2011年6月23日木曜日

Trombone Shorty / Backatown


『Trombone Shorty / Backatown』 (Verve Forecast)
1. Hurricane Season (Troy Andrews)
2. On Your Way Down (Allen Toussaint)
3. Quiet As Kept (Troy Andrews)
4. Something Beautiful (Troy Andrews / Ryan Montbleau)
5. Backatown (Troy Andrews)
6. Right To Complain (Troy Andrews / PJ Morton)
7. NEPH (Troy Andrews)
8. Suburbia (Andrews, Ballard, Murano, Peebles)
9. In The 6th (Andrews, Oestreicher)
10. One Night Only (The March) (Andrews, Montbleau)
11. Where Y'at (Andrews, Slaughter)
12. Fallin' (Andrews, Morton)
13. The Cure (Andrews, Ballard, Murano)
14. 928 Horn Jam (Andrews, Oestreicher, Slaughter, Williams)

Troy "Trombone Shorty" Andrews - vocals, trombone, trumpet, keyboard, drums percussion
Pete Murano - guitar
Mike Ballard - bass
Joey Peebles - drums
Dwayne Williams - percussion
Dan Oestreicher - baritone saxophone
Clarence Slaughter - saxophone, flute
Additional Musicians:
Marc Broussard - additional vocals on (6)
Lenny Kravitz - backing vocals, guitar solo on (4)
Charles Smith - synthesized bass on (3),(5)
Allen Toussaint - piano on (2)


トロンボーン・ショーティことトロイ・アンドリュースの2010年リリースのアルバムです。
メジャー・レーベル移籍第一弾ということで、かなり気合いを入れた作品でしょうけれど、このメタル・サウンドにはちょっと面食らってしまったね。
ヒップホップやクラブ・サウンド、その中でも特にファンク・メタルを前面に打ち出してるのが特徴的で、背丈よりも大きいトロンボーンを吹いてた頃からトロイの事を知ってるニューオーリンズ・ジャズ・ファンの方々は、このサウンドをどう聴くのでしょうか。
しかしながら、重要なのはニューオーリンズのジャズやセカンドラインがしっかり土台となってる事で、これがサウンドの肝心要なんですよね。

そして、コンポーザーとしての実力も十二分に発揮されたアルバムで、マイナー系の曲が多いのがちょっと気になりますが、結構良い曲が揃ってますね。
冒頭からセカンドラインを織り交ぜたファンク色の強いニューオーリンズ・ファンクとしては割りと順当な滑り出し。トランペットのキャッチーなリフが印象的ですね。
個人的には3曲目が好きだな。タメながらもメリハリを付けたトロンボーンやワウ・ギターのリフがカッコいい。引き摺り気味に吹くトロンボーンのレイジーさもたまらんです。

中盤ではタイトル曲の(5)と言いたい所だが、このアルバムの中ではちょっと異質な感じのする(8)。出だし70年代のハード・ロックを思わせるが、その後のドラマチックな展開はロック・オペラという感じがします。このサウンドだとメタル・オペラと言ったほうが正しいかも。この曲、車のCMとかに使ったらカッコいいでしょうね。
続く(9)はキャッチーなホーン・アンサンブルと軽快なセカンドライン・ファンクの組み合わせで、結構お気に入りの1曲です。

後半はやっぱり(11)だね。このアルバムの中では特に好きな曲で、ギターやベース、ドラムが重厚なリズムを繰り出し、トロンボーンを含むホーン・セクションがキャッチーな旋律を奏でる。バンド・アンサンブルのカッコ良さと言ったらほんと痺れるね。
しかし、キャッチーキャッチーってバカの一つ覚えの様に言ってますが、リズムはファンクネスでも、ホーンのフレーズやメロディは思わず口ずさんでしまう位覚え易いのが特徴。
その他にバップ系の曲やソウル・ナンバーもやってますが、やっぱりジェームス・ブラウンは好きなんですね。次回作でGets Funkyやるのかな。
兎に角、家の中でじっくり腰据えて聴くのではなく、ドライブのお供に聴くとより最高です。

