2008年12月27日土曜日

Mississippi Heat / Hattiesburg Blues


『Mississippi Heat / Hattiesburg Blues』 (Delmark DE 795)
1. Tiger Man
2. Chicago Is My Home
3. Forgot You Had A Home
4. How Much Worse Can It Be?
5. Soft-Hearted Woman
6. Hattiesburg Blues
7. Gone So Long
8. Light from Within
9. Calypso In Blue
10. Hell And Back
11. Say Something Good
12. Foolish Man
13. Nature Is Cryin'

ミシシッピー・ヒートはソングライターでもあるハーピストのピエール・ラコックが中心となって活動しているブルース・バンド。
根本的にはモダンなシカゴ・ブルースなのですが、ピエール・ラコックの生まれがイスラエルで、育ちがヨーロッパを転々というのが影響してるのか、ヨーロピアン・テイストが随所に感じられる。

今回のアルバムではラテン・パーカッションを導入してる曲を何曲かやってて、カリビアンなファンキーなリズムに、ハーモニカも含めヨーロピアンな感じと恰幅のよい御婦人の迫力のあるボーカルが乗っかる。面白いんだけど好みが分かれるところでしょうね。

僕の好みでは、やっぱり、ノリの良いシャッフルのシカゴ・ブルース(1)かな。味のあるブルージーなハーモニカ、腹の底から吹き出すような迫力の歌声、シャッフルのリズム。一番しっくり来るな。ゆるいシャッフルの(5)も結構いいです。

そして、特筆すべきはルーリー・ベルが歌とギターでゲスト参加してる(2)と(7)。特にウォルター・ホートンを想わせる(7)は最高ですわ。

また、もう一人ゲスト参加してるカール・ウィザースビーもいいギター弾いてるんですよ。
なんやかんや言ってもミシシッピー・ヒートらしいアルバムだね。

2008年12月25日木曜日

Igor Prado Band / Upside Down


『Igor Prado Band / Upside Down』 (Chico Blues LMCD-0373)
1. Upsidedown Intro
2. Strange Things Happen
3. Hoo-Ray For Hoo-Raw
4. Dancing Senhorita
5. Bumble Bee
6. Tigerman Instrumental
7. Mary Jo
8. Whiskey, Cachaca & Wimmen'
9. Hey! Boogie
10. Lonesome Cabin
11. Give A Little
12. It Ain't No Man
13. My Blues After Hours
14. Mr King Collins Medley
15. Maceo's Groove

ブラジルのブルース・バンド ”Prado Blues Band” のギタリスト、イゴール・プラードのソロ・アルバムです。
このイゴール・プラード、テキサスやウエストコーストのスウィング&ジャンプ系のサウンドを出すギタリストで、やっぱこういう音好きだな。ギターの腕前も達者なもんですよ。

歌だって歌えるのにゲスト任せにしてギターに専念してます。そのゲストの中で圧倒的な存在感があるのがウエストコーストのハーピスト、R.J.ミショーだ。(4)と(8)、(10)でボーカルとハーモニカを演奏してますが、(4)はお得意のロッキン・ブルースで、まるで本人のアルバムの1曲を聴いているかような錯覚に陥っちゃう。ミショー節モロ出しだね。(8)はジョン・リー・フッカーのウィスキー・アンド・ウィミンだが、重たくでドロッとしたブギはやらないんだよね。比較的軽快でウエストコーストらしいサウンドだ。そして、ライス・ミラーの(10)。ハープのやわらかくて深みのあるトーンと黒っぽい歌声シビレるね。

もう一人(5)でボーカルとハープをやってるスティーヴ・ガイガー。得意とするオーソドックスなシカゴ・ブルースで、これまた渋い。

ボーカルではJ.J.ジャクソンという人が参加してますが、結構図太い声で上手いですね。パーシー・メイフィールドの(2)なかなかイケてます。イゴールのギターも生ギターに近い音で、タメを効かせてパキパキ弾いてます。これがいいんですよ。

