2010年9月30日木曜日

Long John Hunter / Looking For A Party


『Long John Hunter / Looking For A Party』 (Blues Express)
1. Looking For A Party
2. What's Come Over You
3. Beggar Man
4. Looking For My Baby
5. I Know A Man
6. Apple of My Eye
7. You Say You Want a Caddy
8. Greener Pastures
9. You Are My World
10. It's Hard To Please a Woman
11. Me and Phil



ロング・ジョン・ハンターの2009年に発売されたアルバムで、アリゲーターの"Swinging from the Rafters"から、(間に弟のトム"ブルースマン"ハンターとの共演作があるが)12年ぶりの久々の新作です。

ロング・ジョン・ハンターといえばアリゲーターで、というかそれしか無くて、60年代を編集した"Ooh Wee Pretty Baby!"というコンピレーション・アルバムもあるが、これが凄くワイルドなギターを弾いてて、あーやっぱりこういう時期もあったんだねと思う好盤。

しかし、ロング・ジョンはアリゲーターのサウンドが最高で、今回のアルバムも基本的にアリゲーター路線。ロッキン・ブルースは勿論、ニューオリンズのエッセンスを取り入れたものやソウルやジャズ・バラードもやってて、落ち着いた良い雰囲気のアルバムですね。歌は若干スモーキーな声になってるし、ギターは柔らかいトーンでファット。これが結構嵌っちゃうんです。

特に注目は、プロデューサーとコンポーザーでDennis Walkerが全面協力してる事。それに加え、ロバート・クレイのバンドが全面的にサポートしてる事。これでサウンドが悪いはずがなかろう。

自分の中ではこのアルバムがロング・ジョンの代表作と言っていいです。

ロング・ジョンも今年で79になりますが、まだまだがんばってほしいですね。

2010年9月24日金曜日

Louisiana Red & Little Victor's Juke Joint / Back to the Black Bayou


『Louisiana Red / Back to the Black Bayou』 (Ruf Records RUF 1149)
1. I'm Louisiana Red
2. Alabama Train
3. Crime In Motion
4. Ride On Red, Ride On
5. Sweet Leg Girl
6. The Black Bayou
7. Too Poor To Die
8. Don't Miss That Train
9. You Done Quit Me
10. I Come From Louisiana
11. Roamin' Stranger
12. At The Zanzibar



ルイジアナ・レッドは1932年アラバマのベッセマー生まれで、今年で78歳ですね。

この"Back to the Black Bayou"は昨年発売されたアルバムですが、レコーディング歴は意外と古くて、1952年にチェスにロッキー・フラーという名義で録音してます。

デトロイトではジョン・リー・フッカーとも活動してたようで、その時はプレイボーイ・フラーという名でレコーディングしてます。

その他に、クライン・レッドとかギター・レッドとか、そして、なんとエルモア・ジェイムス・Jrなんて名前も使ってたらしい。なんだろうねこの人は。

それらの音は聴いた事ないんですが、マディの影響受けてたようですから、多分、カントリー調のデルタ・ブルースでしょうね。

1963年のアルバム"The Lowdown Back Porch Blues"でルイジアナ・レッドを名乗る訳ですが、ルイジアナで活動したという記述を見つけられない。どうもルイジアナとは関係ない人なんじゃないかと思われます。

サウンド的には基本はデルタ・ブルースで、ルイジアナっぽさがあるといえばあるし、ないといえばない。微妙なんですよね。要するに結構いい加減な人なんでしょう。それがブルースマンといえばブルースマンらしいかも。

さて、今回のアルバム、自分が聴いた中では一番ルイジアナっぽいかもしれません(相変わらず、微妙なんですが)。そうでなかったらタイトル名とジャケットが泣いちゃうよ~。

前半はセルフカバー中心の構成で、一曲目から結構臭くて好きなんですよね。特にハーモニカがまったりとしたいい味出してるなとか思ったら、キム・ウィルソンでした。レッドの歌声は全盛の豪快さはないものの、77歳とは思えない力強さで元気いいです。この曲の要はやはりキムのハープかな。

2曲目も好きなほうでして、イントロでのレッドのギターが結構イナタイ。ハープはボブ・コリトアが吹いてますが、キム・ウィルソンにしてもこのボブ・コリトアにしても、かなりバイユーを意識した音色を出してます。この辺りがこのアルバムにとって大きな役割を果たしてると感じます。

全体的にやはりマディ経由のミシシッピ、デルタ・ブルース。それにルイジアナのエッセンスを少し加えたという感じのサウンド。この微妙な感じがルイジアナ・レッドのカラーかもですね。割と楽しめました。

2010年9月22日水曜日

Big Pete Pearson / Finger In Your Eye


『Big Pete Pearson / Finger In Your Eye』 (Southwest Musical Arts Fnd. 05)
1. Don't Mess With Me
2. Short Change
3. Time Has Come
4. Back Off
5. Sister From The City
6. Heartaches
7. Mastermind
8. That's That
9. Gamblin' With My Heart
10. Slippery When Wet