2011年6月17日金曜日

Reverend KM Williams / When I Rise


『Reverend KM Williams / When I Rise』 (Dialtone Records)
1. When I Rise
2. Free to Roam
3. The Lord Will Work It Out Somehow
4. I'm Comin Home
5. Something Took Control of Me
6. Tell Me Woman
7. Goin Away Baby
8. We'll Go Back to God
9. Please Come Back Home
10. I'm a Boogie Man
11. Take a Little Walk with Me
12. Hard Times Everywhere
13. My Lord Knows Just What to Do

Rev. KM Williams - guitar & vocals
Washboard Jackson - drums & washboard
Hash Brown - guitar 2/10, Harp 5/6
Blue Lisa, Andrea Dawson - back up vocals


テキサスのダイアルトーン・レコードがまたまた面白い人を引っ張って来ましたね。
レヴァレンド・KM・ウィリアムズ。1956年、ミシシッピのデルタ地帯に程近いテキサス州クラークスヴィル生まれ。
"Reverend" と言う位ですので聖職者なのでしょうけれど、何が面白いかって、ジャケットにも写ってる如何にもハンドメイドの1弦?2弦?のギター。YouTube を見るまではシャレだろうと思ってたら、マジでスライド弾いてる。これがまためちゃくちゃエグいサウンドを出してるし、こりゃほんとたまげた。
R.L.バーンサイドを彷彿させるファットポッサム系のミシシッピ・ヒル・カントリー・ブルース。
ギターとドラムだけで、ただひたすらワンコード・ブギで疾走する。
アメリカの牧師さんはスゲエな。

2011年6月16日木曜日

Hosea Hargrove / Tex Golden Nugget


『Hosea Hargrove / Tex Golden Nugget』 (Dialtone Records)
1. Negro Down
2. Nine Pounds Of Steel
3. 44 In My Hand
4. Boogaloo
5. Booty
6. Caress Me Baby
7. HOSEA
8. King Arthur
9. If You Love Me Like You Say
10. Love My Life (Part 2)
11. Years Go Passing By
12. I’m In Love With You Baby
13. Rock Me Baby

Hosea Hargrove - guitar & vocals
Scott Chester - rhythm guitar
Mike Keller - Bass
Jason Moeller - drums
Nick Connelly - piano
Charles Shaw - drums (13)
Hash Brown - rhythm guitar (13)


ホージア・ハーグローヴは1929年テキサス生まれで、現在もテキサスのオースティン界隈で活動している生粋のテキサス・ブルースマンで、若きジミー・ヴォーンがホージアを観る為に、ゲットーの黒人クラブに通い続けたという、伝説のブルースマンだそうである。

その伝説のブルースマンのアルバムが遂にダイアルトーンからリリースされたという訳ですが、1998年にフェドラから「I Love My Life」というアルバムをリリースしてますので、これが通算2作目となります。

前作を聴いてみますと、ギター・スリムの「The Things That I Used to Do」をライトニン・ホプキンス・スタイルで演奏しており、テキサスだなという感じはするのですが、全体的な感じとしては、ジェリー・ロール・キングス辺りのミシシッピ、ジューク・ジョイント・ブルースという雰囲気のサウンドでした。フランキー・リー・シムズとかに影響されたそうですが納得です。いずれにしましても、エグいサウンドである事は間違いないですね。

さて、今回のアルバムですが、ケント時代のローウェル・フルスンを思わせる(1)や(7)、ソウル・バラードの(2)、ライトニン・スタイルのカントリー・ブルース(3)などなど、比較的音楽性に富んだ構成になっとるようです。
「トランプ」のリズムを強弱付けてがっつり刻む(1)、グルーヴがエグくていいですね。

