2007年5月30日水曜日

V.A. / Blues Harp Diggers ~ Rockin' & Blowin'


『V.A. / Blues Harp Diggers ~ Rockin' & Blowin'』 (P-Vine PCD-23914)
1) Icepick's Confession
2) Chicken Shack Boogie
3) Turn Your Damper Down
4) Pretty Thing
5) Evening Sun
6) Gonna Keep What I've Got
7) My Love Is Here To Stay
8) Big Road Blues
9) My Home
10) Three-Way Party
11) Cause I Love You
12) Big Leg Woman
13) Tomorrow Will Find Me The Same Way
14) She Wants To Sell My Monkey
15) Hey Little Girl
16) Hook, Line And Sinker
17) No Money Down
18) Born To Boogie

テキサスやウェストコースト、ニューオリンズなどの上質のリアル・ブルースを供給することで定評のあったブラックトップ。このレーベルから出されたブルース・ハーモニカに焦点を絞った、コンピレーションアルバムです。

テキサス~ウェストコーストのお気に入りのハーピスト達が次から次に登場します。
ジェイムス・ハーマンにロッド・ピアッツァ、テキサスのゲイリー・プリミチ、ラスティ・ジンのアルバムに参加したキム・ウィルソンやリック・エストリン。テキサスのギタリストのマイク・モーガンにはリー・マクビーなど。ノリの良い明るいサウンドのロッキン・ブルース。僕の大好きな音が目白押しなもんで、もう楽しくて仕方ありません。

あと、アンスン・ファンダーバーグ&サム・マイヤーズやジョニー・ダイヤーといった黒人ハーピストも収録されてますが、この音には痺れますね。ヴェテランの貫禄で、味わい深さもひとしおです。
忘れるところでしたが、マディのバンドに居たジェリー・ポートノイも入ってます。
全曲、理屈ぬきで楽しめます。

2007年5月27日日曜日

Barbara Blue and the Phantom Blues Band / By Popular Demand


『Barbara Blue and the Phantom Blues Band / By Popular Demand』 (Shout 33)
1) Trouble with a Capital "T"
2) Back by Popular Demand
3) Toolbox Blues
4) Don't Lead Me On
5) Road Blues
6) Can't Get Your Lovin' off My Mind
7) Sell My Jewelry
8) From the Delta to the Golden Gates
9) Cheatin' Blues
10) Drunken Angel
11) Brought Together by the Blues
12) Turtle Blues
13) Moonlight Over Memphis
14) If I Had You
15) Red Cadillac & The Blues
16) You Can't Stop My Love
17) No No Baby
18) Old Man's Moving Out

バーバラ・ブルーはピッツバーグで生まれ、メンフィスで活躍しているブルースシンガーですが、全く知らなかった人で、このアルバムはファントム・ブルース・バンド(タジ・マハルと共演してグラミー賞を受賞したバンド)が参加してるというだけで購入したものです。ですが、このバーバラ・ブルーというシンガー只者ではないですね。抜群の歌唱力で、ジャニス・ジョプリンのような歌い方をする時もありますが、図太くてパワフルな歌声は白人離れした、黒人シンガーそのもので、かなり説得力のあるシンガーですね。

ファントム・ブルース・バンドの素晴らしいサポートを受けて、ファンキーなブルースやジョン・リー・フッカーのようなローダウンなブルース、ソウル、R&Bバラード、ニューオリンズものまで歌いこなしております。どの曲もメジャー級といっていいほどの出来です。メンフィスのクラブシーンで鍛え上げられた年期が感じられます。

2007年5月24日木曜日

Candye Kane / Guitar'd and Feathered


『Candye Kane / Guitar'd and Feathered』 (BSMF-2044)
1) My Country Man
2) Back with My Old Friends
3) When I Put the Blues on You
4) I'm Not Gonna Cry Today
5) I Done Got Over It
6) Goodbye My Heart
7) I'm My Own Worst Enemy
8) Fine Brown Frame
9) I'm Lucky
10) Jesus and Mohammed
11) Club of the Foolish Hearts
12) We're Long Ago and Far Away
13) Crazy Little Thing

