2007年2月27日火曜日

Frank "Paris Slim" Goldwasser / Bluju


『Frank "Paris Slim" Goldwasser / Bluju』 (Delta Groove Productions DGPCD114)
1)Feels Like Home
2)Back Door Key
3)Twelve year Old Boy
4)Wel, Wel, Josephine
5)Melba's Bump
6)I Can't Stand It
7)I'm A Love You
8)Homesick Blues
9)Playing In The Park
10)Don't Take Away My Love
11)Three Sisters
12)Petit Å Petit (L'Oiseau Fait Son Nid)
13)Bluju
BONUS TRACKS
14)She's Gone
15)55th Street Boogie

フランク・ゴールドワッサー。またの名をパリス・スリムと言って、ウエスト・コーストで活躍してるブルースギタリストですが、日本では殆ど紹介された事がなく、残念ながら無名に等しいです。名前の通りパリジャンで、1960年生まれですから今47歳ですね。ブルースマンとしてはまだ若手でしょうか。ハウンド・ドッグ・テイラーを聴いてブルースに目覚めたようで、82年にはソニー・ローズの誘いでサンフランシスコベイエリアに移って来たそうです。それから、ローウェル・フルソンやジミー・マクラクリン、パーシー・メイフィールドといった人達のツアーに参加しながらギターの腕を磨いたようです。しかし、凄いね。二十歳そこそこでギターの名手としての片鱗を見せてたんでしょう。ヨーロッパ諸国はアメリカよりブルースが盛んだったりします。フランスのレーベル"CLASSICS"は、アメリカが出すべき音源を次々に出してくれるんで有難いですよね。ちょっと逸れてしまいました。84年には、リリースしたシングルが、W.C. Handy Awardsにノミネイトされてます。これはアルバムのライナーを訳してて初めて知ったのですが、この曲聴いてみたいですね。98年に傑作アルバム "Bleedin' Heart"をリリースしてます。最近では、ジミー・ドーキンスのアルバムでギター弾いたり、フィルモア・スリムのアルバムをプロデュースしたり、ダウンホーム・スーパー・トリオなるユニットを組んだりと活躍してますが、一番有名な所では、BSR誌でも紹介された"The Mannish Boys"でしょうか。益々、ウエスト・コースト界隈では重要人物の中の1人になると思います。

で、今回の「Bluju」は2003年にリリースされたアルバムの再発物です。ジャケが変更され、ボーナストラックが追加されただけです。ジャケは断然前のが良かったと思うんだけど、ボーナスの分だけこちらがお得かな。このボーナストラックの2曲は、去年The Alastair Greene Bandと一緒にやったアルバムの中からの曲で、ハウンド・ドッグ・テイラーの曲をストレートに、ぶりぶりロッキンにブチかましてくれてます。特に"55th Street Boogie"はスライドも決まって、もうノリノリで最高です。しかし、このアルバムは練りに練って、捻りの効いた凝った作りなので、この2曲が浮いてしまってるような気もするが.....いずれにしても楽しめるアルバムですよ。

「Paris Slim / Bleedin' Heart」 (1998)

「Frank Goldwasser / The Highway Is Like A Woman」 (2002)

「Frank Goldwasser / Bluju」 Delta Groove盤 (2003)

「Frank Goldwasser / Bluju」 CrossCut盤 (2003)

「Frank Goldwasser with The Alastair Greene Band」 (2006)

2007年2月23日金曜日

Carlos Johnson / Live At B.L.U.E.S. On Halsted


『Carlos Johnson / Live At B.L.U.E.S. On Halsted』 (P-Vine PCD-25050)
1)C.J.'s Swing
2)Lisa
3)I'll Play The Blues For You
4)High Heel Sneakers
5)I'm Cold And I'm Wondering
6)Everyday I Have The Blues
7)What's Going On
8)Don't Throw Your Love On Me So Strong
9)I Wonder Why

デビュー作「My Name is Carlos Johnson」から早6年、待ち望んでたソロライヴアルバムをやっと聴くことができた。やはり、ライヴは想像以上に凄い。カルロスのギターが時には激しく、時には語りかけるように、ジンジン響いてきます。本当に素晴らしい。バックバンドとの息もピッタリで、ファンキーグルーヴでいいね。このメンバーで来日してくれるのが一番いいのですが不可能みたいです。カルロスは3月に単身来日してライヴをやります。僕は見に行けないので、これまた3月に出るライヴDVDを見て楽しむことにします。

