2011年2月3日木曜日

Johnnie Bassett / The Gentleman Is Back


『Johnnie Bassett / The Gentleman Is Back』 (Sly Dog SLY 3003)
1. A Woman's Got Ways
2. Keep Your Hands Off My Baby
3. Nice Guys Finish Last
4. Georgia
5. Your Real Gitchieegumee
6. Feeling Lucky
7. Meat On Them Bones
8. I'm Lost
9. I Can't See What I Saw In You
10. I Love The Way You Look
11. My Old Flame


ジョニー・バセットは1935年フロリダ州マリアーナ生まれで、44年には家族と共にデトロイトに移住してます。50年代後半に米国陸軍に在籍してますが、現在に至るまでずっとデトロイトで活動し続けてるブルースマンです。
ジョニー・バセットの父親は禁酒令中に密造をやってたそうで、ちょっとマディを思い出して面白かったのだが、教会に連れられてゴスペル霊歌を聴かされる等、音楽好きの家族に囲まれてたようです。そんな中、Tampa RedやArthur 'Big Boy' Crudup、Lonnie Johnson等のブルースマンに触れ、ブルースにのめり込んで行く訳ですが、本人曰く彼等は父親の友人だったそうである。商売柄いろんな人が集まって来たであろうし、いろんなブルースマンを間近で見れる環境で育つというのは、今の日本に住んでる者としては想像を絶する所で、そういう方々が未だにブルースをやってる。ブルースという音楽は決して過去のものではないと、本当に感嘆とさせられますね。

ジョニー・バセットは姉(妹)から譲り受けたギターで練習を始めるのですが、その後、兄からエレキギターとアンプを買って貰ってます。当時から相当の腕前だったのでしょうね。
ジョニーのギターはジャズテイスト溢れるもので、ロニー・ジョンソン~T-ボーン・ウォーカー~B.B.キングというスタイルの流れがあるが、ジョニーのギターもその流れを汲むスタイルで、スクィーズしないB.B.キングとも言えるし、T-ボーン・ウォーカーからの影響も感じられます。そう言えば、T-ボーン・ウォーカーの写真で良く見かけるギブソンのSGみたいなダブルカッタウェイのフルアコ。あれと同じギターをジョニー・バセットもよく使ってるんですよ。あんなレアなギターを好んで使うというのは、ただの偶然じゃないよね。

ジョニー・バセットのサウンドはアーバン・ブルースやジャズ・ブルース、ジャンプ・ブルースという感じで、過去から現在に至るまで基本的に一貫しています。そのなかでも94年のライブアルバム「Live at the Montreux - Detroit Jazz Festival」やそれ以前の「The Heid - Bassett Blues Insurgents」辺りのサウンドが特に好きで、この頃はジャズキーボード奏者のビル・ヘイドと組んでまして、作曲等も殆どビル・ヘイドが担当してたのですが、この二人が組む事で、灰汁の強いイナタいグルーヴが独特のフィーリングを醸し出してました。

それ以降はThe Brothers GrooveのChris CodishやThe Motor City HornsのKeith Kaminski等とずっと一緒に活動してるようです。ウィリー・ミッチェルが絡んでる代表作「Cadillac Blues」というのもありますが、今回のアルバムはこの二人よって作曲からアレンジ、プロデュースに至るまでおんぶに抱っこで製作されてます。メジャーからのリリースということもあって、彼等の集大成的なアルバムかなという気がします。

ジャズやらソウルを絡めたアーバンなブルースというのはこれまで通りで、ジャンプ・ブルースの(2)、アルバート・キングを彷彿とさせるファンキー・ブルースの(6)、ブルーズン・ソウルの(8)、ジャジーでスウィンギーな(10)など良い曲はあるのだけれど、全体的にサウンドが平坦で平凡な作風になってしまったような感じがするなぁ。小洒落た雰囲気を出したかったのかなという気もする。
メロウなトーンで流暢に弾くジャジーなギターにはやっぱ痺れるね。(6)ではアルバート・キング節も聴けたし、ジョニー・バセットのソウルフルなボーカルも結構渋い。
やはりあれだね、ビル・ヘイドと組んでた時のあの灰汁の強い独特のグルーヴ感が最高なんだけれどな。

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