2009年4月30日木曜日

Eli "Paperboy" Reed & The True Loves / Roll With You


『Eli "Paperboy" Reed & The True Loves / Roll With You』 (P-Vine PCD-20035)
1. Stake Your Claim
2. Am I Wasting My Time
3. It's Easier
4. The Satisfier
5. Take My Love With You
6. I'll Roll With You
7. She Walks
8. I'm Gonna Getcha Back
9. Won't Give Up Without A Fight
10. (Am I Just) Fooling Myself
11. (Doin' The) Boom Boom
12. Walkin' And Talkin' (For My Baby)

何年か前に出たイーライ“ペーパーボーイ”リードの1stアルバムを聴いた事があるが、本筋は60年代のソウルに傾倒してるなと感じさせつつ、ギターがもろブルースのフレーズであったりと、ブルーズン・ソウルという側面も垣間見れた。

しかし、今回のアルバムでは首尾一貫、徹底して正統的な60年代のサザン・ソウルにこだわって作ったようですね。

これが大正解で、バンド自体の成長やイーライの歌が格段に上手くなったこともあり、サウンドに纏まりができスッキリとした感じだ。全曲オリジナルだが、何処かで聴いた事のあるようなキャッチーな曲ばかりで、スーっと耳に馴染む。

ぶりぶりファンキーだったり、ソウルフルに聴かせてくれたり、こういうサウンド聴いてるとやっぱり、オーティス・レディングとかウィルソン・ピケット、エディ・フロイド、O.V.ライトとか、スタックスやマッスルショールズ・サウンドが非常に聴きたくなってくるんですね。

普段、ブルースしか聴かない自分にとっては、思い出させてくれる。だから、リバイバルなのでしょうけれど、ネオ・ヴィンテージ・ソウルと言うそうですね。
ふらっと入ったお店でイーライ“ペーパーボーイ”リードが流れたら、僕はそこの常連になっちゃうな、多分。

2009年4月28日火曜日

Mitch Kashmar / Live at Labatt


『Mitch Kashmar / Live at Labatt』 (Delta Groove DGPCD128)
1. I Got No Reason
2. Dirty Deal
3. Whiskey Drinkin' Woman
4. Evil Man Blues
5. Song For My Father
6. Sugar Sweet
7. You're The One
8. Lollipop Mama
9. Wake Up & Worry
10. Castle Rock

ミッチ・カシュマーは、2005年にDelta Grooveからアルバムを発表して以来、その存在感を発揮してメキメキと頭角を現してきたDelta Grooveの看板ハーピストです。

最近はWARのメンバーとしての活躍も目覚しく、名実共にウェスト・コーストを代表するハーピストになりました。

ミッチの吹くクロマチック・ハープのサウンドは、ウィリアム・クラークを彷彿させるものがあり、ウィリアム・クラークの後継者は、この人しかいないだろうと思います。

このアルバムは2007年8月、カナダで行われたブルース・フェスティバルに出演した時に収録されたライブです。80年代のミッチ・カシュマーのバンド・メンバーがバックを固めており、ばっちり息の合ったサウンドを聴かせてくれますが、注目はやはりウィリアム・クラークのバンドにも居たことのあるギタリスト、ジョン・マークスかな。

まずは1曲目のロッキンなジャンプ・ブルースが最高。クロマチックの素晴らしさも然る事ながら、ジョン・マークスのセンスのいいジャンピンなギターも痺れますね。ハープ・ソロでギターのカッティングが如く、ザクザクと刻むあたりも好き。

(2)、(3)での割りとトラディショナルなシカゴ・ブルースでは、ダイアトニックの生ハープで演奏してます。ネコの鳴き声のように甲高くブロウするのも特徴的です。

(4)は“Evil Gal Blues”。MCでオリジナル・チューンはベシー・スミスみたいな事を言ってましたが、えっ、ダイナ・ワシントンじゃなかったの。どっちでもいいんだが、サウンドはぶりぶりファンキー。(1)と甲乙つけ難いくらいカッコいい。

(5)は意表を突くファンキー・ジャズ。

そして、スタンダードを挟んで取って置きの(8)。ウィリアム・クラークを偲んで演奏された曲ですね。この貫禄はもうベテランの域ですわ。

このような人達が、ごく当たり前のように日本に来て、とびっきりの演奏をしてくれる時がいつか来るだろうか。

2009年4月21日火曜日

Cedric Burnside & Lightnin' Malcolm / 2 Man Wrecking Crew


『Cedric Burnside & Lightnin' Malcolm / 2 Man Wrecking Crew』 (Delta Groove DGPCD127)
1. R.L. Burnside
2. So Much Love
3. My Sweetheart
4. Nobody Else
5. Don't Just Sing About The Blues
6. That's My Girl
7. She's Got Somethin’ On Me
8. Fightin’
9. Stay Here In Your Arms
10. She Don't Love Me No More
11. World Full Of Trouble
12. Mad Man Blues
13. Tryin' Not To Pull My Gun
14. Time To Let It Go