間を活かしたファンキーなブギ・ナンバー(4)、ジューク・ジョイント・ブルースという感じで、シンプルなバンド・サウンドながらギターのバッキングやピアノ、ドラム等のバンド・アンサンブルは、このアルバムの中でもダントツでカッコいい。

続く(5)は60年代のレイ・チャールズを思わせるファンキーなR&Bナンバーで、アフタービートを叩くドラムとギターのリフ。このノリノリのリズムもまた痺れるところだな。

そして、意外だったのが(8)で、こういう渋めのジャジーなブルースもやるんですね。
(6)(9)(10)は前作にも収録されてた曲で、リトル・ジョニー・テイラー作の(9)はアルバート・コリンズのカヴァーですが、ルイジアナっぽいアレンジで演奏されてて結構面白い。ですが歌の上手さやインパクトのあるギターとかね、やっぱりコリンズのほうが上かな。

2011年6月14日火曜日

Andy J Forest / NOtown Story : The Triumph Of Turmoil


『Andy J Forest / NOtown Story : The Triumph Of Turmoil』
1. True To You
2. Who Are You Tryn'a Fool?
3. Pretend We're Not Pretending
4. You Gotta Pay
5. The Blues Blues Too (inst.)
6. Dogs Chase Cats
7. The Moon Of June
8. Poor You
9. Morning Glory Vine
10. My Excuse For Now
11. The Blues Blues
12. Harpbinger (inst.)

Andy J Forest - vocals, harmonica, frattoir, slide guitar
Jack Cole - guitars
Allyn Robinson - drums
David Hyde - bass
Sean C - backup vocals #2, 7,8,11
Mike Hood - piano #4,5,7,11
Bart Ramsey - accordion #9
Washboard Chaz - #7


アンディ J フォレストは1955年ワシントン州生まれのハーピスト&シンガー。10代の頃、ロサンゼルスでジョージ・ハーモニカ・スミスやビッグ・ウォルター・ホートン、サニー・テリーなどを観てお手本とし、22歳でプロとして活動を始めるが、ジェームス・ブッカーやアール・キングなどの影響から、ニューオーリンズへと心惹かれていく。

その後、10年間のヨーロッパでの生活を終え、1991年にニューオーリンズ戻り活動しています。ウォッシュボードをアメリカでは一般的な"Washboard"とは言わず、わざわざ仏語で"frattoir"と言ってるのは、ヨーロッパ生活での影響なのでしょうか。

今回のアルバムは2010年にリリースされた新作だが、いつも通りの自主制作盤だ。
インナー・ジャケは前作よりも上等になったが、メディアは相変わらずCD-Rで、安く上げる為には致し方ない事なんでしょうね。しかし、中味は充実してて兎に角カッコいい。

まずは1曲目のロッキン・ブルース。切れの良いファンキーなリズムと、ジョージ・スミス程の馬力はあまり感じられないけれど、程よいファット感のあるトラディショナルなハーモニカ。この辺りのアンディ J フォレストらしいウェスト・コースト系のブルースは結構好きだ。

続く(2)はルイジアナ、スワンプ・ブルースで、ブルース・ハープのポジションというヤツはどうも良く分らないのですが、ここでは多分ファーストポジションを使用して、素朴に哀愁漂う音色が印象的です。こういうサウンドもなかなかいいですね。

(3)はスワンピーなレゲエ。ディレイのエフェクターを使用して、恰もユニゾンで演奏してるかのような効果を出してます。好んで良く用いる手法で、これもアンディの特徴的なハープ・サウンドの一つとなってます。

ミディアム・シャッフルのハープ・インスト(5)、これもなかなカッコいいナンバーですね。
(7)はロカビリー・タッチのバラード・ナンバーで、アンディ自身もウォッシュボード奏者であるが、ここではウォッシュボード・チャズが参加しています。このウォッシュボードのリズムが凄くアクセントになってて印象的ですが、全体的にまったりしたノリが心地よいね。

