『Teresa Lynne / Tear Drop Collector』 (Sugar Dog Productions)
1. Dreamboat Sinkin'
2. Should've Been Mine
3. Tear Drop Collector
4. Ms Wrong
5. One More Lie
6. Riptide
7. Lucky Moon
8. Been Crazy
9. Summertime
10. Shake My Memory
テレサ・リンはルイジアナ州シュリーブポート生まれで、コロラド州デンバーを拠点に活動してるブルース・ハーピスト&シンガー。
現在進行形のブルースを色々探してはいるものの、ブルース・ハープを吹きブルースを歌う女性には滅多に出会わないもので、稀な存在であると思います。
見た目には50歳くらいに見えるのですが、実の所Bioに記載がないので分かりません。
幼い頃からブルースやソウル、ゴスペルに触れ、教会のクワイアで歌っていたそうですが、影響されたのはサニー・ボーイ・ウィリアムソンやマディ・ウォーターズ、ジェイムズ・コットンなどで、やはり真性かなという印象です。ハーモニカは歩き出す前からって、多分親が玩具として与えたのでしょうけれど、それを職にしてしまうってのが並じゃないよね。
そして、10代の終わり頃だろうけれど、ナイトクラブで演奏するようになりロードにも出てる。ロードではデルバート・マクリントンのライブに遭遇、自分を売り込みステージで共演してる。その時演奏したのが「24 Hours A Day」というのも渋いところだが、なんか肝が据わってるというか、筋金入りのブルース・ウーマンって感じですね。
デビュー・アルバムは自主制作ですが、「Mistress of the Blues」というアルバムを2006年にリリースしてます。今回はそれに続く2作目で、こちらも自主制作のようです。
ガーシュウィンの「Summertime」以外は全てオリジナルで、作曲が出来るのは強みです。
1曲目はロッキン・ブルースでChris Cain がゲスト参加してますが、チョーキングを絡めた流暢なフレージングはアルバート・キングを彷彿とさせ、結構いいギターを弾いてますね。
テレサ・リンのハーモニカは、ジェイムズ・コットンやビッグ・ウォルター・ホートンに影響されたという事ですが、ホートンみたいにトレモロを効かせ圧倒的な音圧でぶりぶり吹くタイプではなく、アグレッシブさはないけれどバッキングやフレーズ、マイルドの音色、コットンに近い感じかな。ビブラートを効かせてブロウする辺りは雰囲気よい音色ですが、インパクトという点では少々弱い部分もあるハーモニカですね。しかし歌はエタ・ジェイムズを思わせるソウルフルさと迫力を兼ね備えてて、ボーカルのほうにより魅力を感じますね。
2曲目にはBob Margolin が参加してます。ミディアム・テンポのジャジーなブルースで、兎に角マーゴリンのギターが渋ぶ過ぎ。そのギターに合いの手を入れるスワンピーなハーモニカもいいね。テレサ・リンはやっぱりハートで吹くハーピストで、聴けば聴くほどに沁みてくる感じ。しかし、渋い良い曲を作りますね。
スロー・ブルース(3)を挟んで、スワンプ・ブルースの(4)も結構気に入ってます。ベースラインとキーボードのアンサンブルが特にスワンピーで、このゆったりとした横揺れのノリは好きだな。
ブルージーなソウル・ナンバーの(5)。エタ・ジェイムズばりのソウルフルな歌はやはり結構来ますね。シャウトする時なんかジャニス・ジョプリン入ってたりするし、テレサ・リンは根本的にwhisky throated vocals という感じで、この辺が魅力的な所かな。
Summertime は平凡な出来かなという印象ですが、ハーモニカは凄く良い雰囲気を出しており、高音域のブロウから低音へと吹き進める辺り、フレージングも結構上手いと思います。そして、最後はココ・テイラーを思い浮かべるパワフルなシカゴ・スタイルのブルース。なんやかんや言ってもこれがテレサ・リンの真骨頂って感じです。
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