セドリック・バーンサイドは、R.L.バーンサイドの孫で、カルヴィン・ジャクソンの息子。ミシシッピー・ヒル・カントリー・ブルース界のサラブレッドだな。R.L.の「Mr. Wizard」以降、ちょくちょくレコーディングに参加してますので、ファンにはもうお馴染みのドラマーかな。

一方、ライトニン・マルコムは、ノース・ミシシッピーのヒル・カントリーで活動してるギタリスト。聴いた事はないですが、割とモダンなデルタ・ブルースをやるそうです。

2007年に1stアルバム「Juke Joint Duo」を発表してますが、そのタイトル通りのデュオ・バンドですね。

今回のアルバムでは、ジェイソン・リッチが3曲ハーモニカを吹いてる他は、ギターとドラム、そしてボーカルのヒル・カントリー・ブルースでは定番のセットで演奏してます。

サウンドはR.L.バーンサイドの流れを汲む、ワン・コード・ブギによる強烈なダンス・ビートを基本としながらも、ヒップホップ世代の若い感覚が、クロスオーバーした新しさを感じます。泥臭さもしっかりあるところがまたいいね。

ベースレスによるスカスカな音、だけども凄くタイト。これが本当に気持ち良い。特に要となってるのがライトニン・マルコムのギターで、嫌味のないディストーション・サウンドで弾くリフは、時にはワウなんかも被せたりして、結構カッコいい。

このアルバムは出来るだけ爆音で聴いたほうが痺れる。パンクを聴いてたガキの頃を思い出して、何だか気分が高揚してくるんですね。

“Wrecking Crew”の2人には、既成の枠を取っ払って新しいサウンドを作って欲しいと思うのだが、ブルース・フィーリングは忘れないで貰いたいな。バランスが難しいけれど。

2009年4月18日土曜日

Dialtone All-Star Live!


『Dialtone All-Star Live!』 (P-Vine PCD-25083)
1. SPOT BARNETT - Twenty First Century Walk
2. JOE JONAS - The Things I Used To Do
3. TEXAS NORTHSIDE KINGS - School Girl
4. THE WEST SIDE HORNS - Funky Mama
5. THE WEST SIDE HORNS - What No (What Know)
6. TEXAS EASTSIDE KINGS - Last Night
7. TEXAS EASTSIDE KINGS - Ain't Nobody's Business
8. TEXAS EASTSIDE KINGS - Cheating On Me
9. ORANGE JEFFERSON with THIERRY COGNEE - Mean Ol' Frisco
10. ORANGE JEFFERSON with THIERRY COGNEE - Good Advice
11. ORANGE JEFFERSON with THIERRY COGNEE - Ragged And Dirty
12. JOE DOUCET - Back Home
13. LITTLE JOE WASHINGTON - Little Joe Stomp
14. LITTLE JOE WASHINGTON - I Got To Love You
15. RAY REED - You Don't Have To Go

2008年3月13日。ダイアルトーンのアーティストが集結して、6時間にも亘って繰り広げられたライブ。その模様をざっと掻い摘んで収録されたのがこのライブ・アルバムだが、どうも今一つライブという感じがしない。コンピレーションということもあるだろうが、会場の歓声なんかが入ってないのはやはり寂しい。60年代みたいに歓声だけ後から被せるような愚かしいことをする必要はないが、ある程度は入ってたほうが臨場感があっていいと思うんだけどな。しかし、サウンド自体は流石にダイアルトーンだけあって、こってりと濃厚なサウンドが目白押しだ。

先ず、冒頭を飾るのはウェスト・サイド・ホーンズのサクソフォン奏者、スポット・バーネット。テキサス・トランペッツやウェスト・サイド・ホーンズの流れを汲むサウンドだが、よりブルージーでファンキー。リフレインされるサックスとファンキーなリズム、カッコいいですね。フランシス・トルバートという無名?のギタリストの16ビートのカッティングが、よりファンキーさを盛り立ててます。アグレッシブなソロもなかなか。一曲目には持って来いのインスト・ナンバー、ほんとカッコいい。

