2009年2月25日水曜日

Elvin Bishop / The Blues Rolls On


『Elvin Bishop / The Blues Rolls On』 (Delta Groove DGPCD126)
1. The Blues Rolls On
2. Night Time Is The Right Time
3. Yonder's Wall
4. Struttin' My Stuff
5. Keep A Dollar In Your Pocket
6. Who's The Fool
7. Black Gal
8. Oklahoma
9. Come On In This House
10. I Found Out
11. Send You Back To Georgia
12. Honest I Do

B.B.キングやジェイムス・コットンなど、錚々たるゲストを迎えて製作されたエルヴィン・ビショップの最新作です。エルヴィンのアルバムは歪の効いたギターで、ロック色の強いルーツ・ロックというイメージがありますが、このアルバムはブルースやソウルといった色合いの濃いものになってます。

オリジナルのタイトル曲(1)は、ホップなノリでウエストコーストのカラッとしたサウンドが気持ちいいです。エルヴィンの歌は今一だがスライドは年季入ってますね。キム・ウィルソンのハープは流石。

ナッピー・ブラウンの(2)を歌うのは、ウエストコーストのハーピスト&シンガーのジョン・ネメス。他にも(6)(10)で歌ってますが、この人の歌は飛び抜けて上手い。ソウル・シンガーとしても十分やっていける歌唱力だと思います。

エルモアの(3)。歌はロニー・ベイカー・ブルックスで結構上手いんですよね。エルヴィンのスライドから始まるギターソロもトミー・カストロからロニー・ベイカー・ブルックスに回していくライブならではの面白さがいいね。

セルフ・カヴァーの(4)、エルヴィン本領発揮ちゅう曲ですね。ファンキーなノリのリズムはスカッと気持ちいい。後半、デレク・トラックスを含む5人のギタリストが入り乱れてのソロは強烈。

(5)はB.B.キングが参加してのスタジオ・ライブ。エルヴィンの歪みとB.B.のクリーン・トーン。ホント対照的。「B.B.キング、カモン」で入るソロ、鳥肌もので痺れます。

(7)ではクリフトン・シェニエのオールド・ザディコを、R.C. CarrierとAndre Thierryという若手が演奏してます。ヌーヴォー・ザディコのファンキーなノリも好きだが、この古いザディコはブルージーでやっぱいいね。

(8)はロウダウンな歪んだギターによる弾き語りで、ダーティーに演奏してます。(4)と共にエルヴィンを一番感じられる1曲です。

(11)では久方振りのジョージ・ソログッドが登場します。「ギブ・ミー・バック・マイ・ウィッグ」タイプの曲をベースレスで、タイトにロッキン・ブルースしてます。こういう曲は血が騒ぐというか、掛け値なしにカッコいい。

1曲1曲聴いていくとホント良い曲ばかりで、グラミーにノミネートされたのも分かる気がしますが、エルヴィン・ビショップのアルバムという事を考えると、セルフプロデュースはいい仕事しててもミュージシャンとしてはどうかなって思ってしまう。ゲストばかりが目立ってエルヴィンはホント影が薄い。通して聴いてたら誰のアルバムなのか分からんよ。

2009年2月23日月曜日

Smoky Greenwell and the Blues Gnus / Between Iraq and a Hard Place


『Smoky Greenwell and the Blues Gnus / Between Iraq and a Hard Place』 (Southland Records SCD-41)
1. Roller Coaster
2. Crazy Mama
3. Goin' Uptown
4. Between Iraq and a Hard Place
5. Back To The Boogie
6. Mean Old World
7. Blues for the Southland
8. Tell Mama
9. Blue Light
10. Key To The Hightway
11. Going Down
12. One Way Out

カトリーナで崩壊したのであろう家屋の前で、お手上げ状態のスモーキー・グリーンウェル。未だに完全復興していないニューオリンズの実情は、まさにハード・プレイスなのでしょう。しかし、流れてくるサウンドは、そんな暗く重たい雰囲気は微塵も感じさせない明るく楽しいストレートなブルースで、ニューオリンズのタフさや気質を思い知るところでもあります。

前作の「Smokin' Classics」は、いろんなジャンルからの名曲をハーモニカ・インストでカヴァーしたアルバムで、歌心のある素晴らしいハーモニカが聴けて、ハーピスト、スモーキー・グリーンウェルを十分堪能できました。

今回のアルバムは、ブルースの名曲を数多くカヴァーして、ブルースマン、スモーキー・グリーンウェルを楽しめるブルース・アルバムとなりました。

オリジナルの(3)(4)(5)(7)の内、(3)と(5)はセルフカヴァーで、(4)と(7)が新曲のようです。タイトル曲の(4)は、ジミー・リード調のゆるいダウンホーム・ブルースで、重たそうなタイトルとは裏腹にリラックスして、ほのぼのとした雰囲気はなんとも味があります。(5)はロッキンなハーモニカ・インスト。オリジナルよりもタメを効かしたサウンドで、数段カッコよくなってます。(7)はギター一本の伴奏でのハーモニカ・インスト。ルイジアナを感じさせるロウダウンなゆる~いサウンドで、何と言ってもアーシーなハーモニカは痺れますね。そして、クラレンス・カーターの(8)を挟んで後半、ブルースのスタンダードが続きますが、リトル・ウォルターの(9)、この辺りのハーモニカは深みがあるしやっぱ上手い。最後、ドン・ニックスの(11)とサニー・ボーイの(12)は、南部のブルース・ロック仕立てで、これもなかなか好いです。

