2011年5月27日金曜日

Teresa Lynne / Tear Drop Collector


『Teresa Lynne / Tear Drop Collector』 (Sugar Dog Productions)
1. Dreamboat Sinkin'
2. Should've Been Mine
3. Tear Drop Collector
4. Ms Wrong
5. One More Lie
6. Riptide
7. Lucky Moon
8. Been Crazy
9. Summertime
10. Shake My Memory


テレサ・リンはルイジアナ州シュリーブポート生まれで、コロラド州デンバーを拠点に活動してるブルース・ハーピスト&シンガー。

現在進行形のブルースを色々探してはいるものの、ブルース・ハープを吹きブルースを歌う女性には滅多に出会わないもので、稀な存在であると思います。
見た目には50歳くらいに見えるのですが、実の所Bioに記載がないので分かりません。

幼い頃からブルースやソウル、ゴスペルに触れ、教会のクワイアで歌っていたそうですが、影響されたのはサニー・ボーイ・ウィリアムソンやマディ・ウォーターズ、ジェイムズ・コットンなどで、やはり真性かなという印象です。ハーモニカは歩き出す前からって、多分親が玩具として与えたのでしょうけれど、それを職にしてしまうってのが並じゃないよね。

そして、10代の終わり頃だろうけれど、ナイトクラブで演奏するようになりロードにも出てる。ロードではデルバート・マクリントンのライブに遭遇、自分を売り込みステージで共演してる。その時演奏したのが「24 Hours A Day」というのも渋いところだが、なんか肝が据わってるというか、筋金入りのブルース・ウーマンって感じですね。

デビュー・アルバムは自主制作ですが、「Mistress of the Blues」というアルバムを2006年にリリースしてます。今回はそれに続く2作目で、こちらも自主制作のようです。
ガーシュウィンの「Summertime」以外は全てオリジナルで、作曲が出来るのは強みです。

1曲目はロッキン・ブルースでChris Cain がゲスト参加してますが、チョーキングを絡めた流暢なフレージングはアルバート・キングを彷彿とさせ、結構いいギターを弾いてますね。

テレサ・リンのハーモニカは、ジェイムズ・コットンやビッグ・ウォルター・ホートンに影響されたという事ですが、ホートンみたいにトレモロを効かせ圧倒的な音圧でぶりぶり吹くタイプではなく、アグレッシブさはないけれどバッキングやフレーズ、マイルドの音色、コットンに近い感じかな。ビブラートを効かせてブロウする辺りは雰囲気よい音色ですが、インパクトという点では少々弱い部分もあるハーモニカですね。しかし歌はエタ・ジェイムズを思わせるソウルフルさと迫力を兼ね備えてて、ボーカルのほうにより魅力を感じますね。

2曲目にはBob Margolin が参加してます。ミディアム・テンポのジャジーなブルースで、兎に角マーゴリンのギターが渋ぶ過ぎ。そのギターに合いの手を入れるスワンピーなハーモニカもいいね。テレサ・リンはやっぱりハートで吹くハーピストで、聴けば聴くほどに沁みてくる感じ。しかし、渋い良い曲を作りますね。

スロー・ブルース(3)を挟んで、スワンプ・ブルースの(4)も結構気に入ってます。ベースラインとキーボードのアンサンブルが特にスワンピーで、このゆったりとした横揺れのノリは好きだな。

ブルージーなソウル・ナンバーの(5)。エタ・ジェイムズばりのソウルフルな歌はやはり結構来ますね。シャウトする時なんかジャニス・ジョプリン入ってたりするし、テレサ・リンは根本的にwhisky throated vocals という感じで、この辺が魅力的な所かな。

Summertime は平凡な出来かなという印象ですが、ハーモニカは凄く良い雰囲気を出しており、高音域のブロウから低音へと吹き進める辺り、フレージングも結構上手いと思います。そして、最後はココ・テイラーを思い浮かべるパワフルなシカゴ・スタイルのブルース。なんやかんや言ってもこれがテレサ・リンの真骨頂って感じです。

2011年5月25日水曜日

Dr. "Feelgood" Potts / Memphis Blues International


『Dr. "Feelgood" Potts / Memphis Blues International』 (Pottstown Records)
1. Memphis Blues International
2. Beale Street Stomp (Harmonica Instr.)
3. Leave Well Enough Alone
4. Gravy Train Blues
5. Going And Buy Me Some Whiskey (The Whiskey Song)
6. My Mother In-Law
7. I Wanna Get Physical With You
8. Home Town Boogie (Harmonica Instr.)
9. I Can't Joy Ride (The Gas Song)
10. Monkey Doing Man


