2007年11月25日日曜日

Ingrid Lucia & The Flying Neutrinos / Don't Stop


『Ingrid Lucia & The Flying Neutrinos / Don't Stop』 (Ingrid Lucia ILCD 2007)
1) A Place In The Sun
2) New Orleans
3) Mind Your Own Business
4) If I Could Be With You (One Hour Tonight)
5) There'll Be Some Changes Made
6) Hometown Blues
7) Big Long Slidin' Thing
8) Margie
9) Getting Some Fun Out Of Life
10) Do You Know What It Means To Miss New Orleans?
11) Down Home
12) Why Don't You Go Down To New Orleans?
13) It's A Long Lonely Highway

イングリッド・ルシアはニューオーリンズで活躍しているジャズ・シンガーです。
4年位前、「The Hotel Child」というアルバムを初めて聴いて、一発で気に入って、その時既に発売されてたアルバムは全て買い集めたほど惚れ込んでしまったです。

ビリー・ホリディをずっとキュートにしたような、コケティッシュな妖艶さで、30年代頃のニューオーリンズ・ジャズをノスタルジックに歌います。それは、ネオ・スウィングともレトロ・スウィングとも形容できるわけでして、あ~流行だからね、とか言われそうだけど。

イングリッドは音楽一座の中で生まれ育ち、旅から旅へと演奏活動を続け、既に8歳の時にはステージに立ち歌を歌ってたそうである。筋金入りのシンガーだったんですね。しっかりしたジャズを歌えるのも、なるほどという感じです。

さて、この「Don't Stop」というアルバムは、今年発売された新譜です。前作の「Almost Blue」ではクールなジャズに寄り添ったアルバムでした。出来も良かったので、更に突き詰めて行くのかなと思われたが、なんとレトロ・スウィング路線に戻って来ました。これではっきりしました。イングリッド・ルシア単独名義の時はジャズで、フライング・ニュートリノスが絡むとレトロ・スウィングでという事なのでしょう。
まずは、パーソナル・ラインナップから紹介しましと、

Ingrid Lucia - vocals
Duke Heitger - trumpet, vocals #4
Craig Klein - trombone, vocals #8
John Fohl - guitar
Bert Cotton - guitar
Gerald French - drums, vocals #12
Jesse Boyd - bass

2002年発売の「Fortune」頃から若干の変動はあるものの、大方この面子でアルバム製作からライヴ活動まで行ってるようです。Duke Heitgerはディキシーランド・ジャズやレトロ・スウィングのアルバムを出してる若手ホープのトランペッター。以前見たイングリッドのプロモーションビデオでは、トランペットのアーヴィン・メイフィールドが参加してましたが、彼が参加したアルバムもちょっと聴いてみたい気がしますね。Craig Klein とBert Cotton は先日紹介したボノラマのメンバーです。John Fohl はこちらも先日紹介したジョニー・サンソンのアルバムに参加してたギタリストですね。こうして見てみると、ニューオーリンズ・コミュニティーの横の繋がりの強さを感じます。

収録曲はカヴァー曲を中心に構成されてまして、(1)と(11)がイングリッドとジョン・フォールの共作によるオリジナルです。「The Hotel Child」のようなレトロさは少々薄くなりましたが、イングリッドらしいスウィンギーなアルバムになってます。(2)はポール・バーバリンのバーボン・ストリート・パレードが元ネタで、ライヴ・アルバムにも収録されてた曲ですね。僕の中でのイングリッド・ルシアのイメージにピッタリのレトロでスウィンギーな曲、これが最高なんです。トランペットとトロンボーンのコンビネーションもいいな。(3)はハンク・ウィリアムスの曲で、ライトニン・スリムやマジック・スリムがズッシリとしたシャッフルでやってましたが、イングリッドは軽快なノリのシャッフルでブルージー且つジャジーにやってます。ブルージーに歌えるのもイングリッドの良い所なんですね。(4)はサッチモを始め、いろんなジャズマンが演奏した名曲ですね。Duke Heitger とのデュエットで、この妖艶さがたまらんのです。(6)は原曲がカントリーの曲とは思えないような跳ねたノリのアレンジで、見事にイングリッドの曲にしてしまってます。Craig Klein がヴォーカルを執る(8)もスウィンギーな曲なのですが、途中でウッドベースがモダンジャズのソロを弾き出すから面白い。バラードでは最高にいいのが(10)で、鳥肌が立つ位に色っぽい。(13)はプレスリーの曲ですね。ギターのリフやロックンロールぽいギターソロがカッコ良いです。以前はルー・リードの曲とかもやってましたから、結構何でもありなのですが、何でも自分の曲にしてしまうアレンジ力にも感心させられます。

それから、このアルバムは、
"DON'T STOP was recorded in four hours"
だそうです。これには仰天しました。

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