2011年8月16日火曜日

Walkin' Blues - 15 Years from Mountain Top Productions


『Walkin' Blues - 15 Years from Mountain Top Productions』 (Mountain Top Productions)
Disk 1
1. Lowdown Dirty Shame - Carey Bell
2. Scared Of The Child - Gary Smith
3. Seven Nights To Rock - Mark Hummel
4. Forty Days and Forty Nights - Johnny Dyer
5. Minding My Own Business - Fillmore Slim
6. West Winds Are Blowing - RJ Mischo
7. Hey Little Brother - Fillmore Slim
8. Nailed To The Bone - Big Walter Shufflesworth
9. Solid Sender - Johnny Ace
10. City Livin' - Mark Hummel
11. Nosey Woman - Fillmore Slim
12. Trouble No More - Johnny Dyer
13. Money Back Guarantee - RJ Mischo
14. Let's Talk About Love - Paris Slim
15. Upside Your Head - Dona McGee
16. Bloodstains On The Wall - Lazy Lester
17. RJ, Get Up! Milk That Cow - RJ Mischo
Disk 2
1. Ain't She Trouble - Gary Primich
2. Broke and Hungry - Cephas & Wiggins
3. Country Boy - Johnny Dyer
4. The Legend of Fillmore Slim - Fillmore Slim
5. About To Lose Your Clown - Gary Smith
6. No Escapin' from the Blues - Paris Slim
7. My Friend Blue - Fillmore Slim
8. Got To Find My Baby - Johnny Dyer
9. Feel Like Shouting - Paris Slim
10. It's My Life, Baby - RJ Mischo
11. Faster Than Time - Fillmore Slim
12. Blues For Mr. B - Gary Smith
13. Can't Judge Nobody - Mark Hummel
14. Red Light - Eddie Taylor
15. Blue and Lonesome - Mark Hummel
16. You're Gonna Need My Help - Rick Estrin
17. Evans Shuffle - Johnny Dyer

Mountain Top Productions はカリフォルニア州サンマテオに拠点を置く新興のブルース・レーベルで、Mark Hummel やRJ Mischo 、Gary Smith といった西海岸気鋭のハーピストを中心にアルバムをリリースしている、ハーモニカ専門と言って良い位ブルース・ハープ大好きなレーベルですね。その一方でParis Slim やFillmore Slim などクセモノ的な個性派ギタリストのアルバムも出してます。同じ西海岸のデルタグルーヴほど大きくないですが、拘りを持ったコアな感じのするレーベルです。

レーベル創立15周年という事で、この15年の間に僅か13枚程のアルバムしかリリースされてませんが、1枚1枚凄く濃密な内容のアルバムばかりで、その中からベストセレクションされたのが今回のアルバムです。アリゲーターで謂うところの「15th Anniversary Collection」という感じですね。

記念すべきファーストリリースは、1996年発表のParis Slim 「Bleedin' Heart」でした。この中からDisk.1(14)とDisk.2(6)が収録されてまして、Disk.2(6)には「from the forthcoming album Going Back To Paris」とクレジットされてますが、これはどう聴いても既出。クレジットが間違えてるのか、収録曲を間違えてしまってのかはよく分かりませんが、「Going Back To Paris」という新譜がリリースされるのは本当のような気がします。最近のパリス・スリムはデルタグルーヴべったりでね、自分の事もやりなよと思ってたので久々のニューアルバム楽しみにしてます。

次は、Mountain Top West Coast Blues Session。ハーモニカのGary Smith とギターのParis Slim 、ベースJohnny Ace 、ドラムBig Walter Shufflesworth によるユニットバンドで、アルバム1枚だけでしたがこれがめちゃくちゃカッコいい。収録されてるのはDisk.1の(2)(8)(9)とDisk.2の(9)ですが、この他にも燻し銀のギター・インスト"Rollin' Blues" や、深みのある渋い味を出してるハーモニカが魅力のハープ・インスト"Sad Hours" この辺りもシビレましたね。

Gary Smith は最近音沙汰がないのですが、ライブ活動はしてるのでしょうけれどアルバムが全く届かないのは寂しいものですね。2001年にリリースされた「Blues For Mr. B」。ゲーリー・スミスのアルバムはこの1枚しか持ってないのですが、トラディショナルなシカゴ・ブルースを基調としたサウンドで、ジャジー・ブルースからミディアム・テンポのシャッフルまで、派手さがないのでインパクトには欠けるが、聴き込むほどに味が出てくるめちゃくちゃ渋いサウンド、好きですね。ここからはDisk.2の(5)と(12)。ゲーリー・スミスのハーモニカとジュニア・ワトソンのギター、正に燻し銀。たまらんです。

