2009年1月28日水曜日

Moanin' At Midnight : The Life and Times of Howlin' Wolf


『ハウリン・ウルフ ブルースを生きた狼の一生』 (P-Vine Books)
ジェイムズ・セグレスト、マーク・ホフマン共著 訳:新井 崇嗣
EP盤 「モーニン・アット・ミッドナイト / ライディン・イン・ザ・ムーンライト」

延期延期で少々忘れかけてたハウリン・ウルフの伝記が、今日、突然我が家に届いていた。5千円払わされた嫁にはブーブー言われてしまったが、毎度の事だ。
4、5年前、Living Blues誌で紹介されてた本で、日本語訳が出てほんと良かった。
ずっしりと重たく、本の作りも丁重で申分ない。手に取って表紙眺めて、これだけでも満足した気分になったのは自分だけだろうか。
今日はハウリン・ウルフを聴くとしよう。レコードで聴きたい気分だな。
本の中身をパラパラ見てみると、40年代から70年代までの写真も何十枚か掲載されてます。しかし、インデックス等を省くと全354ページ。果たして完読するのはいつになることやら。エルモア・ジェームスの伝記もまだ読んでないのに...

2009年1月27日火曜日

Bobby Rush / Look At What You Gettin'


『Bobby Rush / Look At What You Gettin'』 (Deep Rush DRD-1004)
1. Another Kind Of Fool
2. Ain't No Love Like My Baby's Love
3. Let Me Love You
4. Look At What You Gettin'
5. I Got 3 Problems
6. Hooked On You
7. Get Up, Show Me What You Working With
8. She's Fine
9. I Should Have Left You
10. She Ain't Lovin' Me Like She Oughta
11. Train And My Hound Dog

見るからにバイタリティ旺盛で、いつまでもチャレンジ精神を持ち続けてるボビー・ラッシュ。前作はアコースティックなブルース・アルバムを出して、僕は結構お気に入りの一枚でした。今回は「Night Fishin'」路線で、よりファンキーになったソウル・アルバムです。歌やハーモニカの節回しは、ボビー・ラッシュそのもの。映画で観たステージのサウンドに近い感じなのですが、シンセサイザーや打ち込みみたいなのを多用してて、今時の音なのでしょうけれど、どうもこの機械的なリズムが苦手でして。ただ、ソウル・アルバムにしてはハーモニカの活躍の場が多かったのは良かった。曲自体も割りと良い曲が多くて、中でも一番良かったのは(11)。ルーファス・トーマスを思い出すユーモラスなR&Bナンバーで、ファンキーなリズムに絡むボビー・ラッシュ節のハーモニカ、ブルージーだね。それに犬の鳴き真似がまた面白い。しばらく耳に残りそうだ。

2009年1月26日月曜日

Marcia Ball / Peace,Love & BBQ


『Marcia Ball / Peace,Love & BBQ』 (Alligator ALCD-4922)
1. Party Town
2. Peace, Love & BBQ
3. Miracle In Knoxville
4. Watermelon Time
5. Down In The Neighborhood
6. Where Do You Go?
7. My Heart And Soul
8. I'll Never Be Free
9. Married Life
10. Falling Back In Love With You
11. Right Back In It
12. Ride It Out
13. I Wish You Well

マーシャ・ボールは、テキサス州オースチンを本拠地として活動してるベテランのピアニスト&シンガーだが、そのサウンドはルイジアナとニューオリンズが基となってます。

ちょっぴりハスキーな歌声が魅力的で、ブギウギなピアノで軽快にノリまくるのが持ち味というか好きな所かな。自分のサウンドを持ってる人ですね。

今回のアルバムでも1曲目、2曲目と軽快なノリのニューオリンズR&Bで、「マーシャ・ボール」ちゅうサウンドだ。

そして、気に入ったのは(4)で、ドライブ感のあるセカンド・ライン・ビートにプロフェッサー・ロングヘアを想わせるブギウギ・ピアノ。途中入るギターソロが結構スウィンギーで、そこだけジャンプ・ブルースみたいで面白い。楽しい曲です。