ドクター・フィールグッド・ポッツはミシシッピー州グリーンウッド生まれで、メンフィスを拠点に活動しているシンガー&ハーピスト。2007年リリースの「Going Down To Memphis」というアルバムで初めて聴いたのですが、デルタ・スタイルのダウン・ホームなブルースを演奏するブルースマンです。以前にも何枚かアルバムを出してましたが、そちらはサザン・ソウルでして、元々はソウル・シンガーだったようですね。
今回のアルバムも前作同様、がっつりダウン・ホーム・ブルースしてまして、デルタと言えばデルタ、メンフィスと言えばメンフィス、そんな感じに聴こえます。シャッフル・ナンバーがメインの構成で、時折スロー・ブルースも挿入して単調にならないようにしてるのですが、濃厚でドロドロッとしたサウンドではなくて、軽快にドライブしてるというのが特徴。しかし、歌は結構ディープですね。ハーモニカはアンプリファイド・ハープは使用せず、ダイアトニックを強力に吹いてます。トラディショナルなスタイルでライス・ミラー辺りを思わせますね。
収録曲は全てオリジナルで飛び抜けて凄い曲というのはないのですが、小細工なしのストレート勝負、この無骨さがたまらん魅力なのです。

2011年5月23日月曜日

Alabama Mike / Tailor Made Blues


『Alabama Mike / Tailor Made Blues』 (Jukehouse Records)
1. Tailor Made (Mike Benjamin)
2. Ghetto Life (Benjamin, Brenton, Silveira)
3. Eddie Lee (Mike Benjamin)
4. Go Ahead (Jon Lawton)
5. I'm Gone (Scott Brenton)
6. Enough To Keep Me Holdin On (Knight, Tiven, Tiven)
7. Moon Dog Howl (Mike Benjamin)
8. Stop Putting Me On (Jon Lawton)
9. Look Here Baby (Tom Holland)
10. Hoo Doo Man (Junior Wells)
11. Easiest Thing I'll Ever Do (Tom Holland)


アラバマ・マイクは1964年アラバマ生まれで、サンフランシスコを拠点に活動しているブルース&ソウル・シンガー。2009年に45歳にしてデビュー・アルバム「Day To Day」を発表しましたが、それに続く2作目のアルバムとなります。

デビュー・アルバムはミシシッピの香り漂うジューク・ジョイント・ブルースという感じのサウンドであったが、今回はメンフィス・ブルース&ソウルという感じがするな。

冒頭1曲目はB.B.キング風ジャンプ・ブルースで、前作でもB.B.サウンドはやっていたが、今回はトランペット、トロンボーン、バリトン&テナーのサックスと4管のホーン・セクションを導入して分厚いサウンドになってます。ギターはJohnny Nocturne Band のメンバーだったAnthony Paule がゾクッとくる痺れるギターを弾いてます。そして、マイクのディープな歌も健在で、何よりもこのノリの良さが最高です。

(2)や(4)はアラバマ・マイクらしいディープなダウンホーム・ブルース、続く(5)ではアコギとハープ、アップライト・ベースによるスワンピーなカントリーブルースで、ちょっと一息入れましょうという感じのリラックスしたサウンド、和みますね。

そして、フレデリック・ナイト作の(6)、イントロのギターからホーンのフレーズなんかもろスタックス・サウンドで、これにアラバマ・マイクの歌でしょ、たまらん所です。

(8)もサザン・ソウルですが、やっぱめちゃくちゃ歌上手いですね。ブルースにソウル、ゴスペルが絡み合った歌声は、リトル・ジョニー・テイラー辺りを思わせます。
けだる~いゆるゆるのフードゥーマン・ブルース。陰鬱な感じがフードゥーらしくていいんじゃないでしょうか。

最後はジェイムズ・コットンのギタリストTom Holland 作のメンフィス・ソウル。アラバマ・マイクは曲調に応じて声質を変えるのなんか上手いですね。ここでは軽~く歌ってます。この歌声を聴いて忌野清志郎を思い出したのは自分だけだろうか。

2011年5月20日金曜日

James Cotton / Giant


『James Cotton / Giant』 (Alligator ALCD 4940)
1. Buried Alive In The Blues
2. Heard You're Getting Married
3. Find Yourself Another Fool
4. Sad Sad Day
5. Change
6. How Blue Can You Get?
7. With The Quickness
8. Since I Met You, Baby
9. Going Down Main Street
10. That's All Right
11. Let Yourself Go
12. Blues For Koko

James Cotton - harmonica
Slam Allen - vocals and guitar (left channel)
Tom Holland - guitar (right channel), vocal on “Sad Sad Day”
Noel Neal - bass
Kenny Neal, Jr. - drums
Ronnie James Weber - bass on “Sad Sad Day”


ジェイムズ・コットンが喉頭ガンを患い歌う事が出来なくなってもう久しいのですが、ライブやレコーディング等精力的に活動を続けている。「35th Anniversary Jam」ではボーカリスト、ギタリスト共に豪華なゲストが参加して、個人的には凄く楽しめるアルバムでした。

古巣アリゲーターからリリースされた今回のアルバムには、どんなゲストが参加して歌うのだろうかとちょっと期待してたのですが、James Cotton Blues Band でのレコーディングだったようです。ちなみに、ベースのNoel Neal は言わずもがなですが、ドラムのKenny Neal Jr. はケニー・ニールの息子さんだそうですね。恐るべしニール・ファミリー。
ボーカルはギターのSlam Allen が担当してますが、B.B.っぽい感じでちょっとディープさに欠けるかなと言う気もします。いずれにしても、日頃ライブで演ってるサウンドが聴けるということですね。

