2011年7月2日土曜日

Lynwood Slim & Igor Prado Band / Brazilian Kicks


『Lynwood Slim & Igor Prado Band / Brazilian Kicks』 (Delta Groove Productions)
1. Shake It Baby (Amos Blakemore, Buddy Guy)
2. Is It True? (Dave Bartholomew, King)
3. Bloodshot Eyes (Hank Penny, Ruth Hall)
4. My Hat's On The Side Of My Head (Harry Woods, Claude Hulbert)
5. Blue Bop (Igor Prado)
6. Little Girl (Walter Jacobs)
7. I Sat And Cried (Jimmy Nelson)
8. Maybe Someday (Richard Duran)
9. Show Me The Way (Richard Duran, Mike Watson)
10. Bill's Change (Igor Prado)
11. The Comeback (C.L. Frazier)
12. The Way You Do (Jimmy Nolen)
13. Going To Mona Lisa’s (Richard Duran, Igor Prado)

Lynwood Slim - vocals, harmonica,& flute
Igor Prado - vocals & guitar
Rodrigo Mantovani - acoustic bass
Yuri Prado - drums & percussion
Denilson Martins - alto, tenor & baritone saxophone
Donny Nichilo - piano


リンウッド・スリムは1953年ロスアンゼルス生まれ。1977年頃から30年以上活躍しているベテランのブルース・ハーピスト&シンガー。フルートも演奏するのですが、これが個人的にはちょっと馴染めない所でして、、、

12歳でトランペット、15歳でハーモニカを演奏し始め、ジミー・リードやリトル・ウォルター、ビッグ・ウォルター・ホートンなどに影響されたようです。取っ掛かりはやはりこの辺りからですが、ブルースに限らずジャズやスウィングを取り入れたサウンドが特徴です。

イゴール・プラド・バンドとは2、3年前から一緒にライブ活動しているようで、最近のイゴール・プラドはアグレッシブなサウンドを出してはいるものの、音楽性に共通するところ多々あり、ユニットを結成しアルバムが出来上がったのも必然的であったという気がします。

このアルバム一見すると、メインであるリンウッド・スリムのバック・バンドをイゴール・プラド・バンドが務めるという見方が一般的でしょうが、その捉え方は間違いではないが、間違いでもある。バック・バンドは言われた通りに演奏してりゃいいんだよ、みたいな感じは全くなくて、お互いがお互いを尊重し合って、双方の良さが存分に発揮された、聴いてて本当に気持ちの良い素晴らしいアルバムに仕上がってます。これも偏にリンウッド・スリムの人柄に良さによるところでしょうか。

アルバムとしては重要な1曲目、このサウンドは全く以てイゴール・プラド・バンドのサウンドで、まずは花を持たせてくれるなんて、嬉しくて泣けてくるね。
この曲は、ジュニア・ウェルズ1966年のアルバム「It's My Life, Baby!」に収録されてたアップ・テンポのファンキーなナンバー。ここではテンポをミディアムに落としてはいるものの、ボーカルもイゴール・プラドが担当して比較的ワイルドに演奏してます。ギターもテキサス・スタイルでほんとワイルド。ただ、最後のフルートはやっぱりちょっとね。ここはクロマチック・ハープでブリッとやって欲しかったな。しかし、カッコいいナンバーです。

2曲目も好きな曲で、スヌークス・イーグリンのバージョンを割りと忠実に演奏してます。リンウッドの渋い歌声も魅力ですが、何と言ってもジョニー・ギター・ワトソン張りのギターが痺れますね。

ジャンプ・ブルースの(3)、スウィングしてるジャズ・ナンバーの(4)やジャズ・バラードの(8)、この辺りのリンウッドらしい曲も雰囲気のある良い演奏してます。特に(4)でのスウィング感たっぷりのジャジーなギターやピアノなど、陶酔してしまうサウンドですね。

(5)のビバップ系ジャンプは、アップ・テンポでアグレッシブなインスト・ナンバー。ハイテンションのジャズ・ギター、カッコいいです。こんなサウンド出せるブルース・バンドはなかなかいないですよね。

そして、(6)(9)(13)はトラディショナルなシカゴ・ブルースで、まったりとしたスロー・ブルースの(6)もいいが、お気に入りは(9)。何と言ってもリンウッドのクロマチック・ハープが素晴らしくて、味のある渋い音色がたまらんですね。(13)はエディ・テイラー・スタイルのブギ、この辺りもリンウッドお得意のサウンドですね。

イゴール・プラド・バンドは、プラド・ブルース・バンド時代の「Blues And Swing」を聴いて以来、期待を込めて注目してた若手ブルース・バンドだ。デルタ・グルーヴはブルースに愛情のあるレーベルで、録音の質も非常に優れてる。今度はデルタ・グルーブでメインのアルバムを録音して欲しいですね。

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