(9)は聴き様によってはレゲエにも、ザディコにも、ブルースにも聴こえて来るアンディ J フォレスト独壇場のサウンド。この跳ねてるリズムは最高です。
他にもキレの良いロッキン・ブルース(8)やドッシリしたシャッフル(11)、ロッキンなハープ・インスト(12)でのハープもかなり痺れる所ですし、どの曲もなかなかなものです。

2011年6月11日土曜日

Kenny Neal / Hooked On Your Love


『Kenny Neal / Hooked On Your Love』 (Blind Pig Records)
1. Hooked On Your Love
2. Bitter With The Sweet
3. Down In The Swamp
4. Blind, Cripped, or Crazy
5. If Walls Could Talk (Robert Miller)
6. Things Have Got To Change
7. New Lease On Life (William Bell / Keith Jones)
8. Ain't Nothing You Can Do (Don Robey / Wade Scott)
9. Old Friends (George Jackson / Jimmy Webb)
10. Tell My Why
11. Voodoo Mama
12. You Don't Love Me


ケニー・ニール、2010年リリースのアルバムです。前作同様、ブラインド・ピッグからのリリースで、ブラインド・ピッグに入ってからソウルを取り込んだサウンドを出しておりますが、今回のアルバムは更にソウル色を強くしたような感触ですね。

カヴァー曲では、リトル・ミルトンの(5)。(7)はウィリアム・ベル2006年の曲。ボビー・ブランドの(8)。スペンサー・ウィギンスの(9)。(4)はケニー・ニール作とクレジットされてますが、これはO.V.ライトの曲ですね。といった感じでメンフィス・ソウルに傾倒したかのような選曲がなされており、ケニー・ニールの行く末を示唆してるのかなという印象を受けます。

しかし、ケニー・ニールの牙城は飽くまでもルイジアナ、スワンプ・ブルースで、ソウルを混ぜ合わせ、絶妙にバランスの取れたルイジアナ産ブルーズン・ソウルという感じですね。
1曲目や2曲目のリトル・ミルトンを思わせるマイルドなトーンのギターが痺れる所で、ブルーズン・ソウルなのだけれどルイジアナ臭が漂ってるのがやはり魅力ですね。

(3)はファンク・ブルースとスワンプ・ブルースとを混合させたような曲。イメージ的には相反するサウンドの融合で、コレってアリですか?という感じなのでが、これが結構シックリきてる。この辺の感覚がケニー・ニールらしい所で、中々カッコいいリズムで好きですね。

ファンキー・ソウル的リズムがカッコいいウィリアム・ベルの(7)や、ボビー・ブランド(8)での泥臭い歌声もいいですね。そして、父レイフル・ニールもカヴァーしたスペンサー・ウィギンスの(9)、レイジー・レスターを彷彿させるスワンピーなハーモニカに兎に角痺れました。ブルージーな(8)とは一転してソウルフルに歌うのも聴きものです。
ジャンプ・ブルースの(11)も好きなんだな。

2011年6月7日火曜日

Motor City Josh & The Big 3 / It's A Good Life


『Motor City Josh & The Big 3 / It's A Good Life』 (FordCo Music)
1. Let It Roll
2. It's a Good Life
3. It's Just Another Rainy Day
4. All Roads
5. Lola Jeanne
6. Big Girl Part 1
7. I Hung My Head (Sting)
8. Cakewalk Into Town (Taj Mahal)
9. I'm Tryin'
10. Lucky Mutha Foya
11. Hula Hoop Champion
12. ATL Family 2010
13. Pawn Shop Blues
14. Crazy Love
15. Big Girl Part 2

Josh Ford - guitar & vocals
Johnny Rhoades - guitar
Alex Lyon - bass
Eric Savage - drums
and many more...


