2011年2月9日水曜日

Hollywood Blue Flames / Deep In America


『Hollywood Blue Flames / Deep In America』 (Delta Groove DGPCD 136)
1. Nit Wit
2. Rambler & A Rollin' Stone
3. Crescent City Rock
4. My National Enquirer Baby
5. Music Man
6. Leavin' California
7. Jalopy To Drive (aka Sonny Boy’s Jump)
8. Bad Boy Blues
9. I Don't Care
10. Rocky Mountain Blues
11. Hip-Hoppin' Toad
12. Hushpuppy
13. Fly Like The Eagle, Cry Like The Dove
14. He's A Blues Man

『Hollywood Fats Band / Larger Than Life, Vol.2』
1. She's Dynamite
2. Blue And Lonesome
3. Hide Away
4. Kansas City
5. Half Steppin’
6. Read About My Baby
7. Nit Wit
8. Blues After Hours
9. Jumpin' With Duncan
10. Lonesome
11. Shake Your Boogie
12. Baby, Let's Play House

Al Blake - vocals & harmonica
Fred Kaplan - piano
Larry Taylor - bass
Junior Watson - guitar
Kirk Fletcher - guitar
Richard Innes - drums
Michael “Hollywood Fats” Mann - vocals & guitar


ハリウッド・ブルー・フレイムスを語る上で避けて通れぬのがマイケル”ハリウッド・ファッツ”マンの存在なのですが、ハリウッド・ファッツを知った時はもう既に亡くなってしまった後で、アルバム探しても見つからないし、そりゃもう伝説的なギタリストという感じでした。
唯一のオリジナル・アルバムが「Complete 1978 Studio Recordings」という形で、2002年にドイツのレーベルCrosscutから発売された時は、本当に大喜びで購入しました。
ヨーロッパではブルースは未だ根強い人気があるようで、良質のブルースを見極める力を持ってるような気がしてなりません。古い音源とかも本当ならばアメリカがやって然るべき所をヨーロッパが代わりにコツコツやってる。やはり伝統を重んじる風土という所があるのでしょうか。

話が横道にそれてしまったが、ハリウッド・ファッツ名義のオリジナル・アルバムは一枚しか残されていないけれど、WATTSTAXのアルバート・キングを始め、ジョン・リー・フッカー、ウィリアム・クラーク、スモーキー・ウィルソン、ジェイムス・ハーマン、ロッド・ピアッツァなどのレコーディングに参加し、セッション・ギタリストとしての方が目覚しい活躍をしている。作曲が出来なかったという痛い側面があるので致し方ないが、ギタリストとしては天才的だろうと思う。
ところが、1986年に32歳の若さで亡くなってしまったのでハリウッド・ファッツ・バンドは解散してしまいました。残されたメンバーはウェストコーストの若手ギタリスト、カーク・フレッチャーを従えてハリウッド・ブルー・フレイムスを結成。2005年に1stアルバムをリリースした訳ですが、今回のアルバムは通算3作目となります。

前作同様、ハリウッド・ブルー・フレイムスの新録とハリウッド・ファッツ・バンドの未発表ライブをカップリングした2枚組で、ライブ盤の方はオマケ扱い。こんな豪華盤なのに値段は1枚分、凄くお徳なアルバムだ。ハリウッド・ファッツ・バンドのライブは単独で販売しても十分商品価値があるのに、その辺Delta Grooveの心意気に敬服してしまうところだな。
さて、今回のアルバム最も注目すべき点は、前作ではゲスト参加だったジュニア・ワトソンがレギュラー・メンバーとして参加してる事ですね。カーク・フレッチャーも何曲か参加はしてますが、ソロ活動のほうが忙しいのでしょうか。エネルギッシュで如何様にも弾きこなせるカーク・フレッチャーの存在というのは大きく捨て難い所ですが、今回はアルバムタイトルからも連想される通り、ディープさを出したかったような気がします。実際、録音状態も60年代を意識したようなマッタリ感があるもので、こうなってくるとベテラン職人ジュニア・ワトソンの味わい深い燻銀ギターが適任かなという感じですね。

冒頭からスウィング感たっぷりのこの曲は、ハリウッド・ファッツ・バンド時代からやってる曲で、1stアルバムではカーク・フレッチャーでしたが、今回はジュニア・ワトソン。音数は少ないけれどスウィンギー、ファットなトーンで引っ掛けぎみに弾く。ジュニア・ワトソンらしくて渋いところなんですね。
次の曲はアル・ブレイク・ファンにはもうお馴染みの曲ですね。ゆる~いスローブルースでこのまったりとしたサウンドは本当にたまらんです。特にアル・ブレイクのハーモニカ。技巧を駆使してではなくて、雰囲気というかハートで吹くという感じのハーモニカで、ジュニア・ワトソンのギターもそうですが、本当に痺れました。
ノリノリのピアノ・インスト曲(3)、アル・ブレイクのアコギとハーモニカによるカントリー・ブルースの(5)や(11)、ピアノ・ソロの(12)まで飛び出して、今までにないバラエティに富んだ楽曲が目白押しで、ゆったりとした雰囲気を楽しめました。

一方、ハリウッド・ファッツ・バンドのライブはこれも前作同様、79年と80年に収録された音源で、ちょうどアルバムをリリースした時期にあたり、79年が(6)(7)(8)、後は80年の録音となります。79年はアルバムと同様にスウィンギーでジャンピーなサウンドなのですが、80年になると今のフレイムスにまで通ずるようなトラディショナルな曲やジャジーな曲もやっており、転換期に差し掛かってたのかなという気がしないでもないです。
そんな中でも「Hide Away」や「Kansas City」が聴けるのは楽しいし、ジャジーなブルース(8)ではT-ボーン・ウォーカーばりのギターが堪能できるのも良い。そして、フレイムスの本編でも演奏してる(7)を始め、後半のジャンピーなサウンドはやっぱ痺れるね。

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