ジョニー・ギター・ワトソンの(12)でもJ.J.ジャクソンの歌はソウルフルでいいです。イントロのギターからしてワトソン節が炸裂するもんだから、思わず顔がニヤついてしまいました。(14)はアルバート・コリンズのトリビュート曲ですね。当然ですがコリンズほど切れ込みが鋭くないですが、なかなか切れの良いギター弾いてます。途中でソローの曲に変わるのですが、そこから後のほうがいいギター弾いてるな。
ブラジルにもスウィンギーなギタリストがいるもんですね。将来有望ですよ。

2008年12月22日月曜日

Jackie Payne Steve Edmonson Band / Overnight Sensation


『Jackie Payne Steve Edmonson Band / Overnight Sensation』 (Delta Groove DGPCD-123)
1. Overnight Sensation
2. Can I Hit It Again
3. Mother-In-Law Blues
4. Take a Chance on Me
5. I Got a Mind to Go to Chicago
6. Uptown Woman Downtown Man
7. Midnight Friend
8. Your Good Thing (Is About to Come to an End)
9. No Money, No Honey
10. Bag Full of Doorknobs
11. She's Looking Good/I've Never Found a Girl
12. Bringin' Me Right Back
13. Feel Like Going Home

ジョニー・オーティス・ショウで長い間シンガーを務めていたジャッキー・ペイン。と、
ウエストコーストのR&Bバンド、ダイナトーンズの元ギタリストのスティーヴ・エドモンソン。二人がチームを組んでから早いもので通算3作目となりました。

ジャッキーは以前、ケニー”ブルー”レイと組んでましたが、その時はケニーがテキサスの熱~いブルース・ギタリストという事もあって、"Soulful Blues"だけれどもブルース色のほうが強いサウンドでしたね。僕はとても好きでしたが。

で、スティーヴ・エドモンソンは渋めのギターで、シンガーとしてのジャッキー・ペインを引き立てる役に終始してる感じ。クロッパーさんタイプちゅうところかな。サウンドもぐ~っとソウル寄りですね。こちらもなかなかいいんだな。

ジャッキーの歌は、ボビー”ブルー”ブランドとかO.V.ライトとかを想い起こさせるもので、最近の新録のブルース・シンガーの中でもダントツに上手い。

サザン・ソウルからファンキー・ソウル、ディープなブルースまで聴き込むほどに味が出てくる、スルメ的なアルバム。良いです。

2008年12月20日土曜日

The Mannish Boys / Lowdown Feelin'


『The Mannish Boys / Lowdown Feelin'』 (Delta Groove DGPCD-122)
1. These Kind Of Blues
2. Searchin' Blues
3. Lowdown Feeling
4. Chocolate Drop
5. If The Washing Don't Get You, The Rinsing Will
6. Need My Baby
7. The Same Thing
8. The Woodchuck
9. Fine Lookin' Woman
10. You Don't Love Me
11. Figure Head
12. Rude Groove
13. When I Leave
14. Good Times
15. Something's Wrong
16. Reet, Petite and Gone
17. Dead Letter Blues

西海岸の新興レーベル、デルタグルーヴが主催するコミュニティー的なバンド、マニッシュ・ボーイズ。

THE BAND
Bobby Jones: vocals
Finis Tasby: vocals
Johnny Dyer: vocals
Randy Chortkoff: harmonica & vocals
Frank “Paris Slim” Goldwasser: guitar & vocals
Kid Ramos: guitar
Kirk “Eli” Fletcher: guitar
Ronnie James Weber: upright bass & electric bass
Tom Leavey: electric bas
Richard “Big Foot” Innes: drums

SPECIAL GUESTS
Little Sammy Davis: vocals & harmonica
Fred Scribner: slide guitar
Junior Watson: guitar
Lynwood Slim: harmonica
Al Blake: harmonica
Fred Kaplan: piano & B-3
Scott Steen: trumpet
David “Woody” Woodford: tenor sax & baritone sax
Cynthia Manley: background vocals
Jessica Williams: background vocals

