2007年5月17日木曜日

The Mannish Boys / Big Plans


『The Mannish Boys / Big Plans』 (Delta Groove DGPCD-116)
1) Border Town Blues
2) I Can't Stay Here
3) I Get So Worried
4) Mary Jane
5) Carpet Bagger Blues
6) Just to Be with You
7) Gotta Move
8) Why Do Things Happen to Me
9) Groan My Blues Away
10) Mine All Mine
11) Young & Tender
12) My Baby's a Good 'Un
13) Broken Hearted Blues
14) Walkin' Down Fillmore
15) California Blues

ウェストコーストで今一番勢いのあるブルースレーベル、デルタ・グルーヴの看板バンドであるマニッシュ・ボーイズが新作を発表しました。まず気になるのは主要メンバーの顔ぶれなんですが、前作のライヴ盤「Live & In Demand」でのメンバー8人が引き続き参加してます。それに、T-バーズに加入したギターの名手、カーク・フレッチャーが再び参加しているのは嬉しいですね。スペシャル・ゲストには奇蹟の復活を遂げたジョディ・ウィリアムス、シカゴのベテランシンガーのボビー・ジョーンズ、ウェストコーストのギタリストでリック・ホームストローム、デルタ・グルーヴでアルバムも出してるハーピストのミッチ・カシュマー、ピアニストのロブ・リオなどの8名。総勢17名が入り乱れてのスタジオ録音となってます。メイン・ヴォーカルのフィニス・タスビーは5曲、ジョニー・ダイヤーにおいては2曲しか歌ってなくて、あとは他のメンバーやゲストが交代で歌っております。バンドも曲ごとにキャスティングが代わり、2曲と同じ面子での演奏はない位複雑な組み合わせです。レギュラー・メンバーというのにあまり拘ってないんでしょうね。しかし1作目の「That Represent Man」とは少々趣の異なるサウンドも聴けるが、全体的に1作目と変わらないマニッシュ・ボーイズのサウンドになってるのは流石に凄いと思いますね。ほんとに面白いバンドです。サウンドはOld Schoolと言っていいヴィンテージなシカゴサウンドが基本で、ウェストコーストのカラッとした音や泥臭いダウンホームな音、テキサスなどを混ぜ合わせた感じ。アリゲーターのような派手派手ではなく、カラーでもモノクロでもないセピア色のような温もりのあるサウンドが特徴的で、本当に気持ち良く聴けますね。

オープニングはロング・ジョン・ハンター作で、これぞマニッシュ・ボーイズと思わせるような軽快なノリのシャッフル。ヴォーカルはフィニス・タスビー。とぼけた様な歌口は味があっていいんですよね。そして、リードギターがカーク・フレッチャーでサイドがフランク・ゴールドワッサー。これは1作目のラインナップ(ドラムとベースは違いますが)。カークの切れ味の良い流暢なソロとフランクのエディ・テイラーを思わせる職人芸の渋いサイド。たまらんです。2曲目はローリン&タンブリン調で、ハウンド・ドッグ・テイラー流儀のロッキンなブギ。これは完全にフランク・ゴールドワッサーの趣味ですね。フランクが歌いギターを弾いてますが、このスライドのカッコいいこと、痺れます。カークのカッティングがいいアクセントになってます。3)ではフィニスとキッド・ラモスの組み合わせで、渋いスローブルースをやってます。キッド・ラモスのT-ボーン・ウォーカーを彷彿とさせるギターは、とても渋く味わい深いですね。6)はジョニー・ダイヤーがヴォーカルとハーモニカで参加。マディも録音したダウンホームな曲。ジョニーの得意とする分野で、流石にこのディープな歌声はほんといいです。8)ではフィニスの深みのあるヴォーカルとキッド・ラモスのテキサス流の枯れたギターの絡みは渋すぎ。9)でいよいよジョディ・ウィリアムスが登場します。スワンプ・ポップぽい曲調で、ほのぼのとしてて和みますね。ジョディは11)でもヴォーカルとギターを担当しますが、ここではジョディらしい深みのあるヴォーカルとクリーントーンのギターが堪能できます。10)のロッキン・ブルースでは、キッドがスライドを弾きますがこれもなかなかイケテます。13)はジミー・ロジャースのとびっきりダウンホームな曲。コテコテです。ミッチ・カシュマーのアンプリファイド・ハープがとてもカッコ良くって痺れますよ。そして、これだけスカスカだとアップライト・ベースも活きてきますね。T-バーズの元ギタリストのキッド・ラモスと新ギタリストのカーク・フレッチャーが顔を合わせるのは、このアルバムの中でも12)と14)だけ。特に14)では1stソロをカーク、2ndソロをキッドと言う具合にソロを分け合います。こんな競演は滅多に聴けるものではありません。一聴の価値ありです。最後はボビー・ジョーンズがハウリン・ウルフナンバーを歌いますが、意識した歌い方に思わずニヤッとしてしまいました。カークのギターも最高です。

デビューアルバムが出た当初、あまりに役者が揃ってたので企画物みたいな感じがして、単発で終わりだろうなと思ってました。でも、こうやって3作目が出たとなると、メンバーは変われど継続してくれると確信しました。嬉しいことです。次はどんなスペシャルなゲストが参加してマニッシュ・ボーイズを演じてくれるか、楽しみになりました。

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