ロサンゼルス出身のジャンプ・ブルース・シンガー、キャンディ・ケインの通算8枚目となる新作です。94年にアントンズからデビューする前、80年代にはパンク・ロックを歌って評判になり、86年にCBSと契約するのですが、キャンディの波乱万丈な過去を警戒したCBSは契約を破棄したらしいんですね。傷心したキャンディはサンディエゴに移り、パラディンのベーシスト、トーマス・イアズリーと結婚後、コミュニティ・カレッジに通って勉強。ルース・ブラウンやビッグ・ママ・ソーントン、エタ・ジェームス、ベシー・スミスなどに触れ、ブルースに目覚める訳です。ジャンプにジャイヴ、スウィング、R&Bからシャッフルやロックンロールまで、何でも歌いこなす歌唱力は相当なものであり、あのダイナマイト・ボディから発せられる歌声は、とてもパワフルで圧倒されます。また、作曲も自分でこなし、結構いい曲を書きますよ。

今回は、豪華なギタリストをゲストに呼んでのアルバムになってます。
T-ボーン・ウォーカーばりのギターを弾いてるジュニア・ワトソンやプロデュースも担当してるボブ・マーゴリン。カナダ出身のスー・フォーリー。ジェフ・ロスのDell Arte Gutarは透明感のある気持ちいい音を出してます。カントリータッチの軽快なブルースをアコースティック・ギターでペキペキ弾いてるキッド・ラモス。ブルース・ロックなギターを弾いてるユーゴ出身の女性ギタリスト、アナ・ポポヴィッチ。あと、ボブ・ブロズマンやポパ・チャビーなど。それぞれのギタリストが個性的なプレイを披露してくれてて、とてもバラエティに富んだ楽しい作品になってます。キャンディも負けじと力強い歌声を聴かせてくれてますが、ゲスト陣によってよりキャンディの素晴らしさが際立った感がありますね。
もし、キャンディ・ケインを聴いたことないという人は、騙されたと思って聴いてみて下さい。きっと、今年のお気に入りの一枚になると思いますよ。

2007年5月17日木曜日

The Mannish Boys / Big Plans


『The Mannish Boys / Big Plans』 (Delta Groove DGPCD-116)
1) Border Town Blues
2) I Can't Stay Here
3) I Get So Worried
4) Mary Jane
5) Carpet Bagger Blues
6) Just to Be with You
7) Gotta Move
8) Why Do Things Happen to Me
9) Groan My Blues Away
10) Mine All Mine
11) Young & Tender
12) My Baby's a Good 'Un
13) Broken Hearted Blues
14) Walkin' Down Fillmore
15) California Blues

ウェストコーストで今一番勢いのあるブルースレーベル、デルタ・グルーヴの看板バンドであるマニッシュ・ボーイズが新作を発表しました。まず気になるのは主要メンバーの顔ぶれなんですが、前作のライヴ盤「Live & In Demand」でのメンバー8人が引き続き参加してます。それに、T-バーズに加入したギターの名手、カーク・フレッチャーが再び参加しているのは嬉しいですね。スペシャル・ゲストには奇蹟の復活を遂げたジョディ・ウィリアムス、シカゴのベテランシンガーのボビー・ジョーンズ、ウェストコーストのギタリストでリック・ホームストローム、デルタ・グルーヴでアルバムも出してるハーピストのミッチ・カシュマー、ピアニストのロブ・リオなどの8名。総勢17名が入り乱れてのスタジオ録音となってます。メイン・ヴォーカルのフィニス・タスビーは5曲、ジョニー・ダイヤーにおいては2曲しか歌ってなくて、あとは他のメンバーやゲストが交代で歌っております。バンドも曲ごとにキャスティングが代わり、2曲と同じ面子での演奏はない位複雑な組み合わせです。レギュラー・メンバーというのにあまり拘ってないんでしょうね。しかし1作目の「That Represent Man」とは少々趣の異なるサウンドも聴けるが、全体的に1作目と変わらないマニッシュ・ボーイズのサウンドになってるのは流石に凄いと思いますね。ほんとに面白いバンドです。サウンドはOld Schoolと言っていいヴィンテージなシカゴサウンドが基本で、ウェストコーストのカラッとした音や泥臭いダウンホームな音、テキサスなどを混ぜ合わせた感じ。アリゲーターのような派手派手ではなく、カラーでもモノクロでもないセピア色のような温もりのあるサウンドが特徴的で、本当に気持ち良く聴けますね。