(5)(7)(9)は70年代のファンク・ブルースを思わせるサウンド。特に(7)は「100% Cotton」の頃のRocket 88 辺りを彷彿とさせるインスト・ブギで、年齢を感じさせないコットンのハーモニカは強力ですね。やはり、この辺のサウンドが好きだな。

(4)(6)(8)のスロー・ブルースの中では、アイボリー・ジョー・ハンターの名曲(8)が良い。トレモロを効かせたハーモニカは鳥肌もので素晴らしいです。

最後の曲はココ・テイラーに捧げた一曲。ふくよかでスケールの大きなフレーズとトリッキーなフレーズ、コットンらしくていいです。

2011年5月18日水曜日

Eric Lindell / Between Motion and Rest


『Eric Lindell / Between Motion and Rest』 (Sparco Records 002)
1. Lucky Lucky (Peter Joseph Burtt)
2. Try To Understand (Eric Lindell)
3. True Blue Love (Eric Lindell)
4. It's So Hard To Believe (Curtis Mayfield)
5. Bodega (Eric Lindell / Chris Arenas)
6. Matrimony (Eric Lindell)
7. That's Why I'm Crying (Sam Maghett)
8. Don't Fret (Eric Lindell / Peter Smith)

Eric Lindell - vocals, harmonica, rhythm/lead guitar
Jake Brown - drums
Thomas Johnson - slide guitar, country guitar
Chris Arenas - bass
Peter smith - rhythm guitar
Ivan Neville - organ, electric piano, clavinet
Adam Theis - trombone
Joe Cohen - saxophone
Peter Joseph Burtt - vocals, kora


ギターの渋いバッキングとスワンピーなハーモニカ、そして高いクリアなトーンで「キ、コ~ン」って鳴るギター。冒頭1曲目のイントロ、完璧にやられた。ゴージャスなアレンジやプロデュースもない至ってシンプルなサウンド、程よい隙間のあるアーシーなスワンプロック。シカゴからやっとニューオーリンズに戻って来たなって感じだ。だからってアリゲーターのサウンドが悪いと言ってる訳ではなくて、やってる事は一貫して同じなんだけれど、ただ、着飾った装飾品や服装を脱ぎ捨てて、洗いざらしのコットンのTシャツに戻っただけの事。

このエリック・リンデル本来のサウンドがやはり一番好きだ。
2曲目3曲目こちらもサザンロック、スワンプロックと言う感じの正にエリック・リンデル節。

そして、(4)はカーティス・メイフィールド作のソウル・ナンバー。相変わらず個性的な歌い方だけれども、ソウルフルでしみじみと感じる歌はほんと上手い。その歌を引き立てる為の電子ピアノやトロンボーン、サックス、ギターの使い方も抜群に素晴らしくて沁みるね。

カントリー調のサザン・ロックといった感じの(5)は、レーナード・スキナードを思い出すサウンドだ。個性的なホーン・アレンジなんか聴くと、やっぱ天才かなと思ってしまう。

エリック・リンデルにしては意外な選曲だったマジック・サムの(7)。ブルーズン・ソウルという感じのアレンジ、この絶妙さにも脱帽ですね。歌はPeter Joseph Burtt という人が歌ってるようですが、黒っぽくて結構渋いです。

最後の曲はアーロン・ネヴィルの息子アイヴァン・ネヴィルの弾くクラビネットがめちゃファンキーで、70年代のファンキー・ソウルを思わせる。が、ギターソロはブルージー。

エリック・リンデルが書いたライナーの末尾に、「古い友人達とレコードを製作することを楽しみにいていた。実現できて嬉しい。」みたいな事が書いてあって、やりたいようにやったこのアルバムのこのサウンドが、本当のエリック・リンデルのサウンドだと痛感した。
自主制作でないと出来ないと言うのであれば、自主制作で十分だと思うな。

2011年5月16日月曜日

Ingrid Lucia / Midnight Rendezvous


『Ingrid Lucia / Midnight Rendezvous』 (Threadhead Records ILCO 2010)
1. When Does The Party End
2. Midnight Rendezvous
3. The Kiss
4. I'm Watching You
5. Don't Go There
6. Honey Child
7. Rhinestones and Glitter
8. Bouncin' In A Bubble
9. Dream Door
10. Help Yourself
11. I'm With You
12. Funny Boy

Ingrid Lucia - vocals
John Fohl - guitar, background vocals
Casandra Faulconer - bass
Simon Lott - drums, percussion
David Stocker - piano, organ
Anders Osborne - percussion, background vocals


