2009年5月27日水曜日

Motor City Josh & The Big 3 / Covered Up


『Motor City Josh & The Big 3 / Covered Up』
1. Born Under a Bad Sign
2. Dust My Broom
3. Jessica
4. Something
5. Little Red Rooster
6. Boogie Thing
7. She's 19 Years Old
8. I Can't Be Satisfied
9. On Line
10. Honey Hush
11. The Little Drummer Boy
12. Stopped by the Poe-Poe

今日は、デトロイト出身のギタリスト&シンガーのモーター・シティ・ジョシュです。
2002年発売のアルバム「Stringer Full Of Blues Vol.1」を聴いて以来、過去のアルバムからその後発売されたアルバム、全て購入するほどの熱の入れようでして、
ブルースは勿論、サザン・ロックやカントリーなど、幼き頃から聴いて来た音楽を吸収消化して、個性的なジョシュ・サウンドというものを、25歳で出した1stアルバムで既に確立させてましたから、やはり、並のミュージシャンではないなって思います。

ギターはアルバート・キングかアルバート・コリンズかという感じはしますが、テレキャスター弾きですから、やはり一番はアルバート・コリンズなのかな。しかし、ファットなサウンドにしろフレーズにしろ、自分のスタイルをしっかりと持ってるギタリストです。そのギター・サウンドはかなり魅力的で、最も惹かれるところですね。

そして、もう一つの魅力はボーカル。ハウリン・ウルフに近い感じで、黒人並みの図太い声をしています。初めて聴いて時は、そのみてくれとのギャップにホンと驚きました。

そんな存在感ばっちりのモーター・シティ・ジョシュが10作目として発表したアルバムが、今回の「Covered Up」ですが、タイトルからも想像できますように、お気に入りの人達の曲をカヴァーしたライブ・アルバムです。

ジョシュのライブは、いろんな趣向を凝らし遊び心満点の演出で定評がありまして、次は何が飛び出すかなんて楽しみがあるのですが、今回のアルバムは以前出したライブ・アルバムと較べると、全体的な印象としてはタイトに纏めたなという感じを受けました。ですが、つまらないなんて事は全くなくて、バンドの纏まりやらノリやらホンと良くて、より以上にバンド・サウンドに力入れたって、そんな意気込みが伝わってきます。

お気に入りは(10)で、アルバート・コリンズを割りとストレートにカヴァーしてますが、アレンジの上手さは流石で、完璧に自分の曲にしてしまってるのは凄いね。ファンキーなリズムのロッキン・ブルースはお手の物で、ただ遮二無二に突き進むのではなく、間を活かしたり、引くべき時は引いたりとメリハリをつけた演奏だからこそ、このファンキーさが生きてくるんですよね。

アルバート・キングの(1)もファンキーなブルース。この手のサウンドが一つの基本形となってます。もう一人のギタリスト、ジョニー・ローズの硬質で切れのあるストラト・サウンドと、ファットで艶やかなジョシュのテレキャスター・サウンドのコントラストがなかなか面白い。特に後半のコール&レスポンスがいいね。

ジョシュのワイルドなスライドが切れまくる(2)、ツイン・リード・ギターが冴えてるオールマンの(3)、妖艶なスライドがゾクゾクする(7)などなど聴き所満載で、めちゃくちゃシビレるライブ・アルバムでした。

これだけの逸材をアメリカのレーベルは、どうしてほっとけるのか不思議でならないのだが、自主制作でもいいからアルバムを出し続けてくれたらOKかな。来日なんて現実考えたら不可能に近いし、しかし、年間300本のライブをこなすライブ大好きな人達ですから、いきなりフジロックに登場してもきっと盛り上がるだろうな。

2009年5月16日土曜日

Maurizio Pugno featuring Sugar Ray Norcia / That’s What I Found Out!


『Maurizio Pugno featuring Sugar Ray Norcia / That’s What I Found Out!』 (Pacific Blues PBCDI-20701)
1. Opening Act (A.Marsico)
2. That Crazy Girl Of Mine (R.Norcia/M.Pugno)
3. Bite The Dust (R.Norcia)
4. Keep On Sailin' (R.Norcia/M.Pugno)
5. When My Father Met Charlie's Uncle (M.Pugno)
6. It Must Be You (R.Norcia/M.Pugno)
7. That's What I Found Out (R.Norcia/M.Pugno)
8. Mind To Give It Up (R.Norcia/M.Pugno)
9. I Love You Baby (Lazy Lester)
10. Take It All Back Baby (R.Norcia/M.Pugno)
11. Oh Louise! (R.Norcia/M.Pugno)
12. Fine Long Legs (R.Norcia/M.Pugno)
13. Black Angel (Stain/Arr. By M.Pugno)
14. I Love The Life I Live (Willie Dixon)
15. The Preacher (Horace Silver)

シュガー・レイ・ノーシア目当てに購入したアルバムだったのですが、これがとんだメッケ物で、と言うのも、「お~」って唸ってしまったのが、シュガー・レイの横でグレッチのナッシュビルを持って写ってるマウリツィオ・プーニョ(どう読むか解らなかったので自動翻訳してみました)というイタリア人ギタリスト。イタリアを中心にヨーロッパ諸国で活動しているようで、テキサス~ウエストコースト系のジャジーでスウィンギー、そして、ジャンピンないいギターを弾いてまして、思いっきり僕好みなんですよね。シュガー・レイがイタリアまで行って、共演アルバムをレコーディングしたのも解るな。