もう一人のギタリスト Fillmore Slim 。デビュー当初はClarence "Guitar" Sims と名乗っていました。Mountain Top からは3枚のアルバムを発表してまして、ハイトーン・ヴォイスでソウルフルなボーカルとスクィーズをあまり多用しないクリアトーンのギターが特徴的。クセのある個性的なサウンドを出したりしますが、妙に気になると言うか惹かれるブルースマンです。デビューアルバム「Born To Sing The Blues」からのDisk.1(5)は最もフィルモア・スリムらしい味が出ていて好きな曲ですね。3枚目の「The Legend of Fillmore Slim」からはDisk.1(7)(11)、Disk.2(4)(7)が選曲されてます。ラップを導入したり、ファンキーなロッキン・ブルースを演奏したり、前進しようとする姿勢はやはり共感が持てます。

そして、Mountain Top で注目すべきアルバムはやはり「Blues Harp Meltdown」でしょう。Mountain Top のハーピストは勿論、Billy Branch やJames Harman 、Rick Estrin 、Kim Wilson といった腕利きのハーピストが一堂に会して行われたライブです。ギターのジュニア・ワトソンの好サポートも随所で光ってて、ほんと凄いライブ・アルバムです。
当初は一回こっきりの予定だったライブですが、あまりもの好評に付きVol. 2、Vol. 3 と続編が開催されました。Vol. 2 ではJohnny Dyer やGary Primich などが参加し、Vol. 3 ではなんとCarey Bell やLazy Lester 、Willie "Big Eyes" Smith などの大御所さん達も参加する凄いライブに発展しました。
この中で思い入れがあるのはやはりVol. 1 で、Disk.2 の(13)と(16)の2曲だけが収録されてます。リック・エストリンのハーモニカの音色はほんとたまらん味わいです。
無論、キャリー・ベルやレイジー・レスターも最高です。

最後に、Johnny Dyer とMark Hummel のユニットにより製作されたアルバム「Rolling Fork Revisited」。マディ・ウォーターズへのトリビュートといった趣のアルバムで、マディ縁のPaul Oscher やFrancis Clay なども参加しての、全編50年代のヴィンテージなシカゴ・サウンド。しかしながら、古臭さを感じさせないのが西海岸の特徴というか面白さでもあります。マディのジュニアかと思わせる黒いボーカルのジョニー・ダイアーと卓越したハーモニカを吹くマーク・ハメル。このマーク・ハメルのハーモニカこそがポイントだと思います。収録されてるのはVol. 1 の(4)(12)とVol. 2 の(3)(8)(17)。その中でもPaul Oscher がスライド・ギターで参加してるVol. 2 (3)は聴き所で、ハーモニカとの絡み具合やスライドのソロ、ゾクゾクしますね。

最近のMountain Top は活動が停滞ぎみという感じですが、既成の概念に囚われずMountain Top らしい通をも唸らせる粋なアルバムを出して欲しいですね。

2011年8月12日金曜日

Joe Krown - Russell Batiste Jr. - Walter "Wolfman" Washington / Triple Threat


『Joe Krown - Russell Batiste Jr. - Walter "Wolfman" Washington / Triple Threat』
1. Only You (W. Washington)
2. Down by the River (J. Krown)
3. Last Two Dollars (G. Jackson)
4. Ridin' Thru the Mountains (R. Batiste)
5. For Your Love (E. Townsend)
6. Triple Threat (Krown, Batiste, Washington)
7. Twelve (R. Batiste)
8. Out of the Dark (W. Washington)
9. Dame Dreaming (J. Krown)
10. Can I Change My Mind (Wolfolk, Despenza)
11. Rollin' with Big Pat (R. Batiste)
12. Spirit of the Wolf (Krown, Batiste, Washington)

Joe Krown - hammond B-3 organ
Walter "Wolfman" Washington - guitar & vocals
Russell Batiste Jr. - drums & background vocals


2008年にライブ・アルバムを発表したジョー・クラウン、ラッセル・バティスト、ウォルター・ワシントンによるトリオバンドですが、満を持してスタジオ盤をリリースしました。
スタジオ録音でも変わらずに、まったりとカッコいいサウンドを放ってますね。
ジャズ・ファンク的なオルガン・コンボ・サウンドとワシントンが歌うソウル・ナンバーの2パターンを良い按配に並べた構成で、聴き応え十分、楽しめるアルバムになりました。