オープニングはロング・ジョン・ハンター作で、これぞマニッシュ・ボーイズと思わせるような軽快なノリのシャッフル。ヴォーカルはフィニス・タスビー。とぼけた様な歌口は味があっていいんですよね。そして、リードギターがカーク・フレッチャーでサイドがフランク・ゴールドワッサー。これは1作目のラインナップ(ドラムとベースは違いますが)。カークの切れ味の良い流暢なソロとフランクのエディ・テイラーを思わせる職人芸の渋いサイド。たまらんです。2曲目はローリン&タンブリン調で、ハウンド・ドッグ・テイラー流儀のロッキンなブギ。これは完全にフランク・ゴールドワッサーの趣味ですね。フランクが歌いギターを弾いてますが、このスライドのカッコいいこと、痺れます。カークのカッティングがいいアクセントになってます。3)ではフィニスとキッド・ラモスの組み合わせで、渋いスローブルースをやってます。キッド・ラモスのT-ボーン・ウォーカーを彷彿とさせるギターは、とても渋く味わい深いですね。6)はジョニー・ダイヤーがヴォーカルとハーモニカで参加。マディも録音したダウンホームな曲。ジョニーの得意とする分野で、流石にこのディープな歌声はほんといいです。8)ではフィニスの深みのあるヴォーカルとキッド・ラモスのテキサス流の枯れたギターの絡みは渋すぎ。9)でいよいよジョディ・ウィリアムスが登場します。スワンプ・ポップぽい曲調で、ほのぼのとしてて和みますね。ジョディは11)でもヴォーカルとギターを担当しますが、ここではジョディらしい深みのあるヴォーカルとクリーントーンのギターが堪能できます。10)のロッキン・ブルースでは、キッドがスライドを弾きますがこれもなかなかイケテます。13)はジミー・ロジャースのとびっきりダウンホームな曲。コテコテです。ミッチ・カシュマーのアンプリファイド・ハープがとてもカッコ良くって痺れますよ。そして、これだけスカスカだとアップライト・ベースも活きてきますね。T-バーズの元ギタリストのキッド・ラモスと新ギタリストのカーク・フレッチャーが顔を合わせるのは、このアルバムの中でも12)と14)だけ。特に14)では1stソロをカーク、2ndソロをキッドと言う具合にソロを分け合います。こんな競演は滅多に聴けるものではありません。一聴の価値ありです。最後はボビー・ジョーンズがハウリン・ウルフナンバーを歌いますが、意識した歌い方に思わずニヤッとしてしまいました。カークのギターも最高です。

デビューアルバムが出た当初、あまりに役者が揃ってたので企画物みたいな感じがして、単発で終わりだろうなと思ってました。でも、こうやって3作目が出たとなると、メンバーは変われど継続してくれると確信しました。嬉しいことです。次はどんなスペシャルなゲストが参加してマニッシュ・ボーイズを演じてくれるか、楽しみになりました。

2007年5月10日木曜日

Carey & Lurrie Bell / Gettin' Up


『Carey & Lurrie Bell / Gettin' Up』 (P-Vine PCD-23915)
At Rosa's Lounge July 27,2006
1) What My Mama Told Me
2) Gettin'Up
3) Baby Please Don't Go
4) Bell's Back
At Buddy Guy's Legends October 21,2006
5) One Day
6) Leaving In The Morning
7) Last Night
8) Low Down Dirty Shame
At Lurrie's Home July 28,2006
9) Broke And Hungry
10) When I Get Drunk
11) Short Dress Woman
12) Stand By Me


『Carey & Lurrie Bell / Gettin' Up』 (P-Vine PVDV-31)
At Rosa's Lounge July 27,2006
1) What My Mama Told Me
2) Gettin'Up
3) Baby Please Don't Go
4) Bell's Back
5) Hard To Leave You Alone
6) I'm A Fool
At Buddy Guy's Legends October 21,2006
7) One Day
8) Leaving In The Morning
9) Last Night
10) Low Down Dirty Shame
At Lurrie's Home July 28,2006
11) Broke And Hungry
12) When I Get Drunk
13) Short Dress Woman
14) Stand By Me

キャリー・ベルが5月6日、心不全で亡くなりました。享年70でした。
キャリーが活動できる間にと、デルマークが急遽セッティングしたのがこのライヴ・レコーディングだそうで、これが遺作となってしまいました。なんとも皮肉なことで残念なのですが、今となっては本当に貴重な映像となりました。