総勢20名。今回のアルバムもウエストコースト・ファンにはもうお馴染みの錚々たる面子が顔を揃えておりますね。こんだけ大勢の人達が入れ替り立ち替りで演奏してるわけですが、サウンドは決して散漫にはなってない。どの曲もマニッシュ・ボーイズの音を出してるのは、流石にベテランのなせる業なのかな。
ホントに完成度の高い良いアルバムなんだけど、もうちょっと刺激が欲しかったな。

2008年12月17日水曜日

JW-Jones / Bluelisted


『JW-Jones / Bluelisted』 (Northernblues NBM0046)
1. Double Eyed Whammy
2. Looking the World Straight in the Eye
3. Can't Play a Playbo
4. Mad About You
5. Wasted Life
6. Somebody's Got to Burn
7. Heavy Dosage
8. That's Wrong Little Mama
9. Waiting on You
10. Doctor
11. Out of Service Blues
12. Bogart Bounces Again
13. Silent Treatment
14. Tickets on Yourself

今日紹介するJW-ジョーンズという人は、カナディアンで弱冠27歳にして卓越したギタリストなんです。カナダの人なのにギターはテキサスやウエストコースト・スタイルで、B.B.キングやアルバート・コリンズのフレーズをもろに弾いちゃってたりするが、若さゆえの思いっきりの良さですよ、なんか気持ちのいいものです。

サウンド自体はファビュラス・サンダーバーズのロッキン・ブルース的なところもあるが、全体的にカラッとしたノリのウエストコースト・ブルースちゅう感じだね。

で、このアルバム、凄いんです。なんとゲストでリトル・チャーリー・ベイティとジュニア・ワトソンが参加してるんです。この二人が顔合わせてレコーディングするの初めてじゃないかな。そして、リズム隊がラリー・テイラーとリチャード・イネス。ウエストコースト最強のリズム隊がバックに付いてるんだもの、これでサウンドがショボイはずがない。

トミー・リッジリーの(1)。ノリがいいんだよね。しかも、3人のギタリストがギターソロを掛け合うこのスリリングさ。JWもベテランに負けない位ファットなギター弾いてるし、好きな人にとっては至福の一時ですわ。

リチャード・ベリーの(4)では、ファビュラス・サンダーバーズ的なロックンロール・ナンバー。やっぱ好きだな。こんな楽しい曲はライヴで見たい。サックスでリズム刻むのなんか何回聴いても顔がにやけちゃう。アグレッシブなギターソロもいいね。

オリジナルの(7)はジャジーでスウィンギーなインスト・ナンバー。ここでも3人のギタリストがやりあってます。特にジャジーなウッドベースのソロの後はたまらんです。こういう曲をやってくれると、将来が益々楽しみになりますね。

(11)シカゴ・スタイルのスロー・ブルース。リトル・チャーリー・ベイティがハーモニカ吹いてますが、これは驚き。吹けたんだね。ナイトキャッツはリック・エストリンが吹くしね、もしかしたら初物だったりして貴重かも。

(12)ではアルバート・コリンズが登場します(笑)。しかし、ここまで弾きこなすとメチャカッコいいわ。
JW-ジョーンズ、これからの活躍がホント楽しみ。

2008年12月14日日曜日

Little Freddie King / Messin' Around Tha House


『Little Freddie King / Messin' Around Tha House』 (MadeWright MWR44)
1. Messin' Around Tha House
2. Can't Do Nothing Babe
3. Dig Me A Hole
4. Goin Out Da Mountain
5. Sad Sad News
6. The Things I Use To Do
7. Kinghead Shuffle
8. Bad News
9. Goin' Upstairs
10. Washerteria Woman

