2007年4月7日土曜日

John Nemeth / Magic Touch


『John Nemeth / Magic Touch』 (BLIND PIG BPCD-5109)
1) Blues Hit Big Town
2) Blue Broadway
3) Magic Touch
4) My Future
5) She's Looking Good
6) She Did Not Show
7) You're An Angel
8) Sit & Cry The Blues
9) You Were Wrong
10) Let Me Hold You
11) Up To No Good
12) Come On

ジョン・ネメスはウエスト・コーストで活躍してるシンガー&ハーモニカ吹き。1976年アイダホ生まれで、ボイジー育ちの31歳です。教会仕込みのヴォーカルは、ゴスペル色やディープさはないのですが、ソウルフルで素晴らしい歌唱力の持ち主です。ハーモニカもなかなかの腕前で、ジュニア・ワトソンのツアーに参加したり、アンソン・ファンダーバーグのバンドでサム・マイヤーズの代わりにハーモニカを吹いたりしてました。サウンドはトラディショナルなブルースが根底にあり、スタックス・サウンドを思わせるR&Bの曲や、サム・クックのようなソウル・ミュージックもやっておりますが、根がウエスト・コーストのミュージシャンですから、明るいノリのカラッとしたサウンドが特徴ですね。

「Magic Touch」は、今年発売された通算3枚目の新作です。プロデューサーにアンソン・ファンダーバーグを迎え、リズムセクションもアンソンのバンドがサポートしてます。ギターは前作同様ジュニア・ワトソンが務め、ホーンセクションはテキサス・ホーンズ。人脈を総動員した感がありますが、これだけテキサス~ウエスト・コーストのベテランが揃うと、否が応でも期待が持てますよね。で、今回もイカした楽曲が揃ってまして、

1)3)6)8)9)がブルースで、1)はジュニア・ウェルズが、54年デルマークに吹き込んだシカゴ・ブルース。なんとも渋い曲を一発目持ってきたもので、レトロさとモダンさが同居したような音は、ウエスト・コーストの白人ブルース・バンドに多く見られますね。好きな人にはたまらん音です。3)は軽快なノリの良いロッキン・ブルース。ジュニア・ワトソンがいいギターを弾くんですよね。ハイ・トーンのヴォーカルもいいです。6)は"You Got to Move"を改作したスローブルース。味のあるいいハーモニカを聴かせてくれます。8)はウィリー・ディクソン作でバディ・ガイが歌った曲。バディの迫力には勝てないが、なかなか上手く歌い込んでますね。そして、Z.Z.Hill作の9)は、マジック・サムがアレックス・クラブで演奏した曲です。このノリが最高なんですよね。ワトソンのギターにも痺れました。

一方、ソウルやR&Bの曲では、2)は"ファンキー・ブロードウェイ"をイメージして作られた曲でしょうか。ソウルフルな歌が響きますね。本当に上手いです。5)はウイルソン・ピケットが歌った曲で、ストレートにカヴァーされてます。ネメスはシャウタータイプではないのですが、ここではシャウト気味に歌ってます。これもなかなか様になってるし、バックのノリもいいので結構楽しめます。オリジナルの10)は、スタックスを思わせるソウル・バラードで、ギターのリフやサックスなんかはスタックスそのもの。ギターソロはこの曲だけアンソンが弾いてるのですが、これがテキサンらしいジョニー・ギター・ワトソンばりのソロで痺れました。11)もオリジナルのスロー・バラードで、スワンピーな雰囲気がありますが、これは飾り気の無い素朴なハーモニカに因る所が大きいです。いいハーモニカ吹きますよ。歌もシャウトするあたりの歌いまわしにグッときました。最後の12)は、ウィリー・イーガンが55年頃の出したブギウギで、これをニュー・オリンズの雰囲気たっぷりのスカ・チューンにアレンジしてます。このアルバムの中では異色の作品となりましたが、ついつい体が動き出してしまいそうな位ノリが良く、ユニークな曲で楽しくなります。

ジョン・ネメスはまだまだ若いですから、これからが楽しみな人なんですが、4)の"My Future"を聴いてると、ジャジーなハーモニカを吹いたりしてますので、そちら方面にもいくよって曲名が暗示してるのかなと、自分勝手な解釈をしております。ジャジーでスウィンギーな曲はテキサス~ウエスト・コーストの連中はお得意なので、そういう曲も聴いてみたいものですね。いずれにしても注目していきたい人です。

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