ビッグ・ピート・ピアソンを初めて聴いたのは、2007年に発売された『House Rockin' and Blues Shoutin'!』というオムニバスのライブ・アルバムでした。

Robert Lockwood Jr.を始め、Billy Boy Arnold、The Fabulous Thunderbirds、Floyd Dixon、Long John Hunter等々豪勢な出演者に混じって、ビッグ・ピート・ピアソンという自分にとって無名のブルースシンガーは、"That's All Right"を迫力のある力強い声で表現力豊かに歌ってました。

1936年ジャマイカ生まれでテキサスのオースティン育ち。W.C.クラークは従兄弟。
50年代後半からアリゾナのフェニックスで活動し始め、60年代にはその地では有名だったそうです。今もフェニックスで活動してるようです。

レコードデビューは2001年とかなり遅咲き。2007年のアルバムや今回の2009年のアルバムでは、豪華キャストで作製されてるところをみると、案外伝説のブルースシンガーとか言われてるのかもしれません。それ位言われてもおかしくない程の実力の持ち主ではあります。

今回もThe Rhythm Room All-Starsというバンドが全面的にサポートしてますが、ボブ・コリトアがオーナーのクラブThe Rhythm Roomのハウス・バンドのようです。その他に、デューク・ロビラードのバンドが(3)(6)で参加してます。

トラディショナルなシカゴ・ブルースがベースとなってるが、一曲目の比較的アップテンポの明るいノリはウエスト・コースト・ブルースに近い感じのサウンドです。バンドのノリの良さもさることながら、ビッグ・ピートの迫力のボーカルは圧巻。なかなか良いです。

デューク・ロビラードが参加してる(3)では、一転ジャジーなブルース。ジャジーなハモンドB-3、ブルージーなサックス、メローでソウルフルなデュークのギター、それに渋いボーカル。こりゃたまらん味わいですね。

(4)はミディアム・テンポのシカゴ・ブルース。ここではエディ・テイラーJr.のいぶし銀的ギターが心地よい。段々親父に似てきたな。やはり楽しみな人だ。

あと、ジャンプ・ブルースの(8)だね。こういう曲には目がなくてね。ブギウギ・ピアノが楽しいです。これにゲイトマウスばりのギターが入ってくると最高なんだけど。

全曲ビッグ・ピート・ピアソンのオリジナルです。スロー・ブルースの(6)も結構いいし、なかなか良い曲を作ります。歌が歌えて、曲作りも上手い。こういう人が21世紀になるまでアルバムが無かったというのは勿体無い話だな。
 


Sonny Rhodes / I'm Back Again


『Sonny Rhodes / I'm Back Again』 (Feelin' Good Records 007)
1. Can't Get Enough
2. Travelling Bluesman
3. Anne Mae Cafè
4. Can't Dance Boogie
5. Tell Me the Truth
6. Smithville Texas
7. I'm Back Again
8. Shake Your Hips
9. I Was Kidding
10. The Truth Hurts
11. Texas Stomp



2009年に発売されたサニー・ローズのスタジオ新録アルバムです。

このアルバムにはR.J.Mischo、Johnny Sansone、Brian Templetonという3人のハーピストが参加しており、サニー・ローズファンのみならず、ハーモニカ好きにも十分楽しめる内容となっております。

冒頭から躍動感のあるロッキン・ブルース的サウンドが爽快ですわ。

まずは、上のYouTubeでも演奏してる(2)がいいね。Johnny Sansoneの生ハープとシャッフルのリズムがしっかり効いてるので、ロッキン・ブルースといえど結構イナタい。サニー・ローズのラップ・スティールもマイルド&ファットで、かなり良い音してます。たまに、ギュイ~ンってスライドさせるのがたまらんね。

(3)はリトル・ミルトンの"Annie Mae's Cafe"ですが、何とも言えんサニー独特の雰囲気を持ったスワンピーなスロー・ブルースになってます。レイドバックしたラップ・スティールのレイジーなサウンド、これもまたいい味出してるR.J.Mischoのハープ、それに渋いサニーの歌声。これは痺れます。

(4)はアップテンポの豪快なロッキン・ブギ・ナンバー。Johnny Sansoneのアンプリファイド・ハープがとにかく強烈だ。

(5)はソウル・バラード。サニー・ローズというとラップ・スティールがトレード・マークで、そちらばかりに耳が行ってしまうが、ソウルフルな歌声も中々どうして上手い。Brian Templetonのハープもソウルフルで沁みるね。

さて、後半戦もかなり豪快なロッキン・ブルースが並んでまして、前回のライブ・アルバムよりも凄い強烈。その中でもやっぱりスリム・ハーポの(8)が好きだな。エクセロ・サウンドをブッ飛ばしてしまったな。その辺のロック・バンドよりもロックしてます。

あと、ファンク・ブルース(9)だな。そして、最後の(11)。"Texas Stomp"いいね。踊りだしたくなるような軽快なリズム、Stompはこうでなくては。Tiz Rooster Galliのヒューストン・ジャンピーなギター、それに軽快に絡むR.J.Mischoのハープ。最高やね。