リトル・フレディ・キングなんて名前なもんだから、どうもあのフレディ・キングと関係があるんじゃないかって思ってしまうのだが、実は全く関係ない。サウンドも違うしね。

ミシシッピ生まれで、ニューオリンズで活動してる今年68歳になるベテランのブルースマンです。サウンドはロンサム・サンダウンやライトニン・スリムあたりのルイジアナ・ブルースが基本で、ミシシッピのデルタ・ブルースも当然しっかりとその根底にある。

このアルバムでは、1曲目や(3)、(5)で打ち込みやスクラッチといったヒップホップの手法を融合させた曲をやってます。これはクリス・トーマス・キングなどもやってて、今となっては決して新しいとは言えなくなったが、このお年でこの試みをやろうという意欲には好感が持てるところだ。ビートがあるし悪くないな。

しかし、なんやかんや言っても本来の持ち味を発揮してる曲が一番いい。(2)や(4)はルイジアナのスワンプ・ブルースで、年季の入ったこのレイジーさはたまらんですね。また、ギター・スリムの(6)でのぶっきら棒な歌い方といい泥臭ささといい味わい深いものがあるな。そして、(9)では猥雑なデルタ・ブルース。このドロドロっとした感じ、ブルースだな。

2008年12月13日土曜日

Legendary Rhythm & Blues Revue / Command Performance


『Legendary Rhythm & Blues Revue / Command Performance』 (Delta Groove DGPCD-121)
1. Can't You See
2. I Feel That Old Feeling Coming On
3. Whammy Jammer
4. Still the Girl in the Band
5. See You Hurt No More
6. If It Ain't Me
7. If I Had a Nickel
8. Will It Go Round in Circles
9. She's Nineteen Years Old
10. Tell Me Mama
11. Looking for a Love
12. High on the Hog
13. Sea Cruise

カリブ海を航海する豪華客船の上で、”Legendary Rhythm & Blues Cruise”というブルースのライブイベントが毎年開催されてるそうです。毎回20組以上のバンドが参加してるみたいで、因みに2009年1月のイベントでは、タジ・マハールやアーマ・トーマス、デレック・トラックス、T-バーズ、ルーサー・ジョンソンなどなど沢山のバンドが出演するようですね。全くアメリカという国は何をやるにもスケールがでかいな。

このバンド名から察するに、イベントの為に結成された即席のバンドのように思われ、2007年10月のイベントの模様やその後のもろもろのライヴが収録されてるのがこのライブアルバムです。即席のバンドとは言え、纏まりのあるしっかりした演奏なので楽しく聴けるし、フロントが変わる度にバンドの感じがガラッと変わったりするので、そのあたりも聴き所の一つかな。

ロニー・ベイカー・ブルックスはT-バーズのような派手なロックンロール・ナンバーの(1)、ソウル・バラードの(5)、典型的なシカゴ・ブルースの(9)と、3曲とも異なったサウンドを出してるが、(1)のように仰け反りで派手なフレーズを弾いてるのが彼らしい気がする。(9)でのバディ・ガイ顔負けの感情的なギターもなかなかいいし、マジック・ディックもいい仕事してますね。そのマジック・ディックのハープはJ.ガイルズ・バンド時代から定評のあるところで、ハープ・インストの(3)、これはカッコいいです。

ディアナ・ボガートという女性ピアニストはよく知らないのですが、ロッキン・ブギウギの(4)なんか好きなノリだな。

そして、ロッキン・ブギウギといえばヒューイ・ピアノ・スミスで、(13)ではマーシャ・ボールがゲスト参加で歌ってます。声はいまひとつ出てないが、このブギウギ・ピアノとルイジアナなノリは最高だね。生ライブはもっと最高だろうな。

2008年12月9日火曜日

Big Daddy 'O' / What You Gotta Go Through


『Big Daddy 'O' / What You Gotta Go Through』 (Rabadash RAB-029)
1. What You Got To Go Through
2. Heavenly Joy
3. Angel
4. Don't Worry 'Bout It Baby
5. Doin' His Job
6. Sportin' Life
7. Ain't Gonna Worry
8. Sixteen Tons
9. Underneath It All
10. Down Here
11. Attitude
12. Gulf Coast At Dawn
13. GGT Ragtime
14. Got No Blues Today
15. If Only We Had Time
16. Vieux Carre Too
17. Shake Rattle And Roll
18. Mama Told Me So