(6)(8)はソウルフルなバラードで、特にDr.ジョンとデュエットしてる(8)がいい。Dr.ジョン渋い。しんみりと聴かせてくれます。

(9)はピアノをアコーディオンに持ち替えてのケイジャン。カラッとした明るいサウンドはやっぱ楽しいね。

ジャジーなバラード(10)、ロックンロール・ナンバーの(11)などなど、いろんな曲が楽しめて良いアルバムでした。

2009年1月23日金曜日

John Boutte / Jambalaya


『John Boutte / Jambalaya』
1. Two Bands Rollin'
2. It Don't Cost Very Much
3. A Change Is Gonna Come
4. Shake My Gate
5. Sisters
6. All These Thing That Make You Mine
7. Treme Song
8. Battle Hymn Of The Republic
9. That's My Desire
10. Hey, That's No Way To Say Goodbye
11. At The Foot Of Canal Street
12. Didn't It Rain
13. Why
14. Hot Time In The Old Time Tonight
15. If I Had My Life To Live Over
16. I Washed My Hands In Muddy Water

2008年に再発されたジョン・ブッテのベスト・アルバム。
代表作が網羅されてますが、いろんなタイプの曲があってジョン・ブッテ・ワールドを十二分に堪能することができました。
新作で再録された(5)(7)(11)のオリジナル・バージョンも聴けます。アレンジの違いなど聴き比べるもの楽しいものです。
何回聴いてもハートにじ~んと響いてくる歌声。
やはりジョン・ブッテは最高のシンガーだ。

2009年1月22日木曜日

John Boutte with Conspirare


『John Boutte with Conspirare』
1. Wayfarin' Stranger
2. A Change is Gonna Come
3. Please Send Me Someone To Love
4. A Thousand Beautiful Things
5. How I Got Over
6. Go Tell It On The Mountain
7. Home
8. I Could Have Danced All Night

2006年12月10日、テキサス州オースチンに在る"The Carillon"というコンサート・ホールで、"Christmas at the Carillon"というクリスマス・コンサートが開催されました。

ジョン・ブッテはオースチンのコーラル・グループ Conspirare と共演し、その時のライヴが収録された Conspirare名義のアルバム"Love Calls You"の中から、ジョン・ブッテが歌った8曲を編集されたものが今回のアルバムです。

ピアノと聖歌隊、それにジョン・ブッテというシンプルな構成で歌われたこの8曲は、残響効果のある特殊なホールも手伝って、それはもう言葉に出来ないくらいに麗しく感動的です。

ピアノの伴奏で歌うサム・クックの(2)とパーシー・メイフィールド(3)。こんな素晴らしい「ア・チェンジ・イズ・ゴナ・カム」を僕はこれまでに聴いたことがない。ざわ~って鳥肌たって、ただただ感動。続いて(3)でもうノックアウトですよ。

ゴスペル・クワイアも素晴らしい(5)。力強く歌うブッテのゴスペルにも痺れます。こういう曲を聴くと、やっぱり教会で聴いてみたいと思いますね。

(7)では、聖歌隊のハーモニーの美しさにほろりです。そして、ブッテの歌。神神しいほどに美しくて泣けます。

最後に大きな拍手と歓声が湧くのですが、それですら感動してしまう。あ~、その場に居合わせたい。

2009年1月21日水曜日

John Boutte / Good Neighbor


『John Boutte / Good Neighbor』
1. Door Poppin'
2. Good Neighbor
3. Showing Up For The Party
4. The Eternal Now
5. Southern Man
6. Wake Up
7. Cutting Heads
8. Sisters
9. Broke Down The Door/The Treme' Song
10. Love Ya' Mean It
11. My Life
12. Foot Of Canal Street
13. Accentuate The Positive