Chicago Blues A Living History


『Chicago Blues A Living History』 (Raisin' Music RM1003)
Disc 1
1. Billy Boy Arnold - My Little Machine
2. Billy Boy Arnold - She's Love Crazy
3. Billy Boy Arnold - Night Watchman Blues
4. Johnny Iguana - Chicago Breakdown
5. John Primer - Feel Like Going Home
6. Lurrie Bell - I Believe
7. John Primer - Moanin' At Midnight
8. Mike Avery - Three O'clock Blues
9. Billy Boy Arnold - Memphis Slim USA
10. Billy Branch - Hate To See You Go
Disc 2
11. John Primer - Sugar Sweet
12. John Primer - Can't Stand To See You Go
13. Billy Boy Arnold - I Wish You Would
14. John Primer - Your Imagination
15. Lurrie Bell - My Love Will Never Die
16. Billy Branch - Hoodoo Man Blues
17. Billy Flynn - Hooking It
18. Mike Avery - Out Of Bad Luck
19. Billy Branch - One More Mile
20. Carlos Johnson - The Healer
21. Lurrie Bell - Damn Right, I've Got The Blues

現在のシカゴ・ブルースの第一線で活躍しているBilly Boy Arnold、John Primer、Billy Branch、Lurrie Bellを中心にして、
Billy Flynn - Guitar
Matthew Skoller - harmonica
Johnny Iguana - Keyboards
Felton Crews - bass
Kenny "Beedy-Eyes" Smith - drums
という強力な布陣を敷いて、シカゴ・ブルースをトリビュートしたアルバムだ。
戦前のサニー・ボーイやビッグ・ビル、50年代のチェス・サウンド、ウェスト・サイドから74年のジェームス・コットン、91年のバディ・ガイまで、年代を順を追って再現してます。
ベタなシカゴ・ブルースの新録は、正直言って遠慮しとこうかなと思ったのですが、あまりの豪華さについついと..... しかし、聴くとやっぱいいね。不朽のサウンドだよ。
シカゴ・ブルースに始まり、シカゴ・ブルースに終わる。十分説得力がある。








Alabama Mike / Day to Day


『Alabama Mike / Day to Day』 (Jukehouse Records JHCD 0010)
1. Day to Day
2. Death Letter Blues
3. Religion
4. Naggin
5. Lay My Money Down
6. Strange Angels
7. Too Many Cooks
8. Knockin At Your Door
9. Somethin On My Mind
10. I've Been Rocked
11. Sara Brown


アラバマ・マイク。1964年アラバマ州タラデガ生まれ。
2009年、デビューアルバムを引き下げ、いきなり世に出てきたブルースシンガーです。これまでの活動経緯はよく分からないが、活動の場は参加メンバーからするとウエスト・コーストのようです。

このアルバムが初録音だろうと思うのですが、それにしては貫禄のある歌を聴かせるシンガーで、しかも優れたソングライターでもある。サン・ハウスの(2)、エルモアの(6)(8)、ウィリー・ディクソンの(7)以外はオリジナル。結構いい曲が揃ってます。

まずは1曲目からガツンと来る迫力のある曲で、デルタ風味、シカゴ風味、ウェスト・コースト風味のさじ加減が絶妙。スライド・ギター、ベース、ドラムの最小セットでの重心の低い厚味のあるサウンド、好きだな。そして、何と言ってもそのサウンドに負けてない力の籠ったボーカル、ガシッと鷲掴みにされちゃいますよ。

次の(2)は、1曲目よりも更にデルタ風味を増したサウンドで、ミシシッピのジューク・ジョイントで演奏されてるようなロッキン・デルタ・ブルース。スライドのキレもカッコいいし、ベースはエレキとスタンダップのダブル・ベースで低音の厚味も凄い。いやーこの曲は爆音で聴きたい所やね。

(3)や(6)はB.B.キングをも思わせるウェスト・サイド的ブルーズン・ソウル。ギターを弾いてるのはマーク・ハメル・バンドのCharles Wheal。B.B.キング張りの中々味のある渋いギターを弾いてます。そして兎に角、歌がソウルフル。この辺りのブルースもいいね。

ワウ・ギターをフィーチャーしたファンキーな(4)。(5)ではジョン・リー・フッカー張りのどっしりとした重戦車ブギが結構カッコいい。

後半7曲目からはハーピスト衆が活躍しますが、(7)ではボンゴのラテンなリズムが特に印象的。

(7)(8)ではSteve FreundのクリーントーンのギターとScott Brentonのファットなハープの組み合わせ。これも中々聴き所ではあるが、それ以上に良いのがスローブルースの(9)。左側からはR.J. Mishoのハープ、右側からはSteve Gannonのスライド・ギター。この2人のハーモニーは痺れるくらい素晴らしくて、これはもう日本でいうところの「わび・さび」の境地ではないかと。何回聴いても痺れるね。

最後は3連スライドのエルモア・サウンド。シャッフルのリズムに絡むサックスのリフが何ともイナタイ。

こんなブルースマンが出て来るから、ブルース探求の旅はやめられない。