ジャケットを見るとリゾネーターを弾いてたりして、なんとなくカントリー・ブルースをやりそうな雰囲気を持ってるビッグ・ダディ・オー。実際はブルースやカントリー、フォークなどをアコースティック・ギター一本で弾き語るシンガーソングライターで、ボブ・ディランを連想されると思いますが、彼とはまた違った、ルイジアナの人らしい独特の雰囲気を持ったシンガーです。ギター・サウンドからすると根本的にはフォーキーな人かなと思います。ダディ・オーの一番いい所はやはり心温まる歌声、これに尽きます。

通算3作目となる今回の作品では、全曲の内の約半分で本格的なバンド・サウンドを取り入れてます。ボブ・ディランがザ・バンドをバックにフォーク・ロックを演奏したような感じとも言えなくもないが、ダディ・オーは結構ストレートなブルースです。ライブの写真を見るとエレキ・ギターを弾いてたりしてますので、日頃からこういうのやってるんでしょうね。弾き語りからはガラリと雰囲気が変わりますが、板に付いた演奏です。

曲はカヴァー曲が多いのですが、人の曲を自分のものにするのが非常に上手い。圧巻だったのは(3)で、クレジットを見るまではこの曲がジミ・ヘンドリックスの曲とは気が付かなかったくらい。アコギとエレキのみの演奏で、正直参りました。ホント素晴らしいです。そういえば以前もストーンズやビートルズの曲をカヴァーしてましたし、ある意味親近感を持てる人でもありますな。

次の(4)はバンド・サウンドのオリジナル曲。出だしのバレルハウス調のピアノとアコギとの掛け合いが最高で、ルイジアナらしいノリのブルース。これもたまらんね。

素晴らしい曲が満載なのでどの曲も紹介したいのだが、夜も更けてきたので最後に(9)を聴いて寝よう。ダディ・オーの歌を聴いてると優しい気持ちになれる。これしか言えないがホント素晴らしい。途中入るテレサ・アンダーソンのヴァイオリンも見事。感動しました。いい夢が見れそうだ。

2008年12月6日土曜日

Sean Costello / We Can Get Together


『Sean Costello / We Can Get Together』 (Delta Groove DGPCD-120)
1. Anytime You Want
2. Same Old Game
3. Can't Let Go
4. Told Me A Lie
5. Hard Luck Woman
6. How In The Devil
7. Have You No Shame
8. Going Home
9. All This Time
10. Feel Like I Ain't Got A Home
11. Little Birds

去年、ナッピー・ブラウンのアルバムに参加して、凄くイケてるブルージーなギターを弾いたショーン・コステロ。
14歳でメンフィスのブルースのコンテストで優勝して、16歳でデビュー・アルバムをリリース。若くしてその才能を発揮させ、ブルース界ではかなり話題となり期待もされたようですね。

通算5作目となるこのアルバムは、今や西海岸では一番ノッてるレーベル”デルタ・グルーヴ”からのリリースとなりました。これは期待せざるおえないでしょうってことで、サンプルを聴くのもガマンしてCDが届くのを待ちましたよ。僕の頭の中ではスウィンギーなサウンドが鳴ってたもんだから、まさかここまでアタックの強いブルース・ロックだったとは、正直驚きでしたね。でも結構カッコいいサウンドですよ。ギターは骨太でいい感じに枯れたレスポール・サウンドだし、例えば(3)のイントロとか、シビレるね。歌声はしゃがれてるけれどロック調の時は凄みを利かせ、R&B調のバラードではとてもソウルフルでなかなかなものです。曲はオリジナル中心で曲作りの上手さもさることながら、やっぱバンド・アンサンブルの巧みさだね。これはリヴォン・ヘルムに鍛えられたのが利いてるのかな。(4)なんかはバンドを想わせるところあるしね。一転(5)では、これはツェッペリンかな。ギターのリフがカッコいい重心の低いブルース・ロック。結構タメも利かせてるリズムで、ライヴで聴いたら燃えてきちゃいそうなタイプだ。そして、意外とグッときたのがバラードの(7)。エモーショナルなギターと歌、涙腺に響いてきちゃいました。