2007年2月18日日曜日

Phillip Walker / Going Back Home


『Phillip Walker / Going Back Home』 (Delta Groove Productions DGPCD115)
1)Lying Woman (Percy Mayfield)
2)Mama Bring Your Clothes Back Home (Lowell Fulson)
3)Mean Mean Woman (Eddie Snow)
4)Blackjack (Ray Charles)
5)Honey Stew (Randy Chortkoff)
6)Don’t Think 'Cause You’re Pretty (Lightnin' Hopkins)
7)Leave My Money Alone (Cornelius Greene / Jerry West)
8)Bad Blood (William Jack Dupree)
9)Lay You Down (Randy Chortkoff)
10)If You See My Baby (Cornelius Greene / Jerry West)
11)Sweet Home New Orleans (Al Blake)
12)Happy Man Blues (Randy Chortkoff)
13)Walking With Frankie (Frankie Lee Sims / John Vincent)

フィリップ・ウォーカーの久方振りの新譜です。98年の”I Got a Sweet Tooth”以来、間にライヴ盤がありますが、9年振りのスタジオ新録ですね。今年70歳。日本でしたら古希(本当は満69歳だけど)という年にアルバム発売、2重にめでたい。そんな節目だからだろうか、自身のルーツ巡りのような趣旨のアルバムみたいです。元々、オリジナルがあまり多くない人ですが、今回は全てカヴァー(レーベルオーナー作が3曲含)です。レーベルは最近注目してるDelta Groove。バックバンドもウエストコーストの面々を集めての録音で、カラッとしたノリのものが多いですね。フィリップの切れの良いギターや枯れてて渋い声も健在で、まだまだ元気だよって所を見せてくれてます。1)での少し突っ込み気味に入るギターソロは凄くカッコいいし、ラスティ・ジンのファンキーに刻むサイドギターもグーです。2)や6)はストレートにカヴァーしててローダウンでいいです。3)5)はウエストコーストのあのカラッとしたノリで楽しいですよ。ロンサム・サンダウンの7)10)は、ルイジアナ・ブルースらしいイナタさがあります。9)では、フィリップとラスティが交互にソロ取りますが、後半白熱してきて、ギターのコール&レスポンスみたいになり、スリリングで聴きごたえがあります。スウィートホームシカゴの改作11)まで飛び出し、最後はワンコードブギで〆てくれます。本当にバラエティに富んでて楽しめます。

2007年2月13日火曜日

Coco Montoya / Dirty Deal


『Coco Montoya / Dirty Deal』 (Alligator ALCD-4913)
1)Last Dirty Deal
2) Three Sides To Every Story
3) Love Gotcha
4) How Do You Sleep At Night?
5) It Takes Time
6) It’s My Own Tears
7) Coin Operated Love
8) Clean Slate
9) Put The Shoe On The Other Foot
10) It’s All Your Fault
11) Ain’t No Brakeman

ココ・モントーヤといえばサウスポー、弦は右と同じ張り方(アルバート・キングやオーティス・ラッシュと同じやね)だからって、イナタいギターを弾いてくれるかって、イヤイヤ、そりゃーもう豪快にブルース・ロック・ギターを弾き倒してくれますよ。で、今回の新作も遺憾無く、そのスリンガーぶりを発揮されてます。一枚通して聴いたら疲れちゃったりします(年食ったせいか~)だけど、ジョン・ムーニーの2)やダン・ペンの8)をさり気なく入れてる所なんかニクイね。タイミングもいいし。さらに、自作曲の7)はリズムがいいね。恩師アルバート・コリンズのフレーズをさらっと入れたりして、これまたニクイ。6)のバラードなんか聴くと、ギターだけじゃなく歌も上手いなと改めて思いました。オーティス・ラッシュの5)やローウェル・フルソンの10)のような大御所の曲を、ディストーションの効いたギターでギュィーンって弾いてくれるのは、やっぱモントーヤならではかな。爽快です。たまには、こんなノケゾリギターを聴くのもいいですね。

2007年2月11日日曜日

Cleveland Fats / The Way Things Go


『Cleveland Fats / The Way Things Go』 (P-vine PCD-23876)
1)Stay Away Baby
2)Don't Call Me
3)Invisible Man
4)Cheaters Never Win
5)Long Gone
6)It Ain't Right
7)Blues Time
8)Bakin' Fats
9)Cell Phone Blues
10)You'll Love Again
11)Dead Or Alive
12)That's The Way Things Go