ジョン・ブッテは今活躍してる人たちの中でも最高のシンガーだと思います。
ちょっぴりハスキーでハイトーンの歌声は、時おり中性的な感じを受ける時もあるけれど、そのずば抜けた歌唱力と感情表現の豊かさは、やはり一流です。心にじ~んと響いてくるんですよね。

今回の新作では、リロイ・ジョーンズやジェームスとトロイのアンドリュース兄弟、クレイグ・クライン、アイヴァン・ネヴィル、ポール・サンチェスなどニューオリンズの腕利きが大勢参加してます。これだけ勢揃いするとニューオリンズですから豪華なサウンドがと思いがちですが、実は至ってシンプルでシック。

ジャズは勿論、セカンド・ライン物、R&B、ソウル、ゴスペルなどなど幅広く歌いこなすジョン・ブッテですが、今回はなんとニール・ヤングの「サザン・マン」を取り上げております。気に入ったものは何でも吸収して自分のものにしてしまう雑食性は、ニューオリンズならでは。これが個性となるんでしょうね。ブッテらしいアレンジとニューオリンズらしい独特のグルーヴは最高です。

ブルージーなギターとセカンド・ライン・ビートに乗ってファンキーに歌う(1)、ソウルフルなバラードの(3)や(11)。特に(11)は切なくなるほど感動的な歌。歌詞が解ればと残念に思うのですが、楽器の一つとして聴いてしまう歌声にこんなに感動させられてしまう。また、ゴスペル調のお得意の(12)などなど全曲素晴らしいです。

2009年1月18日日曜日

Get Hip Showcase 2 Favorite Title '00~'08


『Get Hip Showcase 2 Favorite Title '00~'08』 (Get Hip GC-012)
1. Cabaret 2008 / Little fats & Swingin' hot shot party
2. What Can Say After I Say I'm Sorry / Fat joyHum(Tsubasa)
3. Is It True What They Say About Dixie? / ちょい濡れボーイズ featuring 新井武人
4. Exzactly Like You / Fat joyHum(Sara)
5. The Frim Fram Sauce / Little fats & Swingin' hot shot party
6. Stupid Cupid / The Skabays
7. メエ / モノポリーズ
8. Misaki / ふたり乗り
9. I Want You to Be My Baby / Bogalusa
10. Shine / ちょい濡れボーイズ
11. Sweet Sue Just You / Little fats & Swingin' hot shot party
12. Carpet Alley-Breakdown / Old Southern Jug Blowers
13. It's Only a Paper Moon / ちょい濡れボーイズ
14. Rock Candy / Hot Saxy
15. On the Sunny Side of the Street / Little fats & Swingin' hot shot party
16. Wrap Your Troubles in Your Dreams / Bogalusa

ゲットヒップ・レコードという日本のレーベルのベスト・トラック編集盤。
ジャグ・バンドを中心にジャイブ、ブルース、ウエスタン・スウィング、30年代のオールド・タイミーなジャズなど、楽しくなるようなアメリカン・ルーツ・ミュージックがたっぷり収録されております。

日本で知ってるジャグ・バンドはMad-Wordsかバンバンバザールくらいで、このアルバムに入ってるバンドは全く知らなかったのですが、ジャズの名曲がずらっと並んでたので結構楽しめました。

どのバンドも演奏上手くて良くスウィングしてますね。中でも比較的気に入ったのは、まずは、Bogalusa。ルイ・ジョーダンで馴染み深いジャイブの(9)。ブルージーなギターがいいね。オールド・ジャズの名曲(16)もいい感じだ。

オールド・ジャズといえば、もっとも好きな(15)。30年代の大恐慌の時に作られた曲でね、元気でるよね。ホントいい曲だな。

ちょい濡れボーイズも好きだな。ギター2本にウォッシュボードという3人組みで、ゲストでアコーディオンとベースが参加してます。少人数ということもあってかウォッシュボードが凄く効いてます。デキシーランド、ニューオーリンズのジャズはやっぱいいね。