2001年に録音されたライブアルバム「Live from New Orleans」からボノラマのギタリスト、バート・コットンと共に、ずっとイングリッド・ルシアのアルバムに参加し続けてるジョン・フォール。またジョン・フォールかとお思いでしょうが、ドクター・ジョンのバンド・メンバーとなって有名になる何年も前から、イングリッドはこのジョン・フォールと一緒に演ってるのです。最近では曲作りも共同作業してますし、不可欠な存在といった所だろうか。しかし、何時まで続いてくれるだろうかこの関係、というのも気になるところではありますが、、、

2010年リリースの今回のアルバムは、全曲イングリッド・ルシアとジョン・フォールの共作で、プロデューサーにアンダース・オスボーンを迎え作製されており、かなり気合が入ってるなという印象を受けます。

前作は丸ごとジャズ・ボーカルのアルバムでしたが、今回はラテン系というかヒスパニック的サウンドのような感じです。しかし、底抜けに陽気なサウンドではなくて、愁いを帯びたような暗翳さを出してます。スローでマイナー調のフラメンコっぽい感じでもありますね。
このイメージというのは主に前半の曲で、もっと厳密に言うと(2)と(3)なんですよね。この曲でアルバム全体のイメージとなってしまった。それ位強烈なインパクトがありましたね。

ニューオーリンズ・ファンク的なドラミングとスウィンギーなアコギのバッキングなど軽快感のあるリズムが特徴の(1)、ヨーロピアンな雰囲気を醸し出してる(4)、カントリー調のアコギが印象的な(6)、レトロではないがスウィング感たっぷりの(7)など、大体この辺りが気に入ってるのですが、中でもブルース・ナンバーの(9)は好きだな。

どっしりとしたスロー・ブルースで、陰鬱な雰囲気を出そうとしてるような気がしないでもないのだが、そうならないのがやっぱり根が陽気だからだろうかな。
イングリッド・ルシアのサウンドの根底にはいつもジャズがあったのだが、今回はそのジャズ的要素が希薄だった。多分、このサウンドはジョン・フォールに因るところが大きかったと思う。さて、次はどんな展開になるのか楽しみですね。

2011年5月14日土曜日

Sista Monica Parker / Singin' In The Spirit


『Sista Monica Parker / Singin' In The Spirit』 (Mo Muscle MMRE 1122)
1. Singin' In The Spirit (intro)
2. Spirit You Are Our Mother/Father (feat. SMG Choir)
3. Oh Happy Day (feat. SMG Choir)
4. It's Good To Be Alive (feat. SMG Choir)
5. Music Is A Voice of God (feat. Tammi Brown & SMG Choir)
6. You Gotta Move (feat. Linda Tillery)
7. Intro to Dr. Watts (feat. Linda Tillery)
8. I Love The Lord (feat. Linda Tillery)
9. My Soul Says Yes (feat. Yvette Flunder & SMG Choir)
10. Cogic Yes! (feat. Yvette Flunder & SMG Choir)
11. There is Power (feat. Yvette Flunder & SMG Choir)
12. Praise Break (feat. Yvette Flunder & SMG Choir)
13. Bless That Wonderful Name of Jesus (feat. Yvette Flunder & SMG Choir)
14. I Shall Not Walk Alone (feat. Deanna Bogart)
15. Heart N' Soul (feat. Deanna Bogart & SMG Choir)
16. Soul Shine (feat. Harlan Isaac & SMG Choir)
17. I Got A feeling (feat. Yvette Flunder & SMG CHoir)
18. Singin' In the Spirit (reprise) (feat. SMG CHoir)


シスタ・モニカ・パーカーはカリフォルニア州サンタクルーズを拠点に活動している、ブルース、ソウル、ゴスペルを歌うシンガーです。
2010年にリリースされた今度のアルバムは、総勢60数名のクワイア・グループを率いてのゴスペル・ライヴのアルバムで、2009年11月にサンタクルーズのFirst Congregational Church という教会でライブ・レコーディングされたもののようです。
参加メンバーの中でもリード・ボーカルを担当してるBishop Yvette Flunder とかTammi Brown、Linda Tillery は多分ゴスペルシンガーだろうけれど全く知らない人達ですが、
Legendary Rhythm and Blues Revue にも参加していたブギウギ・ピアニストのディアナ・ボガートの参加はちょっと意外な感じでした。
シスタ・モニカはゴスペル・ライブと言っても、教会でブルースをバリバリ歌うシンガーですので、当然バンドも入れてゴスペルからブルース、ソウルをノリノリで演奏しております。そうですね「天使にラブソングを」という映画をイメージして頂ければ良いかと思います。