正直言って、クリーヴランド・ファッツ?誰?でした。本名はマーク・ハーン。でもピーンと来ない。ロバート・ジュニア・ロックウッドの”ブルース・ウィズ・ア・グルーヴ”でギターを弾いてた、でやっと「あ~」でした。このアルバムをよくよく見ると、”ザ・ハーン”という曲まである。余程可愛がられてたんですね。20年近く一緒に活動してきたそうですから、師弟関係を超えて親子みたいだったんでしょうね。

そして、息子のアルバムにロックウッドが初めて参加したのが今回の新作です。ロックウッドは5)7)11)12)の4曲に参加してます。どの曲も凄くいいんですが、5)のスローブルースではロックウッドお得意のフレーズ、そして、あの12弦の音。これぞ真骨頂。もうゾクゾクしちゃいます。ファッツも流石にロックウッドの所にいただけあって、いいギター弾きますね。声も渋くて、僕は結構好きです。11)では、ファッツとロックウッド、ビリー・ブランチの3人だけの録音で、これがまた臭いんです。痺れますね。ビリー・ブランチは2)や6)でもハープを吹いてますが、リトル・ウォルターばりのハープで流石の貫禄です。ブギーな曲でのファッツは骨太のギターを弾いてて、これもイナタクていいですね。

プロデューサーはマイケル・ロバート・フランク。この人はEarwig Musicというレーベルの創始者で、ミシシッピのジュークジョイントの音をそのままアルバムしたような作品を数多く出してまして、ベースのアーロン・バートンやドラムのデイヴ・ジェファーソンは、Earwig Musicゆかりの人達なんですね。このアルバムに漂うダウンホームな音は、こういった人選によるものもあるのかなと思います。
ロックウッドはこれが最後の録音だったそうです。ご冥福をお祈りいたします。

2007年2月7日水曜日

Big Sam's Funky Nation / Take Me Back


『Big Sam's Funky Nation / Take Me Back』 (BS002)
1)Shake Yo Thang
2)Party
3)We Gon Do It
4)Bah-Duey-Duey
5)Funkin @ The Butt
6)Come Down To New Orleans
7)Funky People
8)Get Down
9)It Is Was It Is
10)Hey Buddy
11)Thank U & Farewell

Big Sam - trombone, lead vocals
Andrew Baham - trumpet #4, 5
Jim Mara - sax #1, 2, 3
Matthew Fricke - guitar # 4, 5, 7
Elliott Cohn - guitar all tracks, backup vocals
Josh Paxton - keys #4, 5, 7
Adam Matasar - keys on all tracks except 5
Nori Naraoka - bass #4, 5, 7
Kenny Green - bass on all tracks except 4, 5, 7
Ian Hodge - drums on all tracks except 4, 5, 7
Eddie Christmas - drums #4, 5,7




2007年2月5日月曜日

The Holmes Brothers / State of Grace


『The Holmes Brothers / State of Grace』 (Alligator ALCD-4912)
1) smiling face hiding a weeping heart
2) close the door
3) what’s so funny ‘bout peace, love and understanding?
4) gasoline drawers
5) i can’t help it if i’m still in love with you
6) bad moon rising
7) three gray walls
8) if i had a boat
9) those memories of you
10) i want you to want me
11) ain’t it funny what a fool will do
12) standing in the need of love
13) i’ve just seen the rock of ages
14) god will

ホルムズ・ブラザーズはベースのシャーマンとギターのウェンデルのホルムズ兄弟、それにドラムのポップシー・ディクソンのトリオバンドで、3人共ソロヴォーカルを執りますが、その歌は抜群に素晴らしいんですよ。ホルムズ兄弟は声が太く、深みがあり説得力があります。かたやポップシーのファルセットは、非常に透明感があり感動させられます。それでもって、この3人衆のハーモニーとなると絶妙に調和がとれてて、ずるずると引き込まれるんですね。ホルムズ兄弟はジミー・リードやジュニア・パーカー、BBなどを聴いて育ったということで、根底にはブルースがあるのですが、教会でも歌ってたそうですから、ゴスペルの影響も多大なんですね。で、ブルースとゴスペルを土台に、ソウルやカントリー、今回のアルバムではケイジャンまでやっております。ただ、ローダウンなブルースが少なくなったのは残念かな。ゲイトマウスは古典的なブルースマンと思われたくないからいろんな曲をやると言っておられたが、この人達もそうなのかもしれませんね。