ショーン・コステロは、4月16日で29歳になろうという一日前の15日に、滞在先のホテルで急逝してしまいました。死因はミュージシャンらしいといえば語弊があるが、そういうことらしい。素晴らしいギターを弾くブルース・ギタリスト。これからの人なのに残念ですね。

2008年12月2日火曜日

Wentus Blues Band / Family Meeting


『Wentus Blues Band / Family Meeting』 (BSMF BSMF-2074)
DISC 1
1. Intro: Going To The Show
2. Moonshine
3. You gonna make me cry
4. Since I been loving you (feat. Sven Zetterberg)
5. I got to go (feat. Sven Zetterberg & Kim Wilson)
6. Passenger Blues (feat. Kim Wilson)
7. Pick up the pieces (feat. Sven Zetterberg & Eddie Kirkland)
8. Lonesome fugitive (Lazy Lester backstage)
9. Angel Blues (feat. Omar Dykes)
10. Stop twisting my arm (feat. Barrence Whitfield)
11. Can't you hear me knocking (feat. Mick Taylor)
DISC 2
1. I heard the angels singing (feat. Eric Bibb)
2. Down the line
3. Looking for Trouble (feat. Kim Wilson)
4. Hold that note (feat. Clas Yngström)
5. Annie Lee (feat. Barrence Whitfield)
6. Blind Willie McTell (feat. Mick Taylor)
7. Backroom Delta (Louisiana Red & Niko Riippa backstage)
8. Ventilator Blues (feat. Mick Taylor)
9. Ride on Red (feat. Louisiana Red)
10. Raining in my heart (feat. Lazy Lester)
11. Biscuit Roller (feat. Clas Yngström & Barrence Whitfield)
12. Outro: Great Final

今日紹介するウェントス・ブルース・バンドは、北欧のフィンランドで20年以上にわたり活動を続けてるブルースバンドで、このアルバムは、結成20周年を記念して行われたコンサートの模様を収めた音楽ドキュメンタリー映画のサウンド・トラックということらしい。

北欧ではホントにブルースが盛んでブルース人口も多いというのは知ってますが、こんな豪華なゲストの面々が集まるということは、やはり実力のある有名なバンドだからなんでしょうね。

で、僕のお目当てはスヴェン・ツェッターバーグだった訳でして、ギター、ハーモニカ、ヴォーカル共に卓越した才能を持った人で、スウェーデン・ブルース界の最重要人物。そのスヴェンがフロントに立ってる曲がディスク1の(4)と(5)、スヴェンの持ち味というか特徴をよく表した2曲だね。(4)はブルーズン・ソウルでクールなリズムに切れの良いギター、そしてソウルフルな歌。う~、スヴェン・ツェッターバーグだ。リトル・ウォルターの(5)は、勿論、グルーヴ感溢れるシカゴ・ブルース。ハーモニカはキム・ウィルソンに任せてるが、ホートンばりの図太いハープが聴きたかったな。

こんだけ豪華なゲストだと1曲1曲聴き応え十分なんですが、その中で面白かったのはオマー・ケント・ダイクス。このストラトの音といいフレーズといい、これはスティーヴィー・レイ・ヴォーンじゃねぇか。確信犯か。ジミー・ヴォーンとのアルバムの時もだけど、茶目っ気のある人なのかも。

あとは、レイジー・レスターだね。スリム・ハーポの「レイニン・イン・マイ・ハート」ホントいいわ。いい味出してるし、今レイド・バックさせたら右に出る人いないんじゃないかな多分。