シスタ・モニカがリードを担当するのはアルバム前半と後半で、モニカの歌をもっと聴きたいという気持ちもあるのですが、色んなシンガーの歌を聴くのも一興ってもんでしょう。
冒頭1曲目の(2)は、クワイア・コーラスが中心のゴスペル・ソングで、モニカは合いの手を入れる程度。この合いの手も結構強烈だったりするのですが、、、何処かで聴いた事のあるようなキャッチーなメロディーを持つこのゴスペル・ソングは誰の曲だろう。粛々とと言った感じの1コーラス目、2コーラス目からはコンガを始めとしたリズム隊がラテン系のファンキーなリズムを刻む。
次の曲は、エドウィン・ホーキンス作詞作曲の有名なゴスペル。「天使にラブソングを2」でも取り上げられて誰もが知ってるポピュラーな曲になりましたね。バンドサウンドはコンテンポラリーなソウル仕立てでノリも良く、モニカとコーラスとのコール&レスポンスはやっぱり素晴らしくゾクゾクしてきます。
(4)はこれぞモニカ真骨頂のブルース・ナンバー。ロッキン・ブルースと言っていい位ハードなサウンドながら、クワイアとの絡みや歌の節回しなどやはりゴスペルって感じです。圧倒的な存在感のある迫力の歌声は圧巻で、これがシスタ・モニカの良さなんですよね。
フレッド・マクダウェルの(6)もモニカが得意としているブルース・ナンバーで、どっしりとしたシャッフルのスロー・ブルースだ。デュエットしてるLinda Tillery も個性的な歌い方ではあるけれど悪くはない、ただモニカの歌がやっぱ凄すぎるのです。Donnie Caruth のギターソロもブルージーで、教会であることを忘れてしまいそうだね。
後半では「Sweet Inspirations」にも入ってたソウル・ナンバー(16)。この曲はオールマンに在籍してるウォーレン・ヘインズというギタリストの曲で、なかなかの名曲ですね。男性ボーカリストとのデュエットはちょっと新鮮な感じでした。クワイアの素晴らしさと張り裂けんばかりのモニカの歌声に心打たれます。
アフタービートのファンキー・ソウル(17)。これも楽しいですね。最高です。

2011年5月11日水曜日

Joe Louis Walker's Blues Conspiracy / Live On The Legendary Rhythm & Blues Cruise


『Joe Louis Walker's Blues Conspiracy / Live On The Legendary Rhythm & Blues Cruise』 (Stony Plain SPCD 1353)
1. Slow Down "GTO" w/ Mike Finnigan
2. Ain't That Cold w/ Johnny Winter
3. You're Gonna Make Me Cry w/ Curtis Salgado & Mike Finnigan
4. Eyes Like A Cat w/ Tommy Castro, Tom Poole, Deanna Bogart & Keith Crossan
5. Ten More Shows To Play w/ Kirk Fletcher
6. Born In Chicago w/ Jason Ricci, Paris Slim & Nick Moss
7. Sugar Mama w/ Watermelon Slim
8. Tell Me Why w/ Duke Robillard & Todd Sharpville
9. A Poor Man's Plea w/ Kenny Neal
10. It's A Shame w/ Linwood Taylor, Kevin Burton, Henry Oden & Jeff Minnieweather
11. 747 w/ Paul Nelson, Tab Benoit & Mitch Woods

Joe Louis Walker -  guitar, slide guitar, vocals
Linwood Taylor - guitar
Kevin Burton - organ, piano
Henry Oden - bass
Jeff Minnieweather - drums


"Legendary Rhythm & Blues Cruise"っていうのは豪華客船の中で開催されるブルース・ライヴなのですが、7泊8日のクルーズは最近は1月と10月の年2回航行されてるようで、
1月はフロリダ州フォートローダーデールからカリブ海を巡るCaribbean Blues Cruise。
10月はカリフォルニア州サンディエゴからメキシカンリビエラを巡るPacific Blues Cruise。
毎回20組以上の出演者が参加してまして、7日間毎日豪華客船の中でブルース三昧ですよ。考えただけでも、、、いやいや考えないほうが身の為と自問しつつも、でも羨ましい。

で、今回のジョー・ルイス・ウォーカーのアルバムは、2010年1月23日~30日のクルーズの中で、1月25日と27日のライブが収録されてます。
ちなみに、このクルーズの出演者はTaj Mahal やKeb' Mo' を始め、Johnny Winter、Tab Benoit、TommyCastro、Kenny Neal、The Mannish Boys、Duke Robillard、Ruthie Foster
Magic Slim、Mitch Woods やEden Brent などなど総勢25組が参加してたようです。
毎回こんな豪華キャストみたいなんですね。でこの中でねTaj Mahal のバンドがPhantom Blues Band であったりとか、Tab Benoit のバンドにはCyril Neville やJohnny Sansone、Big Chief Monk Boudreaux が参加してたり、これって船上ニューオーリンズ・マルディグラっていう感じで、堪らないものがありますね。