特段際立ったことをやってる訳でもなく、アルバムとしては平凡かもしれませんが、とても楽しめたアルバムでした。

2009年2月17日火曜日

Los Fabulocos featuring Kid Ramos / Los Fabulocos


『Los Fabulocos featuring Kid Ramos / Los Fabulocos』 (Delta Groove DGPCD125)
1. Educated Fool
2. If You Know
3. Crazy Baby
4. Lonesome Tears In My Eyes
5. Mojado Sin Licencia
6. Day After Day
7. Como Un Perro
8. You Ain't Nothin' But Fine
9. You Keep Drinkin'
10. Just Because
11. All Night Long
12. Burnin' The Chicken
13. Mexico Americano

ロサンゼルスのレーベル、デルタ・グルーヴからまた新たなバンドが登場しました。
バンド名やメンバーの雰囲気からして、テックス・メックス辺りのラテン系の香りがプンプンしてきますね。しかし、このジャケにファビラス・サンダーバードにいたギタリスト、キッド・ラモスが写ってること自体「えっ」と思ってしまったのですが、テキサスということ考えればそれほど不思議ではないか。

実際のサウンドは、テキサス・トルネードスや初期の頃のロス・ロボスを彷彿とさせるもので、軽快なリズムと心地よいアコーディオンの音色、それにブルージーなギターというのがこのバンドの味噌だね。

まずはヒューイ・ピアノ・スミス作のロックン・ロール・ナンバー(1)で小手調べってところかな。典型的なロックン・ロールなのにアコーディオンが入ってくると、コロッと雰囲気が変わる。面白い楽器だな。

オリジナルの(2)はテックス・メックスとロックン・ロールが融合したような曲で、お互いの持味が良く出てるし、このバンドの方向性を示す1曲かなと思います。ギターとアコーディオンの掛け合いも楽しい。好きな曲です。

ジョニー・バーネットのロカビリー(4)は、カリビアンかメキシカンかという感じのパーカッションが印象的なバラード調仕立て。ラモスのスパニッシュなギターも素晴らしい。

フラーコ・ヒメネスの(5)はテックス・メックスの名曲だよね。軽快なノリとアコーディオンの心地よさ。それにスペイン語の歌。言葉は全く分からないけれど、なんか惹きつけられる魅力があるんだな。テックス・メックスの醍醐味、ほんと楽しい曲だ。

オリジナルの(6)はデルタ・ブルースとの融合ちゅう感じの曲で、イントロのギターからワンコードのリフに行く辺りは特にカッコいい。なんかザディコにも聴こえてくるから不思議だ。このアルバムの中では一番気に入りました。

他にも、スペイン語での雰囲気のいいバラード(7)、スワンプポップになったロイド・プライスの(10)もたまりません。キッド・ラモスのアルバムに入っていそうなロッキン・ブルースのギター・インスト(12)。水を得た魚の如く弾きまくるギターがめちゃカッコいいし、イントロがスパニッシュというのも洒落てていいです。

取り留めも無く書いてしまったが、もし次のアルバムが出たらまた聴いてみたいですね。本当に楽しいバンドでした。

2009年2月11日水曜日

Bobby Charles / Homemade Songs


『Bobby Charles / Homemade Songs』 (Rice‘n’Gravy Records RIC0515)
1. The Football Blues
2. Queen Bee
3. Pick of the Litter
4. But I Do
5. Cowboys and Indians
6. The Mardi Gras Song
7. Too Blue
8. The Truth Will Set You Free (Promises, Promises)
9. Homemade Songs
10. Seize the Moment
11. Rose
12. Always Been a Gambler
13. Here I Go Again
14. Tennessee Blues
15. Sweep 'Em

ボビー・チャールズの2008年発売のオリジナル・アルバムです。
このアルバムも前作の「Last Train To Memphis」同様、アウトテイク集のようで、新録を期待してたのにちょっと残念でした。

しかしながら、このアルバムも犬と戯れてるアルバムと全く変わらない、アーシーで長閑なサウンドがいっぱい詰まってます。

ボビーの枯れた味のある暖かな歌声はいつ聴いてもいいね。それと、聴いて一発でそれと解るサニー・ランドレスの個性的なスライド。これがボビーのサウンドにぴったりマッチしてるんだよね。相乗効果ですよ。最高です。

2009年2月9日月曜日

Big Sam's Funky Nation / Peace, Love and Understanding


『Big Sam's Funky Nation / Peace, Love and Understanding』
1. Up In Here
2. Keep Movin'
3. Dozenland
4. T.M.P.
5. Yu Blockin'
6. The Way It Is
7. Exploding Hearts & Minds
8. Wishful Thangs
9. Up In Here
10. We Got It
11. Feelin'
12. Peace, Love & Understanding