(12)のOld Southern Jug Blowersは、唯一ジャグを使ってる大所帯の古典的なジャグ・バンド。ジャグが「ぶお~」って何とも言えないいい味出してますね。これは正しくデキシーランド・ジャグ・ブロワーズちゅう感じで、とても楽しいサウンドでした。

ジャグにしろジャイブにしろ、皆で陽気に騒いで楽しまなきゃという音楽の根本だよね。これはのめり込んじゃうね。

2009年1月15日木曜日

Harmonica Hinds / Harmonica Hinds-Finally


『Harmonica Hinds / Harmonica Hinds-Finally』
1. Wake the Spirit
2. Goin Down to the River
3. It's So Cold
4. You Got it Good
5. Take Your Time
6. Stop Complaining
7. Imelda
8. Harmonica Hinds Shuffle
9. Don't You Steal My Money
10. Can't Stay Here Forever
11. That Old Dichotomy
12. Connected With the Sun

シカゴのバディ・ガイズ・レジェンドをホームグラウンドとし、定期的にライブを行ってるハーピストのハーモニカ・ハインズ。

70年代初頭にシカゴに移って来て、ジュニア・ウェルズなどを見てハーモニカを覚えたそうですが、そのウェルズの本拠地、テレサズ・ラウンジのハウスバンドを務めたこともあるらしいです。

ギターとハーモニカ、そしてタンバリンを単独で演奏するアコースティックなライブをするそうですが、今回のアルバムは、エディ・テイラーJr.などが参加して、オーソドックスなシカゴ・ブルースをバンド・サウンドに乗っけてやっております。

冒頭を飾るのは、ファンキーなハープ・インスト・ナンバー。ハインズのハーモニカも素晴らしいのですが、どうしてもエディJr.のギターに耳が行ってしまう。この存在感たるや大したものだ。やはり血は争えないって感じですね。

(2)は伝統的なシカゴ・ブルース。ハインズの歌は今一だが、ハートに沁みてくるハーモニカの音と親父さんを想わせるエディJr.のギター、心地いいね。

歌入りとインストは半々くらいの選曲ですが、断然インストの方がカッコいい。

(7)とか(12)あたりが単独のアコースティック・ライブでやってるみたいな曲かな。オーガニック・サウンドでなかなか渋いですね。

2009年1月12日月曜日

Eddie Taylor Jr. / I Got To Make This Money,Baby


『Eddie Taylor Jr. / I Got To Make This Money,Baby』 (Wolf 120.817)
1. I Got To Make This Money, Baby
2. Salute To Eddie Taylor
3. Train Fare Blues
4. My Little Machine
5. Mama, He Treats Your Daughter Mean
6. That's All Right
7. Goodbye Williee Kent
8. I'm In the Mood
9. Take Your Hand Down
10. Just A Little Bit
11. Biggest Blues Fan
12. Whiskey Headed Woman

エディJr.はエディ・テイラーの3番目の息子で、幼い頃からブルースに触れ合って成長したようだが、実際、関心があったのはヒップホップだったそうです。それが、親父さんのアルバムを聴き始め、ギターを弾くようになった。血は争えないって事ですね。

エドワード・テイラーでデビューして、エディ・テイラーJr.に改名し、今回の最新アルバムに至るまで、一貫して根本的にエディ・テイラーを継承しているサウンドだ。

特に(2)では、ジミー・リード+エディスタイルで、今回全面的に参加してるハーピスト、ハーモニカ・ハインズの素朴で味のあるハープを伴って、正しくあのサウンドを鳴らしてて涙もんですわ。曲名通り、エディ及びブルースに対する尊敬の念を感じます。

黄金時代のシカゴ・ブルースを想わせる、飾り気や誇張のないクリーンな音色で、終始ゆる~いサウンドは、ガツンという感じじゃないけれど、ふわっとした心地良さでホント気持ちのいいサウンドです。
エディJr.はサイドマンの仕事も目を見張るものがあるので、そちらも楽しみですね。