さて、ジョー・ルイス・ウォーカーのライブですが、こういうライブならではでしょうけれど、曲ごとにゲストの顔ぶれが凄いですね。企画物のアルバムとしては最高じゃないですか。
個人的にはまずは、カーク・フレッチャーが参加してるローウェル・フルスンの(5)。ディストーションにロングサスティーンのロック色の強いジョー・ルイスのギター。片やクリアトーンでパキパキのテキサス系のギターを弾くカーク。アグレッシブでワイルドなジョー・ルイスのギターも時にはいいのですが、ここは断然カークのギターの方が好きなのです。この個性的なサウンドの違いを楽しむのが良いですね。
次の曲は、ジェイソン・リッチにパリス・スリムにニック・モス。滅多に見れない顔ぶれでこりゃまた凄い。出だしはジェイソン・リッチのハーモニカ、ディストーションの掛かった早吹きは結構ロッキンで斬新なハーモニカを吹く人ですが、このバンドサウンドには割とバランス取れてて良いですね。引っ掛かり気味にクセのあるギターを弾くパリス・スリム。ファットなトーンで流暢なニック・モス。いやはや堪らん組み合わせやな。
(8)は(1)とタメ張る好きなブギ。ジョー・ルイスの歪んだブギーなバッキングに絡むデューク・ロビラードのギター。これも痺れます。そして、デュークのバッキングでジョー・ルイスがスライドをファットなトーンでトリッキーに決める。聴いてるだけでも楽しくなりますね。
アップテンポのロッキン・ブルースが多い中で、(7)はゆる~いスローブルース。ウォーターメロン・スリムというやたら甘~い名前も持つブルースマン。スイカでも作ってたのかな。実はこの人、名前は知ってたのですが今までアルバムを聴いた事がなかったんですね。ここでは生ハープを吹いてまして、細いトーンですがなかなか雰囲気の良いスワンピーなハーモニカを吹いてます。12分という比較的長い曲で、中盤のギターソロで激しく盛り上がり、またソローに落とす在りがちな構成ですが、実際ライブで聴いたら盛り上がるんでしょうね。ジョー・ルイスの歌もゴスペルをやってただけあって、流石の迫力で上手いです。

2011年5月9日月曜日

Charlie Musselwhite / The Well


『Charlie Musselwhite / The Well』 (Alligator ALCD 4939)
1. Rambler's Blues
2. Dig The Pain
3. The Well
4. Where Hwy 61 Runs
5. Sad And Beautiful World
6. Sonny Payne Special
7. Good Times
8. Just You, Just Blues
9. Cadillac Women
10. Hoodoo Queen
11. Clarksdale Getaway
12. Cook County Blues
13. Sorcer's Dream

Charlie Musselwhite - Vocals, harmonica, guitar on Sorcerer’s Dream and Good Times
Dave Gonzales - Guitars, second vocal on Cook County Blues
John Bazz - Electric and upright bass
Stephen Hodges - Drums and percussion
Mavis Staples - Vocal on Sad And Beautiful World


2010年にリリースされた目下最新アルバムは、久しぶりにアリゲーターからですね。
しかも、全曲オリジナルというのは数多くあるアルバムの中でも初めての事ではないでしょうか。違ってたらゴメンナサイ。
1曲目からデルタ・スタイルのダウンホームなブルースで、比較的アップテンポぎみのリズムだけれども、ドロドロではなくてトロ~ッとしたルイジアナ臭が漂ってる感じが結構好きだな。ハーモニカもスワンピーで正に燻し銀。渋いです。
2曲目はジャジーなブルース。出だしマッタリ感のあるハーモニカの音色には流石チャーリーと思わせる所だが、この曲はやっぱりデイヴ・ゴンザレスのギターだな。この人はラテン系のウエストコーストのギタリストで、ロカビリー系が得意じゃなかったっけな。ここでのスウィンギーなバッキングとブルージーなソロ、やってくれますね。
この2曲でこのアルバムは自分の中では名作となりました。最近のチャーリーのサウンドはロック色が強かったように思うのですが、このアルバムのサウンドは本当にいいです。
(3)は基本的に(2)と同じ傾向のサウンドですが、幾分ロッキン・ブルースよりで、ハーモニカとギターのユニゾンはカッコいいな。
マジック・サムのフレーズを使用した(4)も悪くない。
そして、このアルバムの目玉はメイヴィス・ステイプルズがゲスト参加した(5)。ミディアムテンポのシャッフルのノリが良い。メイヴィスのディープな歌声が聴こえて来るとそれはもうステイプル・シンガーズという感じで痺れるね。でもどうせならメイヴィス一人に歌わせたほうが良かったのにと思うのですが、ちょっと惜しい。

2011年5月7日土曜日

Mitch Kashmar & The Pontiax / 100 Miles To Go


『Mitch Kashmar & The Pontiax / 100 Miles To Go』 (Delta Groove DGPCD140)
1. Night Creeper (Mitch Kashmar)
2. My Kinda Woman (Mitch Kashmar)
3. 100 Miles To Go (Mitch Kashmar)
4. Lip Service (Mitch Kashmar)
5. Gonna Find Someone New (Deadric Malone)
6. Horn of Plenty (William Clarke)
7. Long As I Have You (Willie Dixon)
8. Walkin' Downtown (Mitch Kashmar)
9. Let It All Fall Dead (Mitch Kashmar)
10. I'm Sorry About That (Mitch Kashmar)
BONUS TRACKS
11. When You Do Me Like That (I Wanna Do You Like This)
12. The Petroleum Blues