ニューオリンズのジャズ・ファンクにも好きなバンドは結構いるのですが、その中でも新作が出たら必ず購入するバンドの一つが、ビッグ・サムズ・ファンキー・ネイション。

デビュー・アルバムからのお気に入りで、3作目となるこのアルバムも相変わらず重量級のリズム隊がぶりぶりファンクしてます。そして、意外とキャッチーなサウンドなんですよね。車走らせながら爆音で聴くと、そりゃ~もう爽快です。

一曲目や(9)は、P-Funkをもっと重低音にしたようなファンク・ナンバー。アイヴァン・ネヴィルがボーカルで参加してます。

(2)では変調を繰り返しながら、怒涛の如く進撃するかのようなサウンド。これにはシビレましたね。後半は全く別の曲をくっ付けたような構成で、リズムがまた超ヘビー。その上にサムのトロンボーンやギターがクールに暴れる。これはホント凄まじい。
このサウンドは一度走り出したら止まらない超特急エクスプレスだ。途中下車は許されない。

2009年2月8日日曜日

Six Strings Down / Six Strings Down


『Six Strings Down / Six Strings Down』 (Hot Tamale Records 1002)
1. The Guitar Song
2. Rough In That Stuff
3. That's How Strong My Love Is
4. Pawn Shop Man Blues
5. Devil In Drag
6. Dreams
7. Inner City Blues
8. Snatch It Back
9. Radio
10. Open Up Your Mind

ニューオリンズの若手ギタリストJohn Lisi、Billy Iuso、West Bank Mike Doussan、Josh Garrett。それぞれ自己のバンドを率いて活動している4人のギタリストが集結し、作り上げたアルバム。ブルース・ロックやサザン・ロックといった感じのサウンドで、実にファンキーでイカシたギターアルバムでした。

1曲目のローダウンなシャッフルや2曲目のニューオリンズらしいファンキーなサザン・ロック、この辺りのサウンドは結構カッコいい。やはりギタリストが4人もいるとギターに厚みが出るね。それに、それぞれ個性もありますから、絡み合ったギターを聴くのも面白かった。あと、オールマンの(6)とかね、マーヴィン・ゲイの(7)なんかはもうファンクでね良かった。John Lisi作の(9)は、キャッチーなメロディーのサザン・ロック。ギター・ソロでの4人の掛け合いは結構ドラマチックで好きですね。技を凝らして巧みにというのではなく、感性で弾いてる感じは、好きな所ではあるのですが、折角個性的な4人がいるのですから、凝ったギターアンサンブルも聴いてみたかったという気はします。

2009年2月3日火曜日

Washboard Chaz Blues Trio / Mix It Up


『Washboard Chaz Blues Trio / Mix It Up』
1. Busy Bootin'
2. Sailor Blues
3. Don't Leave Me Here
4. Call It Love
5. Go Round and Round
6. Summer's Gone
7. I'm So Glad
8. Insane and Crazy Blues
9. 1st Shot Got Him
10. Special Streamline
11. Mother Died
12. Falling Down Blues
13. Dodge
14. So Much Trouble
15. Oh, Oh, Oh

ウォッシュボードを掻き鳴らしながら歌うウォッシュボード・チャズ、リゾネーター・ギター弾きのロベルト・ルティ、ハーピストのアンディJ.フォレスト、というシンプル且つユニークな編成でブルースを演奏する、ニューオリンズのアコースティックなバンドです。

カントリー・ブルースをジャグ・バンドのリズムでやってるんですが、このウォッシュボードを掻き鳴らす「シャッカ、シャッカ、シャッカ、シャッカ、カララララ~」ちゅう独特のリズムと、ザクザク軽快に刻むリズムギターとのアンサンブルはダンサンブルでとても愉快だ。ついつい体が踊りだしそうな位のノリの良さ、ニューオリンズの人達はこれで踊ってるんじゃないかな。それに、チャズの何処となくすっ呆けたような歌い方は、愛嬌があって和ませてくれます。ホント大好きなバンドですね。

今回のアルバムで通算4作目となるわけですが、当初よりずっと一貫したスタンスを持ち続けています。この不変的なユニークなサウンドは、例えギタリストやハーピストが交代しようとも、チャズさえ居れば変わることはないと思います。実際、ハーピストがアンディJ.フォレストに変わり、より磨きが掛かって最強になりましたね。

お気に入りは、ブッカ・ホワイトのトレイン・ソングの名曲(10)。チャズのウォッシュボードとルティのアコギで刻むリズムは、高速回転する「シュッシュッ、ポッポ」で、ハーモニカが汽笛を鳴らす。常套手法だがこれがツボにはまって最高ですね。

スキップ・ジェームスの(7)はチャズの歌が特にいい。(2)でベースラインをとってるのはスーザホンかな?タメの効いたゆるいスロー・ブルースもたまらんです。哀愁漂うバラードの(11)などなど。メリハリもある良いアルバムでした。