2009年1月10日土曜日

Buddy Guy / Skin Deep


『Buddy Guy / Skin Deep』 (Zomba 88697-31629-2)
1. Best Damn Fool
2. Too Many Tears
3. Lyin' Like A Dog
4. Show Me The Money
5. Every Time I Sing The Blues
6. Out In The Woods
7. Hammer And A Nail
8. That's My Home
9. Skin Deep
10. Who's Gonna Fill Those Shoes
11. Smell The Funk
12. I Found Happiness

バディ・ガイの最近のアルバムはというと、ファット・ポッサム系のデルタ・ブルースをやってみたり、弾き語りのカントリー・ブルースやR&B、ソウルをやってみたりと、テーマを決めて制作してました。今回はブルース・ロックしてまして、バディのあの、魂をヒステリックなまでに搾り出すような歌やギターも今なお健在で、よりバディらしいアルバムかなと思います。

ゲストはデレク・トラックスやスーザン・テデシ、エリック・クラプトン、ロバート・ランドルフなど多数参加してますが、その中でも天才ギター少年のクイン・サリバン君の参加は驚きでした。ジャケットの中に写真も載せて、よっぽど気に入ったみたいですね。

1曲目からバリバリロックしたアルバムですが、僕は(4)(6)(8)あたりが好きかな。

(4)はどっしりとした重心の低いシャッフル。流石にノリがいいね。(8)ではサザン・ロックバンドがやりそうなロックン・ロール・ナンバーだが、これが実にカッコいい。

そして(6)、「スティル・ア・フール」タイプの緩いデルタ・ブルース。ロバート・ランドルフの神秘的なステール・ギターでのスライドとバディの太くてマイルドな335。その合間を縫うようにして流れるネイザン・ウィリアムスのアコーディオン。いい味出してるよね。

バディは曲によってメインのストラト、テレキャスター、ES335と使い分け、時にはジェリー・ジョーンズ・シタールまで演奏してて、何つってもバディ・ガイですから、そりゃー楽しめるってもんです。

次はもう一度、ハーピストとのコンビも聴いてみたいですね。ハーモニカ・ハインズあたりでどうですか。

2009年1月6日火曜日

Tab Benoit / Night Train To Nashville


『Tab Benoit / Night Train To Nashville』 (Telarc CD-83674)
1. Night Train
2. Solid Simple Things
3. Darkness
4. Too Sweet for Me
5. Moon Comin' Over the Hill
6. Lost in Your Lovin'
7. Rendezvous with the Blues
8. Fever for the Bayou
9. New Orleans Ladies
10. Muddy Bottom Blues
11. Stackolina

タブ・ベノワの新作は、2007年5月に収録されたライブ・アルバムです。
オープニングはワンコードのスワンプ・ロックだが、CCRぽい曲だね。影響を受けてるのでしょうけど、よりブルージーでずっしりしたリズムはベノワらしい。歌はギターに比べると弱いとかよく言われとりますが、このライブを聴くと上手くなった思いますよ。でも、やっぱりギターが最高なんですが。テレキャスターのファットな音色、シビレるね。

2曲目の気持ち緩めのブギも結構好きな曲だな。ギターソロもいい。

(4)ではキム・ウィルソンがボーカルとハーモニカでゲスト参加。如何にもらしい典型的なロッキン・ブルースで、こういう曲が聴けるのもライブならではで嬉しい所ですね。

(6)はストーンズ・ファンでも気に入ってくれそうなサザン・ロック。イントロのカッティングがメチャカッコいい。ホント気持ちのいいギターを弾く人だ。

そして、極めつけは(8)で、どっぷりとルイジアナのスワンプに嵌まってしまったサウンドだ。ジョニー・サンソンのハープもたまらんな。

2009年1月1日木曜日

Sven Zetterberg / Hollerin' Up A Storm


『Sven Zetterberg / Hollerin' Up A Storm』 (Border Music BLCD29)
1. Jukejoint
2. Too Old For The City
3. Ain't No Hurry To Go Home
4. Hollerin' Up A Storm
5. Middle Ground
6. The Shoeshine
7. Close Talker
8. Why Don't You Like Your Job
9. Fallin' Apart
10. Parade Square Jamboree
11. Gonna Get Smart
12. Mr. Clean's Got A Dirty Mind
13. Such Behavior Won't Do