THE PONTIAX
Mitch Kashmar - vocals & harmonica
Bill Flores - guitar & tenor sax
Jon Lawton - guitar (except bonus tracks)
Jack Kennedy - bass
Tom Lackner - drums
SPECIAL GUESTS
William Clarke - 1st harmonica on track 6
Jim Calire - tenor sax & piano


ミッチ・カシュマーが1980年に結成したバンドが、The Pontiaxというファンにとっては伝説的なバンドで、YouTubeでしかサウンドを聴いた事がなかったのですが、演奏スタイルはシカゴブルースからウエストコースト・ジャンプブルース、スウィングにブギウギ、ニューオーリンズR&B、ルイジアナのスワンプロック、テキサスブルース、ジャズとかなり広範囲だったそうである。1989年にリリースされたデビューアルバム「100 Miles To Go」は、ファンの間ではCD化を待ち望んだ名盤なのです。

そして、デルタ・グルーヴが遂に待望のCD化を実現させてくれました。
(1)~(10)までが1988年に録音されたオリジナルで、(11)(12)は2010年にオリジナルメンバーで録音されたボーナストラックです。
ミッチ・カシュマーの原点というべきアルバムを今こうして聴けるというのは、正に感慨無量という感じなのですが、20数年前のサウンドなので結構古臭い所が在るだろうと思いきや、そういう感じが全くしない。というか今に至るまで全く変わらないサウンドを演り続けてるということなんですよね。
自分にとってウエストコースト・ブルースといったらウイリアム・クラークのサウンドで、そのウイリアム・クラークの後継者がこのミッチ・カシュマーだと思ってます。ウイリアム・クラークのようにクロマチック・ハープを野太く滑らかに吹き、ダイアトニックの高音ベンドを綺麗に響かせるのもミッチ・カシュマーの特徴ですね。
そのウイリアム・クラークがゲスト参加したハープ・インストの(6)。この曲はウイリアム・クラークの「The Early Years Volume 2」というアルバムにも収録されてたので聴いた事があったのですが、この二人のハーモニカによるコール&レスポンスは何度聴いても痺れるんだな。それに、シャッフルのリズムも中々小気味好い。
アルバム冒頭の曲は「Wake Up and Worry」にも収録されている曲で、こちらの原曲のほうはベースも入りどっしりしたシャッフルのリズムを刻んでいます。ハーモニカは高音のロングトーンがほんとたまらん響きですね。こういう音を出せるとサウンドに幅が出来て良いと思います。
(4)はアップテンポのロッキン・ブルースのインスト曲。ジャジーなリズム隊とファットなトーンのクロマチック・サウンド。このノリは最高ですね。
リトル・ウォルターの(7)はシカゴ・ブルースですが、スウィンギーさを出してる感じがウエストコーストらしい所で、エコーの掛かったクロマチック・ハープは物凄くいい音しててゾクゾクしてきますね。
(9)ではコンテンポラリーなブルーズン・ソウルも演ってます。
そして、ボーナストラックに突入しても変わらずにカッコいいサウンド、間とタメ、痺れるね。ニューオーリンズR&Bといった雰囲気の(12)も楽しい。

2011年5月5日木曜日

Bob Corritore / Harmonica Blues


『Bob Corritore / Harmonica Blues』 (Delta Groove DGPCD139)
1. What Kind Of Man Is This? - Koko Taylor: vocals
2. Tell Me 'Bout It - Louisiana Red: vocals & guitar
3. Things You Do - Dave Riley: vocals & guitar
4. Baby Don't You Tear My Clothes - Nappy Brown: vocals
5. 1815 West Roosevelt (Bob Corritore)
6. That's All Right - Robert Lockwood, Jr.: vocals & guitar
7. Tin Pan Alley - Big Pete Pearson: vocals
8. Sundown San Diego - Tomcat Courtney: vocals
9. That's My Baby - Eddy Clearwater: vocals & guitar
10. Things Have Changed - Henry Gray: vocals & piano
11. Big Fat Mama - Pinetop Perkins: vocals & piano
12. No More Doggin' - Chief Schabuttie Gilliame: vocal
13. Bumble Bee - Honeyboy Edwards: vocal & guitar
14. I Need To Be Be'd With - Carol Fran: vocals
15. 6 Bits In Your Dollar - Little Milton: vocals & guitar


ボブ・コリトアはシカゴ出身で、プロデューサーとかもやってるベテランハーピストなのですが、アリゾナ州のフェニックスで「Rhythm Room」というブルースクラブを経営してます。
そのクラブで行われたライブを収録した「House Rockin' and Blues Shoutin'」というコンピレーションアルバムを2007年にリリースしてまして、シカゴやウェストコースト、テキサスのブルースマンのライブが纏めて聴ける、結構楽しいアルバムでした。

今回、ボブ・コリトア名義のアルバムがデルタ・グルーヴから発売されると聞いて、遂にオリジナルアルバムが出るかと期待したのですが、内容は色んなブルースマンと共演した1989年から2009年のセッションを集めたコンピレーションアルバムでした。1999年に「All-Star Blues Sessions」というアルバムをリリースしてまして、これはP-Vineからも出たのですが、このアルバムの続編という感じですね。

