドに回った時のあの引き摺るようなリズム、メインの時の切れ込みの良いアグレッシブなギター。戦前のブルースマンのような歌いっぷりの渋いボーカル。やっぱりエディ・テイラーは最高だね。
オフ・ザ・ウォール!いいよ。