次は、ジョー・ジョナス。「テキサス・ハーモニカ・ランブル」に登場した一人で、その中でも大のお気に入り。僕はソロ・アルバムがないか探したくらい好きで、運よく何枚か手に入れることが出来たが、やっぱり、ダイアルトーンから早く出してほしいですね。さて、このライブでは大トリを務めたそうだが、1曲とはこれまた寂しい扱いじゃないですか。ハーモニカも吹いてないし。大体、6時間のライブを一枚のアルバムに納めようというのに無理がある。せめて2枚組みにするとかさ、欲を言うならDVDも出しちゃうとかね。買うよ。それはさておき、ギター・スリムの不朽の名曲を威風堂々と歌いこなしてます。ハーモニカはハッシュ・ブラウンに任せちゃってるけど、歌に専念てとこでしょうね。この迫力、圧倒されました。

「テキサス・ハーモニカ・ランブル」繋がりでは、オレンジ・ジェファーソンもこのアルバムで登場したもう一人の逸材。歌もハーモニカも特別上手いとは感じなかったが、エレキ・ギターを相棒にして、ロウダウンでイナたく素朴なサウンドは、なんだか惹きつけられるものがありますよね。この人のソロも探しましたが見つかりませんでした。もしかしたら、ダイアルトーンが初レコーディングかも。エディ・スタウトのお気に入りのようなので、そのうちソロ・アルバムも出るでしょうね。

テキサス・イーストサイド・キングスといえばダイアルトーン、ダイアルトーンといえばテキサス・イーストサイド・キングス、と言う位ダイアルトーン・レーベルの象徴的なバンドですね。初アルバムが出た時は、そりゃもう仰天しまして、何回聴いたか分からないくらいへヴィー・ローテーションしてました。この3曲もたまらんですね。なんやかんや言っても、やっぱりこのバンドが最高。

ジョー・デューセットも突然世に出てきたテキサス・ギタリストですね。このギター・インスト、ツボに嵌まっちゃったな。ファンキーなグルーヴにペキペキのギター、シビレる~。

リトル・ジョー・ワシントンの突拍子もないギターも相変わらずですな。次は何やらかしてくれるんだろうって、ほんと楽しみ。そういえば、最新作はもう発売されたのかな。

最後はレイ・リード。ジミー・リードの曲ですね。重心の低い腰だめの重たいシャッフル。
出てくる人出てくる人、皆とんでもない強烈な人ばっかで、恐るべきテキサス。
しかし、6時間もライブやって、他にどんな曲演奏したのか、気になるな。それ考えると悶々としてくる。

2009年4月8日水曜日

T-Model Ford / Jack Daniel Time


『T-Model Ford / Jack Daniel Time』 (Mudpuppy MPR-LLC-001)
1. I Love You, Babe
2. Red's Houseparty
3. Jack Daniel Time
4. Big Boss Man
5. Rock Me Baby
6. That's Alright Mama
7. Hi-Heel Sneakers
8. Got A Woman
9. Mistreatin' Woman
10. Killing Floor
11. Encore - I Love You, Babe

ミシシッピのデルタ・ブルースマン、T-モデル・フォードの通算5作目、6年ぶりの新作は、自身初となるライブ・アルバムとなりました。
2008年2月3日と4日の両日、クラークスディルのジューク・ジョイントでのライヴを収録されたもので、この時T-モデルは83か84才。前作の「Bad Man」以降なんの音沙汰もなかったので、もしかしたらと縁起でもないことを思ったりもしましたが、元気にライヴ活動を行ってたようで本当によかった。

T-モデル・フォードは1997年に72、3才にしてデビューし、ジュニア・キンブロウやR.L.バーンサイドなどと同様に、ファットポッサムの看板アーティストとなったわけですが、そのデビューアルバム「Pee-Wee Get My Gun」のインパクトは非常に強烈でした。ロック以上にロックしてて、初めて聴いたときはホント興奮しましたね。

ですから、T-モデルのサウンドはダーティーでパンキッシュというイメージは、今でも払拭できないのも確かなのですが、前作の「Bad Man」辺りからサウンドの色合が変わってきました。ファットポッサム特有の過剰に音作りされたものではなく、肩の力が抜けて自然体のサウンドのように感じました。

今回のライブ・アルバムで演奏されてるサウンドは、「Bad Man」以上にオーソドックスなデルタ・ブルースで、これならコテコテのブルースファンにも受け入れて頂けるんじゃないかなと思います。T-モデルのギター、ハーモニカ、ドラムのバンドセットによるロウダウンなブギから、アコギ一本のカントリーブルースまで、デルタ・ブルースの王道といってもいいくらい。デビューする以前、長年ジューク・ジョイントでやってきたサウンドというのは、実際こんな感じだったんじゃないかなって想像してます。そういう意味では貴重なアルバムで、T-モデル・フォードの本来のサウンドがここにあります。
正しく“Real Delta Blues”