ココ・テイラーから最後のリトル・ミルトンまで、著名なブルースマン達とのセッション。それぞれ個性的で楽しいですね。バックバンドを勤めてるのは主にRhythm Room All-Starsに参加してる面々で、中にはサックスのEddie ShawやEddie Taylor Jr.、ハウリン・ウルフのドラマーChico Chismなどが参加してるのも見逃せないところ。それぞれのサウンドにキッチリ対応してて、百戦錬磨のつわもの揃いという感じですが、何よりボブ・コリトアのハーモニカがいいね。やっぱり根っからの職人気質のハーピストなんだなって気がします。ほんと気持ちの良いサウンド出してますね。

もう全曲が聴き所なのですが、その中でもナッピー・ブラウンの(4)。スワンピーなボブ・コリトアのハーモニカも渋いのですが、それに合いの手を入れるナッピー・ブラウンもめちゃ渋い。このまったりとしたスワンピーなサウンドはほんと味わい深いね。
(5)は唯一ボブ・コリトアがメインと言っていいインスト・ナンバーで、アンプリファイド・ハープのブロウがとにかくカッコいい。Eddie ShawのサックスからBuddy Reedのギターとソロを回していく辺りはブルース・バンドの醍醐味の一つで良いと思うのですが、ボブ・コリトアはちょっと控え目な人というか、回りの人達を凄く大事にする人のように感じます。
ビッグ・ピート・ピアスンのスロー・ブルース(7)も結構好きだな。ハーモニカといいギターといいピアノといい、この哀愁漂う音色は沁みるね。それにビッグ・ピート・ピアスンが感情表現豊かに歌うでしょう、たまらんです。
ジャンピーなパイントップ・パーキンズの(11)、迫力のキャロル・フランにリトル・ミルトンも勿論最高です。

2011年5月2日月曜日

Dr.John & The Lower 911 / Tribal


『Dr.John & The Lower 911 / Tribal』 (429 Records)
1. Feel Good Music
2. Lissen At Our Prayer
3. Big Gap
4. Change of Heart
5. When I'm Right (I'm Wrong)
6. Jinky Jinx
7. Manoovas
8. Tribal
9. Music Came
10. Them
11. Only In Amerika
12. What's Wit Dat
13. Potnah
14. A Place In The Sun

Dr. John - vocals, organ, piano
Herman "Roscoe" Ernest III - drums, duet vocals (10), percussion, backing vocals
David Barard - bass, lead vocals (13), backing vocals
John Fohl - guitar, backing vocals
Kenneth "Afro" Williams - percussion, backing vocals



アルバムタイトルやジャケット、その中身を眺めて見ると、相変わらずヴードゥーに傾倒されておられるようですね。自分はあまり興味がないのでどうでも良い事なのですが、ただこの陰鬱な感じはどうも苦手なんだな。ですが内容的には、ニューオーリンズR&Bやブルース、ファンク、ジャズ、そしてロック等、前作と同じような傾向のサウンドで、ヴードゥー色も少なく馴染みが良い。結構気に入ってるアルバムです。

インナーには「Dedicated To The Memory Of  Bobby Charles」という記載があって、
ボビー・チャールズに捧げられたアルバムでもあるようです。前作ではボビー・チャールズとの共作曲が数多く収録されてました。今作は作曲等のクレジットが記載されてないので定かではないのですが、(2)(4)辺りはボビー・チャールズを思わせるサウンドで、もしかすると共作曲かもしれません。特に(4)の明朗なリズムと心地よい旋律のピアノ、いいですね。ボビー・チャールズが歌ったらもっと素晴らしい曲になっただろうな。

続く(5)は派手さはないけれど渋くファンクしてる曲。ラテンのリズムを刻むコンガとファンキーなベースライン、バンドメンバーとして定着したジョン・フォールのギターが左側から渋く響いてくる。それにホーンセクションが絡む。このバンドアンサンブルは最高ですね。

デレク・トラックスがスライド・ギターで参加してる(7)はサザン・ロック・ナンバー。ジョン・フォールのリフも十分サザン・ロックしてるのですが、ベースライン等のリズムが凄くファンキーなのがとても良い。この辺のドクター・ジョンのサウンドもカッコいいね。

タイトル曲(8)は「部族」という意味の曲ですが、正に儀式の歌から始まり、曲全体に漂う神秘的な雰囲気には少々息苦しさを感じてしまうのですが、妙に引き込まれてしまうんです。これもドクター・ジョンの魅力なのでしょうね。

そして、このアルバムの中で特に気に入ってるのが(10)。どっしりとしたリズムに独創的な歌。ここまでは変わった曲だなと思って聴いてたら、この曲のサビと言うべき、トロンボーンのまったりとした音色に参ってしまいました。これには嵌っちゃったね、しばらく耳から離れませんよ。