1曲目軽快なノリのジャジーなインスト・ナンバー、2曲目がジャンプ・ブルースで、結構好きなサウンドだなと思って聴いてたら、3曲目でガツーンとやられました。この曲はシュガー・レイの傑作アルバム「Knockout」に収録されてた曲で、シュガー・レイのオリジナルなのですが、マジック・サムの「I Found New Love」みたいな雰囲気でやってます。ギターも所々でマジック・サムのフレーズをサラッと弾いたりしてますが、イントロやソロでのタメてからバキバキって弾きたおす所なんか、鳥肌が立つ位カッコいい。

(4)はルイジアナのスワンプ・ポップちゅう感じかな。ハーモニカもサンパイかレイジー・レスターを想わせるレイドバックぶり。良い味出してます。ギターはテキサス系のパキパキ・サウンドで、ソロの途中にフレディ・キングの「Hide Away」のフレーズを入れたりしてたまらんです。

(5)はチャーリー・クリスチャン辺りのビバップかなスウィングかなってな感じの曲。ジャズという底なし沼に嵌まってしまうのが恐ろしいので、深入りしないように心がけておりますが、でもスウィングは楽しい。

(6)や(9)はジミー・リード・タイプのシャッフル・ナンバー。(9)はレイジー・レスターのクレジットになってますが、この曲はジミー・リードの曲ですね。レイジー・レスターのバージョンを元にしてるからでしょうね。泥臭くはないが、ドッシリと重心の低いリズムで、間を活かしたルーズな感じはなかなか好いです。

(10)はもろT-ボーン・ウォーカーのギターを模倣したスロー・ブルース。この手の人達にとっては基本中の基本でしょうね。上手く弾いてます。

その他に、ブルーズン・ソウルやロックンロール・ナンバーとかもやってて、自分達の好きなサウンドをいっぱい詰め込んだという感じのアルバムで、一貫性はないけど、いろんなタイプの曲が聴けて結構楽しめました。マウリツィオ・プーニョもいろんなタイプのギターを巧みに弾き分けて、かなり腕利きのギタリストですね。ただ、器用貧乏にならないといいんだけど。

2009年5月10日日曜日

Byther Smith / Got No Place To Go


『Byther Smith / Got No Place To Go』 (Fedora FCD 5034)
1. I'm a Honey Bee
2. I Had My Fun aka Goin' Down Slow
3. Monticello Lonely
4. I Know That's Grace!
5. Got No Place to Go
6. Byther Boogie
7. How Much More?
8. 35 Long Years
9. Every Woman I Meet
10. Come on in This House
11. Red!! You Let the Dogs Out

バイザー・スミスは、シカゴ・ブルース最盛期の60年代初頭から活動し始め、以降40年以上第一線で活躍している重鎮の一人と言っていいのだが、日本では今一つ知名度が低い。と言う自分も初めて聴いたアルバムは、2001年発表の「Smitty's Blues」だった訳なんですが。モダンなんだけどもダウンホーム臭いイナタいサウンドは割と個性的で、特にタメの効いたテンションの高いブギは結構好きなんです。

70歳代半ばになっても精力的に活動してるバイザー・スミスですが、今回のアルバムは「Blues On The Moon」(これが初のライブアルバムというから驚き)に続き、フェドラから発売されたスタジオ新録のアルバムです。

1曲目からいきなりロックンロール・ナンバーとは少々面食らってしまったが、チャック・ベリーっぽいフレーズを織り交ぜながら、バイザーらしいちょぴりクランチのかかったギターはインパクトありますね。リズムのノリも好きなほうで結構お気に入りです。

(4)ではもろジェームス・ブラウンのファンキー・ソウル。こういう曲になると歌の音程がちょっとビミョーって所もありますが、お年を考えたらこの迫力は凄い。

(6)はジョン・リー・フッカーのワンコード・ブギ。これはブギ・チレンですね。フランク・ゴールドワッサーのハーモニカがいい味出してまして、ダウンホーム臭さが益々臭くなってますね。

前半戦は割と意欲的な取組みをした感じですが、後半戦はバイザー・スミスらしいシカゴ・ブルースが並んでおります。

まずは従兄弟のJ.B.ルノアーの(7)。やっぱり、こういうロウダウンなシャッフルはいいね。たまらんです。バイザーはルノアーからギターを学んだそうですから、この曲も直伝でしょうか。じっくり煮込んで熟れたいい味を出してます。

スロー・ブルースの(8)。オーティス・ラッシュを彷彿とさせるクリア・トーンのスクイーズ・ギター。この表現力は流石、ぐっと心に染みてきますね。

そして、ジュニア・ウェルズの(10)。ジュニア・ウェルズとは70年代、テレサズ・ラウンジで長年一緒に活動した仲。その時の演奏は「ライヴ・アット・テレサズ 1975」で聴けます。あのアルバムはいろんな意味で有難かった。この曲もウェルズの定番曲、歌は及ばなくとも熟成されたギターの味は格別。

最後はファンキーでロウダウンなスロー・ブルース。ただ単に昔の音をなぞるのではなく、クリエイティブな楽曲を今なお探求する姿勢には感銘を受けます。