2011年3月9日水曜日

Maurizio Pugno / Kill The Coffee


『Maurizio Pugno / Kill The Coffee』 (Pacific Blues Records)
1. The Lion's Den (M.Pugno/M.DuFresne)
2. Funny What Happens (When the Old Man's Not Around) (M.Pugno/R.Norcia)
3. I Like It Like That (M.Pugno/R.Norcia)
4. Kill the Coffee (R.Norcia)
5. On Down the Trail Again (M.Pugno/M.DuFresne)
6. Tronfy the Weeper (M.Pugno)
7. Blue Soul (M.Pugno/R.Norcia)
8. Drownin' on Dry Land (J.Parker/J.McGriff)
9. Big Party at My House Tonight (M.Pugno/R.Norcia)
10. Pray for Me (A.Marsico/M.DuFresne)
11. Grey Matters (M.Pugno/M.DuFresne)
12. Not Me (M.Pugno/R.Norcia)
13. From Norcia to Gubbio (M.Pugno/R.Norcia)
14. The Key (A.Marsico/M.DuFresne)

Maurizio Pugno - Lead and Rhythm Guitars
Sugar Ray Norcia - Vocal (on 2,3,4,7,9,12) and Harmonica (on 3,9,13)
Mark DuFresne - Vocal (on 1,5,8,10,11,14) and Harmonica (on 5,8)
With:
Alberto Marsico - Organ and Piano
Lucio Villani - Upright Bass
Gio Rossi - Drums
Mirko Pugno - Trumpet
Giordano Palazzari - Trombone
Rossano Emili - Baritone & Tenor Saxe


マウリツィオ・プーニョはイタリアのブルース・ギタリストで、1966年生まれ(自分と一緒だ)ブルース界ではまだ若いほう(と言っておこう)なのですが、ロニー・アールやハリウッド・ファッツを思わせるジャンピンでスウィンギー、時にはゾリッと図太いソリッドなギターを弾きます。なかなかカッコいい音を出してて、最近結構注目してるギタリストです。

テキサスやウェストコーストのブルース・ギタリストの中には、自分がメインで立っていても自分は歌わずにボーカリストを立てたり、ゲストさんに歌って貰ったりしているギタリストがいますが、歌が下手いからか、それとも、ギターに専念したいからなのか、分りませんが、マウリツィオ・プーニョも歌わないギタリストの一人。
前作の「That's What I Found Out」はシュガー・レイ・ノーシャが曲作りも含め、共同制作という感じで参加してましたが、今回は更にマーク・ダフレンが参加。二人とも元ルームフル・オブ・ブルース。サウンドも通ずるものが感じられますね。

マウリツィオ・プーニョは最近、オルガン・トリオのユニットを始めているようですが、Alberto Marsicoというオルガン奏者もなかなかいいオルガン弾きますので、どういうサウンドになるのか楽しみなところです。

2011年3月7日月曜日

Bobby Charles / Timeless


『Bobby Charles / Timeless』 (Rice 'n' Gravy Records)
1. Happy Birthday Fats Domino
2. Where Did All the Love Go
3. Nickles, Dimes and Dollars
4. Clash of Cultures
5. Little Town Tramp
6. Nobody's Fault but My Own
7. Before I Grow Too Old
8. Old Mexico
9. Rollin' Round Heaven
10. When Love Turns to Hate
11. Take Back My Country
12. You'll Always Live Inside of Me
13. Happy Halloween

今日はボビー・チャールズの遺作となってしまったアルバムです。
相変わらず、のんびりとやっておりますが、、、

1曲目の「Happy Birthday Fats Domino」は、1998年のアルバム「Secrets of the Heart」からの収録で、後の曲は全て新録曲みたいですね。
ボビー・チャールズのアルバムって昔の曲をそのまま収録したり、気が向いた時にスタジオ入りして録音した曲とか、そういう変則的なアルバムばかりなのですが、今回は明らかにアルバム製作目的でスタジオ入りして、意欲的に取り組んだアルバムだと思います。
それなのにどうして(1)を入れたのか、その真意が分りません。(1)を外して完全新録にしたほうがスッキリして良かったのになって気がします。

しかし、Dr.ジョンとの共同プロデュースであろうが、72年の1stアルバム以降いつの時代であろうが、ボビー・チャールズ・サウンドは全く変わるところがない。
2004年の「Last Train to Memphis」で久しぶりにボビー・チャールズを堪能したのですが、クレジットを見るまでは、新録のアルバムだと思って聴いていたのです。気ままに録音した曲や幻のセカンド・アルバムからのリミックス曲だとか、それこそ、75年から2001年までの音源がごちゃ混ぜに収録されてるのに全く違和感がない。改めてボビー・チャールズ・サウンドの素晴らしさを痛感したものです。