スウェーデンは以前、世界第3位の音楽輸出大国と言われたこともあり、元々音楽の盛んなお国柄なのであるが、取り分けブルースに関してもその例外ではないようです。

スウェーデンのブルース雑誌「ジェファーソン」に掲載されてるバンドは300近い。総人口が約900万人であることを考えると、如何にブルース人口密度が高いかが分かりますよね。とても気になって仕方がない国なのであります。

スウェーデンのブルースマンで一番有名なのは、マジック・サムの「ウェスト・サイド・ソウル」に参加していたピアニスト、ストックホルム・スリムであろうかと思われますが、そのストックホルム・スリムの教え子に当たる人物が、現在のスウェディッシュ・ブルース界最強の一人と数えられるスヴェン・ツェッターバーグなんですね。

スヴェン・ツェッターバーグはギタリストでもあり、ボーカリストでもあり、ハーピストでもあるわけですが、そのどれもが傑出した才能を持ち合わせている。

サウンドは根本的にシカゴ・ブルースとサザン・ソウルが好きな人のようですが、近年のソロアルバムでは、60年代のR&Bやソウルといった色合いの濃いアルバムを立て続けに出して、歌を歌うという事に情熱を注いでいたように思われました。

で、今回の最新アルバムでは、「HARMONICA SESSIONS」と書いてあるように、スヴェンのブルース・ハープが十二分に堪能できるアルバムになりました。ウォルター・ホートンのトリビュート・アルバム「Horton's Briefcase」でそのハーモニカにすっかり魅了されてしまった自分としては、いつかはハーモニカ・アルバムをと期待してたので、正に願ったり叶ったりという訳ですね。

60年代を彷彿させるジャケット同様に、サウンドも60年代のヴィンテージなシカゴ・ブルースが満載だが、時折ウエスト・コーストぽい雰囲気も感じられる。これはノックアウト・グレッグ&ブルー・ウェザーのギタリスト、アンダース・ローウエンの参加に由るところが大きいかなと思う。スヴェンに負けず劣らずの巧みなギタリストで、ジャジー且つスウィンギー、そしてブルージーなギターを弾く。スウェディッシュ・ブルースの中でもトップクラスのギタリストだろうと思いますね。

略全曲オリジナルで、1曲目からジョニー・シャインズがウォルター・ホートンと一緒に演奏した「イブニング・サン」を彷彿とさせるノリの良いアップテンポのシガゴ・ブルース。スヴェンの太くてブルース・フィーリング溢れるハーモニカとボーカルはホント上手い。この手の曲では、ハープ・インストの(6)もハープやバンドのノリ共に最高でたまらんです。(7)はサニー・ボーイ・ウィリアムソンの「ダウン・アンド・アウト・ブルース」辺りを感じさせるサウンド、これも好きだな。(9)ではどっしりとしたミディアム・シャッフルのブルース。そして、(10)は一転して、アンダース・ローウエンのT-ボーンばりのスウィンギーなギターが冴えるジャンプ・ブルースだ。スウェーデンのブルース・バンドは、テキサス・ウエストコースト系のジャンプ・ブルースを演奏する人達が比較的多いように思います。好きなんでしょうね。僕も好きなんですが。

ホントにクオリティの高い最高のアルバムです。
あとは、スウェーデンやその他北欧産のブルースアルバムが、容易に入手出来るようになれば言う事ないんですけれど。