モーター・シティ・ジョシュが2010年にリリースした通算12枚目のアルバムです。
前作はハウリン・ウルフのトリビュートという事で、どっぷりブルースに浸かったアルバムでしたが、今回はアーバンな雰囲気のサザン・ロックが主体となっております。

冒頭1曲目はレイドバックしたスライド・ギターが特に印象的なミディアム・テンポのサザン・ロックだが、オールマン・ブラザーズ・バンドの、中でも取り分け「Brothers And Sisters」辺りを思わせるサウンドだ。この頃のオールマンズはディッキー・ベッツのルーツでもあるカントリー・サウンドを取り入れ、更に豊かな音楽性を発揮した頃ですね。
モーター・シティ・ジョシュもカントリーをルーツとしている側面も持っており、このアルバムでもカントリー・フレーバーを随所に取り入れてて、共通する部分も感じられるところです。
そういえば以前、「Jessica」をカヴァーしてましたしやっぱり好きなのでしょうね。

改めて収録曲を眺めてみると、(7)(8)以外はオリジナルで、特にジョシュ夫人のStacia Ford との共作が目に付きますが、20年来の友人Chuck Lyon 等との共作はいつも通り。元々コンポーザーとしても評価の高いジョシュ、このアルバムでの全15曲、ひいき目なしにどの曲も素晴らしい出来ですね。

ジョシュはブルースだけに拘らず、これまでに色んな音楽を聴いてきたのだろうなって気がします。それらが血となり肉となって、あの独特のモーター・シティ・ジョシュ・サウンドを構築してる。とは言え、スティングの(7)はやはり意外な選曲ではないかと思います。しかしながら、きっちりジョシュ・サウンドに仕立て上げるアレンジの巧みさは流石。曲の継ぎ目に、ルー・リードの「Walk on the Wild Side」のフレーズをサラッと入れてる所なんか、あまりにも嵌り過ぎでニクイ演出。ルー・リード大好きな自分にはゾクッとくる一瞬でした。後半のツイン・リードによるギター・ソロは、サザン・ロック好きにもたまらんギターの音色ではないでしょうか。それにしても、ジョシュのテレキャスターはいい音で鳴ってますよ。

もう一つのカヴァー曲(8)は、タジ・マハールの70年代の曲ですね。ジョシュはチューバではなくウォッシュボードをリズムのアクセントとし、ピアノも導入して南部色豊かなスワンプ・ブルースに仕立ててます。ジョシュのボーカルもかなり黒いのが特徴なもので、このアルバムの中では特に土臭いサウンドでなかなかいい感じですね。

オリジナルではプロモーション・ビデオまで製作した(6)、最もジョシュらしいと言えばジョシュらしいファンク・ブルース・ナンバーです。兎に角、このノリは最高で、「スモーク・オン・ザ・ウォーター」の超有名なリフを思いっきりやっちゃって、遊び心満点。
パート2の(15)はカントリー・バージョンか思いきや、パート1以上にファンキーになっちゃう。ギターの切れの良いバッキングとタイトなリズム、カッコいいですね。こちらでは「スモーク・オン・ザ・ウォーター」だけでは飽き足らず、クリームの「サンシャイン・オブ・ユア・ラヴ」、ガンズ・アンド・ローゼズ(曲名は知らない)、「サティスファクション」にエアロスミスの「ウォーク・ディス・ウェイ」。ライブだと延々とやっちゃうかもよ。相変わらず面白い人だね。

モーター・シティ・ジョシュは年間300本のライブをこなすツワモノのライブ・バンドで、演奏能力が高いのは言うまでもなく、エンターテイナーという部分でも凄く考慮されたライブを行っています。ライブ・アルバムを聴いただけでもその面白さは実感できるところで、何れ観てみたいブルース・バンドの一つなのですが、現状では残念ながら日本に来ることはまずないでしょう。それならば、DVDだけでも発売してくれないかなと前々から思っていたところ、最近漸くしかも立て続けに2本のライブDVDを発売しました。その内の1本が何と、2003年リリースのライブ・アルバム「Live From The Road」のDVD化。へぇ~このライブ、カメラ回してたんですね。もう1本はごく最近の現メンバーになってからのライブのようです。モーター・シティ・ジョシュは兎に角ライブです。楽しみですね。