キャリーは軽い心臓発作で倒れ、お尻の骨を折って入院しており、退院後間も無くして行われたのがこのローザス・ラウンジでのライヴだそうです。体調は万全じゃないようで終始椅子に座って演奏してますが、流石にキャリー・ベルですね、貫禄十分です。ジュニア・ウェルズ作で適度にノリの良いシャッフルの曲から始まります。「ディープ・ダウン」の頃のようにブリブリという訳にはいきませんが、ベテランの味と言いましょうか、いぶし銀のハープと深みを増した歌声、痺れますね。そして、もう1人の主役ローリー・ベル、近年はテイル・ドラッガーやミシシッピ・ヒートなどのライヴに出演したりと活躍目覚しいですが、久しぶりに親父さんとのライヴ録音ということで気合入ってます。切れの鋭い鋭角なギター、冴えてますね。最近のローリーのギターの中では本当に最高の出来ですよ。2曲目はキャリーがこの日の為に用意した新曲。スローなシャッフルで結構いい曲です。3)ではローリーがヴォーカルを担当します。4)はノリノリなインスト。キャリーも元気に吹きまくってくれて、まだまだやれるよと思ったのですが。そして、5)はオリジナルのスロー・ブルース。ここでキャリーの年季の入ったクロマチック・ハーモニカが登場しますが、イントロのフレーズ、この音、メチャクチャ痺れます。歌も感情入ってて涙腺に響いてきました。また、ローリーの切れの良いギターソロがゾクゾクするんですよ。もう痺れぱなしで最高です。

11)からはローリーの自宅でのセッションが収録されてます。親子二人でダウンホームな演奏をしてます。アットホームでリラックスした雰囲気がとても良く和みました。最後にローリーがゴスペル調で「スタンド・バイ・ミー」を熱唱しますが、家族思いが伝わってきて心温まりました。

キャリー・ベル、そしてローリーの愛妻スーザンのご冥福をお祈り致します。

2007年5月7日月曜日

Chuck Higgins / Pachucko Hop


『Chuck Higgins / Pachucko Hop』 (Ace CDHP-024)
1) Pachuko Hop
2) Blues 'N' Mambo
3) Iron Pipe
4) Boyle Heights
5) Blue Sax
6) Papa Charlie (Vocal : Daddy Cleanhead)
7) The Duck Walk
8) The Rooster
9) Tortas
10) Big Fat Mama (Vocal : Daddy Cleanhead)
11) Stormy (Vocal : John Watson)
12) Just Won't Treat Me Rite (Vocal : John Watson)

ウェストコーストで活躍してたサックス奏者、チャック・ヒギンズの52年に発表された名盤中の名盤です。92年にスペシャルティがCD化したことがありましたが、今回のはジャケットの表裏や収録曲もオリジナルを忠実に再現し、紙ジャケでリイシューされました。オリジナルLPは超レア盤で、1000ドル位はするらしいです。

オリジナルでは1)~6)がA面、7)~12)がB面で、根本的にジャンプ・ブルースなのですが、A面とB面ではちょっぴり曲調が違ってて、A面ではまだジャズ寄りで、ジャイブ的な雰囲気を見せつつも、ワイルドでアグレッシブなブローサックスが結構クールだったり、ラテンのリズムを取り入れたジャンプ・ナンバーなんかもヒップでいいですね。B面はロックンロール旋風が吹き始めた頃のサウンドらしく、ロッキンなリズム&ブルース色がぐっと強くなってきてますね。より以上にヒップになった感じです。そして、なんと言っても注目すべき点は、ジョニー・ギター・ワトソンがピアニストとしてバンドに参加してることで、11)と12)では作曲とヴォーカルを担当しております。11)はブルース・バラード、12)はジャンプ・ブルースで、他の曲とは一線を欠くブルース色の強い曲調になってます。ブルースファンとしてはこの辺りも聴き所の一つですね。また、7)と8)だけギターが入ってて、クレジットはないのですが、このギターは間違いなくジョニー・ギター・ワトソンだと思います。ロッキンなリズム&ブルースで、ジャイヴな雰囲気もありとても楽しい曲ですね。ギターも痺れる位カッコ良くて、アルバム全体通してこの2曲が最高です。