今回の新作では、1)2)4)12)がオリジナルで、ブルース寄りではあるのですが、比較的ソフトな曲調になってます。1)はクラプトンがやりそうな曲だな。ギターもクラプトンぽいフレーズが出てきたりします。2)は割りとダウンホームな曲で、アコギとマンドリンの絡みが印象的でいいです。このアルバムの中で一番ブルージーなのが12)ですね。ウェンデルのギターが唸ってます。カヴァーは有名な所で、3)はニック・ロウ作でコステロが有名ですね。最近、ケブ・モもカヴァーしてましたが、ホルムズは抜群の歌唱力で歌い上げており、原曲を完全に凌駕してますね。6)ではCCRの曲を見事にケイジャンバージョンに仕立ててます。ついつい体が動き出したくなるような明るいノリの曲です。ライヴだったら踊って騒いで楽しめますね。うーライヴ見たい!10)はチープ・トリックの曲を取り上げてて、ちょっぴり驚きなのですが、ここでは3人共楽器を置いて、歌に専念してます。ピアノの伴奏で、ゴスペルフィーリング溢れるハーモニーはとても素晴らしく感動ものです。ピアノも涙腺に響いてきますよ。7)ではポップシーがドラムをレヴォン・ヘルムに預けて、ソロヴォーカルを執りますが、マイルドでソウルフルな歌声は本当にいいです。2コーラス目のファルセットはゾゾーっと鳥肌が立ちました。ラリー・キャンベルのペダルスティールも、いい感じで絡んでくるのでもうたまりませんね。レヴォン・ヘルムは13)で歌声を披露してくれてます。ジョーン・オズボーンが歌で参加してる9)もニューオーリンズ臭が漂ってて、捨てがたい魅力があります。と、だらだらと書いてしまいましたが、ここにはアメリカン・ルーツ・ミュージックでいっぱいです。ブラックミュージックファンに限らず、すべての音楽ファンに聴いて頂きたいアルバムです。

2007年2月3日土曜日

ブルース飲むバカ歌うバカ


『吾妻光良 / ブルース飲むバカ歌うバカ 増補改訂版』

この本は以前、探しても見つからず諦めてたので、今回の復刊は非常に嬉しいです。
まずは、この表紙の絵ですね。復刊の際、新たに作成されたようですが、これが最高に良い。ゲイトマウス・ブラウンに襟首捕まれて、アイテテテってなことで思わず吹き出してしまいました。吾妻氏がゲイトマウスにインタヴューした時に怒られた、というのは語り草になるほど有名な話でこの時の状況も克明に掲載されてます。怒られてもいいからお会いしたかったものです。あと、B.B.キングやアルバート・コリンズ、スヌークス・イーグリンなどなどへのインタヴュー記事やセッション時のエピソード、雑誌に掲載されたエッセイ、何だかよく分らない姓名判断や福笑いまで。そして、新たに増補されたのはブルース&ソウル・レコーズ誌での記事のようで、リトル・ジョー・ワシントンには家がないとか、犬にケツを噛まれたとか、そんな裏話も笑えました。
ブルースに造詣が深く、ユーモアたっぷりの吾妻氏ならではの内容でとても面白いですね。


『吾妻光良&The Swinging Boppers / Seven&Bi-decade』
1. 最後まで楽しもう
2. IT Boogie
3. マーケット・プレイス
4. しかしまあ何だなあ
5. カミさん不細工な方がいい(UGLY WOMAN)
6. The Sidewinder
7. 150~300
8. SILENT GEORGE
9. 学校出たのかな
10. 高田馬場へ(Loosiana)
11. 物件に出物なし2006(live)
12. On The Sunny Side Of The Street(live)

昨年の8月にリリースされた最新作です。
相変わらず愉快なジャンプやブルース、ジャイヴを聴かせてくれるのですが、
特に好きなのが、The Sidewinder。リー・モーガンのカヴァーでコミカルな歌詞が入ってくると、ちょっとムリがあるかなですが、それがいいんですね。蛇に噛まれてアイテテテだもん笑っちゃいますよ。そして、エルモア・ジェームスの3連のリフがガガガって入ってきて、これが凄くカッコいい。痺れます。こういうの大好きですね。
あと、150~300ですね。根本的にこのノリが好き。イントロのホーンもカッコいいし、
切れの鋭いギターもヒェ~っう位カッコいい。最高です。