ジャズ・ファンク的なオルガン・コンボ・サウンドでは、バティスト作曲でバティスト自身も参加してたパパ・グロウズ・ファンクの1stアルバム「Doin It'」に収録されてた(4)。この曲がまずは何と言ってもカッコいいのです。トリオであるが故の隙間だらけのシンプルなバンド・サウンド、マッタリとしたゆる~いファンキー・グルーヴはたまらん魅力です。

ジョー・クラウンの曲ではやっぱり(9)かな。この曲はJoe Krown Organ Combo のアルバム「Livin' Large」に収録されて曲で、どちらも甲乙付け難いカッコ良さがあるのですが、どちらかと言えば今回のバージョンのほうが好きですね。(4)同様、間やタメを効かせたこのゆる~いグルーヴがいいのです。
クラウンのこってりと粘りのあるブルージーなオルガンに、ファットなトーンでジャジー&ブルージーに弾くワシントンのギター。そして、バティストのめちゃくちゃクールなドラミング。この3人だからこそ成し得たサウンドであろうという感じがしますね。

ウルフマン・ワシントンが歌うソウル・ナンバーでは、70年代を思わせるファンキーでジャジーなソウル(1)がまず気に入ってますし、ジョニー・テイラーの1996年のヒット曲(3)や しっとり歌い上げる(5)辺りもしぶ~い歌声で結構いい感じですね。
全部で5曲歌ってるのですが、その中でもワシントンが1988年にリリースしたアルバム「Out of the Dark」のタイトル・ナンバー(8)が一番好き。ボビー・ブランドを彷彿させる渋い歌声で、後半の盛り上がりをみせる魂の入った歌とブルージーなギター、痺れます。

録音状態も申し分なく、中低音もしっかり出てますので、迫力のサウンドが楽しめます。
真空管アンプを稼動させるには過酷な季節ですが、心地よいサウンドを堪能する為には、、、、、ベランダに打ち水して扇風機回せば割と涼しい、なんてやせ我慢を言いつつ聴いておりますが、、、暑い、、、
それはさて置き、最近常用している真空管は、サンバレーのPrime 300B ver.4 というメッシュプレートの300Bで、メッシュだからって音にどう影響するのかよく分かりませんが、中低音域寄りのパワフルさと音の広がりの良さ、こういう音を豊潤な音色と言うんでしょうか。凄く気に入ってる真空管です。
ジャズ・ファンクをかけても迫力と躍動感があって楽しく聴けます。

2011年8月5日金曜日

Spencer Bohren / The Blues According To Hank Williams


『Spencer Bohren / The Blues According To Hank Williams』 (Valve Records 2987)
1. Lonesome Whistle
2. I'm Gonna Sing
3. Honky-Tonk Blues
4. Weary Blues
5. Mind Your Own Business
6. Crazy Heart
7. I Can't Help It
8. My Sweet Love Ain't Around
9. Moanin' The Blues
10. Cold, Cold heart
11. I'm So Lonesome I Could Cry
12. Live and Love
13. Lovesick Blues
14. I Saw The Light
15. Ramblin' Man


スペンサー・ボーレンはワイオミング生まれで、ニューオーリンズで活動しているギタリスト&シンガー。リゾネイターでスライドを弾き、カントリー・ブルースを演奏する人のようですが、白人のカントリー・ブルース・マンのアルバムはどうも購入意欲が湧かなかったというのもあって、今まで聴いてなかったのです。
今回のアルバムはハンク・ウィリアムズのカヴァー曲集ということで、カントリー・ブルースではなく、フォーキーなカントリー・ミュージックでして、ボビー・チャールズを思わせるようなスワンプな雰囲気もあってめちゃくちゃ渋いですね。
ハンク・ウィリアムズはベスト盤をちょっと聴いた程度であまり詳しくはないのですが、ナンバーワンヒットした(13)(9)(10)をはじめ、比較的有名な曲が収録されてますので馴染みよい所です。
個人的に気に入ってる曲は、まずはホンキートンクなブルースナンバーの(3)。終始ギター一本で歌っている曲で、アコギの響きとダンディな歌声、肩の力がスーっと抜けていく様な温かみのある穏やかな雰囲気が和みますね。
(5)も結構好きな曲で、スローテンポの落ち着いた雰囲気の曲が多い中、この曲は2パートのギターとスティールギターの伴奏で、比較的賑やかでアップテンポ。ノリの良いギターのバッキングとレイドバックしてるスティールギターが聴きもの。こういう楽しいノリの曲もいいです。
バラードの名曲(11)。「泣きたいほどの淋しさだ」って曲ですが、この辺りの歌心も素晴らしいものがありますね。
ハンク・ウィリアムズの初のナンバーワン・ヒット曲(13)も好きだな。