さて、今回のアルバム、(1)以外は今回のアルバムの為に録音された新録曲ですが、(7)はファッツ・ドミノの曲、(8)と(12)は例の幻のセカンド・アルバムに収録されてた曲で、新たに録音し直したバージョンだそうです。あとの曲は書き下ろしだろうか?その辺りの事はよく分りませんが、ボビー・チャールズの歌声を聴くと再収録だろうがリミックス曲だろうが、自分にとってはどうでもよい事だなって思います。若い頃よりも更に渋味を増した優しい歌声、ささくれ立った気持ちをすーっと癒してくれる。あー、ほんといいですね。
そして、曲作りの上手さは定評のあるところで全曲素晴らしいのですが、その中でも特に好きなのが、ゆるゆるのスワンプ・ブルース(6)。サニー・ランドレスのゆる~いスライドとDr.ジョンのタメたピアノ、ボビー・チャールズのまったりとした歌は絶品。たまらんな。
(8)の原曲を聴いた事はないけれど、こちらはテックス・メックスっぽい曲になってます。ジェリー・マギーのアコースティック・ギターの音色が琴線に触れてくるね。
ゴスペル調の女性コーラスをフィーチャーしたスワンプ・ポップの(9)も結構好き。

2011年3月1日火曜日

George Harmonica Smith / Blowing The Blues


『George Harmonica Smith / Blowing The Blues』 (Elsegundo 98001)
1. Blowing The Blues
2. West Helena Blues
3. I Don't Know
4. Miss O' Malley's Rally
5. All Last Night
6. I Want A Woman
7. Until You Come Home
8. Hot Rolls
9. I Must Be Crazy
10. Yes Baby
11. Loose Screws
12. Rope That Twist
13. Sometimes You Win When You Lose
14. Good Things
15. You Can't Undo What's Been Done
16. Nobody Knows
17. Trap Meat
18. Tight Dress
19. Times Won't Be Hard Always
20. Come On Home
21. The Avalon Boogaloo
22. As Long As I Live
23. Brown Mule
24. Summertime
25. Teenage Girl (w/ William Clarke)
26. Teardrops Falling (w/ William Clarke)

毎回毎回、新録のアルバムばかりなので、偶には昔のブルーマンのアルバムでも取り上げてみようか。でも在り来たりでは面白くないのでちょっとレアなアルバムでも、、、

テキサスやウェストコースト・ブルース・ファンを自認する者としては、まずはゲイトマウス・ブラウンやローウェル・フルスンだろうけれど、レアなアルバムなんて持ってないし、今のウェストコースト・ブルースの流れを考えるとやっぱりジョージ・ハーモニカ・スミスだろう。というか、ちょっとレアなアルバムってこの程度しか持ってないってのが本音なのですが、、

ジョージ・ハーモニカ・スミスが最初に録音したのは、マディのバンドを辞めた後、1955年、RPMに"Little George" Smith名義で「Blues In The Dark / Telephone Blues」を録音してますね。この頃のRPM(モダン)音源は別テイクや未発表も含め、P-Vineレコードが「Oopin' Doopin' Blues Harp」(PCD-3007)というタイトルで1991年にCD化してます。既に廃盤になってますが、、、Ace盤の「Harmonica Ace」も廃盤になってしまったようですし、これから聴きたいという人はどうしたらいいの、、、

しかし、本当の問題はこの後で、Little Walter Jr.やHarmonica King名義で録音した1956年のLapelからJ&M、Sotoplay、1968年のCarolynまでの音源なんですよね。
この頃の音源もあのP-Vineレコードがアナログ時代に「Blowin' The Blues」(PLP-703)というタイトルで1976年に発売してます。P-Vineの3枚目のアルバムだそうだが、世界的にみても初のLP化でしょ、この時代のP-Vineは凄いね。当時、自分は洟垂れ小学生でブルースのブの字も知らない訳で、いつもこの10年の壁を思い知らされる。
そして、CD時代になり、待てども待てども一向にCD化される気配がなかった。
Blind Pigが「Now You Can Talk About Me」(BPCD 5049)でオマケ程度に何曲か入れてますけれど、あれはあれでお~って思いましたが、でも全然不十分でしょう。
その後ひょっこり出てきたのが、Elsegundoというレーベルから発売された「Blowing The Blues」というCDだ。このアルバムには1956年から1968年頃までの音源がほぼ完璧に収録されてるということだが、レコードからCD化した海賊盤らしい。しかし、権利を持っているBlind Pigから訴えられて敢え無く撃沈。入手困難なアルバムになってしまった。
レコードからのCD化なのでスクラッチノイズが結構混入してるし、Blind Pig盤の音と比べても少々音痩せしてて、音質的にはあまり良くないが、演奏はめちゃくちゃ興奮しますね。
60年代に入ってJimmy Nolenのバンドをバックに録音したサウンドは最高に痺れるところで、P-Vineのレコードには入ってなかったB面の曲が聴けるのは嬉しいね。
Jimmy Nolenを始め、ジョニー・オーテイスのバンドにいたPete LewisやJ.D. Nicholsonなどがバックを勤め、R&B色の強い、シカゴ・ブルースとは一味違うクールでカッコいいサウンド、痺れるね。ガーシュウィンの「Summertime」なんかもゾクゾクしてくるね。やっぱり、マスターを持ってるBlind Pigには、リマスターしたコンプリートのCDを出して欲しいな。

George Smith / Blowin' The Blues (P-Vine PLP-703)

余談ですが、この後の68年にリリースされた「A Tribute to Little Walter」も結構好きです。「Blowing The Blues」で「リトル・ウォルターは過去の人だぜ」と歌ったジョージ・ハーモニカ・スミスがそのリトル・ウォルターのトリビュート・アルバムを録音するとは、何とも皮肉な感じがするのだが、歌もハーモニカもド迫力で痺れまくりです。