2011年6月1日水曜日

Harmonica Hinds / Anything If I Could


『Harmonica Hinds / Anything If I Could』 (Harmonica Hinds)
1. Cuddle Inn
2. Credit Card
3. Anything If I Could
4. Thinking Bout the Good Times
5. Politics and Personality
6. Way Down South
7. You're Looking Good
8. It's So Nice
9. Walking Down the Street
10. Child of the Universe
11. Amigo
12. Horse

Harmonica Hinds - vocals, harp, guitar, tambourine
Eddie Taylor Jr. - guitar
Rick Kreher - guitar
Edward G. McDaniel - bass
Kenneth Smith - drums


ハーモニカ・ハインズは1970年代初頭からシカゴで活動しているハーピスト&シンガーで、それ以前はニューオーリンズに居たそうですが、シカゴではジュニア・ウェルズやサミー・ロウホーンジョン・プライマー等と共に、テレサズ・ラウンジのハウスバンドに参加してた事もあるようです。

ココ・テイラーの1978年のアルバム「The Earthshaker」でハーモニカを吹いてたのはこのハーモニカ・ハインズで、その他にはレフティ・ディズやジョン・プライマー、エディ・テイラーJr.等のアルバムにも参加してますよ。1998年のパークタワー・ブルース・フェスティバルに、シカゴ・ブルース・オールスターズのメンバーとして来日してます。

最近ではバディ・ガイズ・レジェンドを常宿としているようですね。ギター弾いてハーモニカ吹いて、タンバリンをフットストンプするスタイルが特徴。今時、バスドラやらハイハットやら一人でやっちゃったらちょっとスマートじゃないなと個人的には思うのですが、ハーモニカ・ハインズはその辺、粋でクールだなと思います。

今までにリリースしたアルバムは全て自主制作ですが、1994年の「Sensation」、1998年の「Another Dimention Of The Blues」、2008年の「Finally」があります。そして、今回の2010年にリリースされた最新作となります。初めて聴いたアルバムは「Finally」で、それ以前のアルバムは探し出すのはとてもムリっぽい感じですね。ジャケット見るとバンジョーなんか持ってたりするし、どんな音を出してたのか気になるところです。

今回のアルバムも前作と同様にエディ・テイラーJr. が全面参加、ギターがTom Holland からRick Kreher に交代した以外は同じメンバーでレコーディングされてます。
サウンドも前作同様バンド・サウンドをメインに、黄金期50年代の伝統的なシカゴ・ブルースを継承するサウンド。特にエディ・テイラーが好きな人にはたまらんサウンドです。

1曲目はハープ・インスト・ナンバー。ハインズのハーモニカは派手にブロウする事はないが、トラディショナルな渋い音色。ジュニアも親父さんに負けず劣らずのブギ・ビートを繰り出し、なかなかノリの良いバッキングで盛り立てる。何回聴いても楽しいサウンドです。
タイトル・ナンバー(3)のゆる~いシャッフルもたまらん味わい。
(6)は例の一人パフォーマンス。デルタ調のワンコード・ブルースで、タンバリンのストンプがめちゃくちゃイナタいね。
(8)なんかは1st ポジションで吹いてるハーモニカといい、このレイジーさといい、ボーカルの酔いどれた感じといい、正にジミー・リード。これもたまらん。
スワンプ・ポップなブルース(9)も結構好きだな。
アコギを使用したカントリー調の(11)なんかを聴くと、90年代にやってたサウンドはこんな感じだったのかなと想像してます。
最後は(1)と同じノリのハープ・インストで締め括り。いや~、楽しいです。