2009年8月17日月曜日

Sonny Rhodes / Live!


『Sonny Rhodes / Live!』
1. She's My Woman
2. Crazy Fool Blues
3. Shaky Ground
4. Since I Met You Baby
5. River's Invitation
6. Think
7. Jelly, Jelly, Jelly
8. Life's Rainbow

サニー・ローズの久々の新作は、自主制作で出されたライブ・アルバムです。
トレードマークのターバンは止めちゃったのかな。あれは、どう見てもブルースマンには見えなかったのだが、イメチェンですかね。裏ジャケの写真を見ると、ズボンまで真っ赤っ赤。これは多分、靴も真っ赤でしょうね。しかし、この顔の表情、ブルースだね。

もう一つのトレードマーク、ラップ・スティール・ギターは今も健在。テキサスらしい攻撃的なギターを弾き、アップテンポの割と派手目のブルースを演奏してたようなイメージがありますが、今回のライブは結構渋いサウンドを出してますね。

1曲目は、比較的にアップテンポなシャッフル・ナンバーで、これまでのサニー・ローズのサウンドに近い感じかな。ホーン・セクションが入ってないのでゴージャス感はないが、その分、凄くタイトで、どっしりとした濃いブルースに仕上がってます。サニー・ローズの歌は相変わらず上手いし、69歳とは思えないこの若々しい歌声にはビックリですね。

2曲目はどっしりと濃厚なスロー・ブルース。この曲は特にいいな。ギターはマイク・フリンという人が弾いてるんだろうと思いますが、間とかタメとか、ブルースを知り尽くした人のギターだなと思う。ソロもぐっと来るね。そして、もう一人、ナンシー・スウォーブリックという女性ハーピスト。後半のハープ・ソロで大活躍ですが、女性とは思えない図太さとエモーショナルな表現、鳥肌立ちました。迫力満点でホンと素晴らしいです。1曲が長い曲ばかりですが、この曲は特に長くて、12分34秒。サニー・ローズのタフさにも頭が下がりますね。

ずっしりとしたファンキー・ブルースの(3)もなかなかカッコいい。
続く(4)のスワンプしたルイジアナ・ブルースも僕は好きだな。サニー・ローズのレイドバックしたラップ・スティール・ギターが、なんとも言えない良い味を出してます。それに合わせたようにレイドバックするハーモニカ。哀愁漂うその旋律に泣けてきます。やっぱこの女性ハーピストはタダモンじゃないな。

テキサス風味たっぷりのギターから始まるスロー・ブルースの(7)は、ストーミー・マンディ・ブルースでした。ここでもやっぱ、ハーモニカですね。すっかりこの女性ハーピストに参ってしまったな。ナンシー・スウォーブリック、覚えておこう。
サニー・ローズはスタジオ新録のアルバムも発表してます。まだ封も切ってませんので、こちらは後日ということで。

2009年8月7日金曜日

Dennis Gruenling / I Just Keep Lovin' Him - a Tribute to Little Walter


『Dennis Gruenling / I Just Keep Lovin' Him - a Tribute to Little Walter』 (Black Bender)
1. Up The Line
2. Lovin' Man
3. I Got To Go
4. Hot Shot
5. Too Young To Know
6. Corbella
7. If You Were Mine
8. My Little Machine
9. Teenage Beat
10. As Long As I Have You
11. Temperature
12. One Of These Mornings
13. That's It
14. You're Sweet

このアルバムは久々のジャケ買いでした。いかにもチェス・レコードを彷彿とさせるようなジャケットで、どこかで見たようなデザインと思いませんか。で、チェスのアルバムを探してみたら、ありました、ありました。リトル・ウォルターの「ヘイト・トゥ・シー・ユー・ゴー」の裏ジャケ。これは合成写真かな。個人的には好きですね、こういうの。

CD本体もアナログのレコードに似せたデザインで、表面には溝まで切ってある凝った作り。因みに、針を落としても音は出ません。ジャケットもCDもディテールに至るまで、かなりのこだわりようで、これだから通常の価格より5ドルも高くなってんのかな。

さて、主役のデニス・グルーエンリングという人、アメリカではかなり評判の高いハーピストのようですが、僕は全く知らなかったなぁ。

これまでに3枚のアルバムがありますが、全て廃盤になってるみたい。サンプルを試聴してみましたら、基本的にはスウィングやジャンプ・ブルースで、2枚目では今回のアルバムに通ずるようなヴィンテージなシカゴ・サウンドもやってますね。なかなか渋い。スウィングやジャンプ・ブルースは好きなところでもあるので、ちゃんと聴いてみたい気もするが廃盤では残念です。

しかし、今回のリトル・ウォルターのトリビュート・アルバム、結構お気に入りでヘビー・ローテーションで聴いてました。デニス・グルーエンリングは歌は一切歌わず、ハーモニカ・オンリーで、ゲストのキム・ウィルソンやリック・エストリン、スティーヴ・ガイガー、紅一点のジーナ・フォックスという人が交代で歌ってます。デニスを全く知らなくても、なんか馴染み深い気がするところがミソだね。

曲はウォルターのオリジナルばかりではなく、マディの(2)や(5)、ウィリー・ディクソン作でオーティス・ラッシュがコブラ・セッションでやった(7)とか。この時はウォルターが吹いてましたね。ジミー・ロジャースの(8)とか。ウォルターがサポートとして参加した曲も取り上げてて、とても良い選曲だと思います。

一番の聴き所は、デニス、キム・ウィルソン、リック・エストリン、3人のハーピストが一堂に会して演奏したハーモニカ・インストの(9)だね。ラスティ・ジンのギターもなかなか渋くて、こりゃたまらんです。

全体的に、あの当時のドロッとした粘りのあるサウンドではなく、ウエスト・コースト系の軽快なノリのカラッとしたサウンドです。黒人マニアの方には受け入れて貰えないサウンドかもですが、このリラックスした雰囲気、軽いけど明るい。好きなんだなぁ。

2009年7月22日水曜日

吾妻光良 & The Swinging Boppers / Sweatin’ Ballroom


『吾妻光良 & The Swinging Boppers / Sweatin’ Ballroom』 (HOT RIVER HOTRCD-001)
1. Things Ain't Waht They Used to Be
2. 齢には勝てないぜ
3. 最後まで楽しもう
4. 顔のシワ
5. しかしまあ何だなあ
6. パッチグー
7. Let Your Hair Down
8. 登場 Theme 1
9. I Can Dream, Can't I
10. Do You Ever Think of Me ~退場 Theme 1
11. 道徳 Hop
12. Big 盆 Boogie
13. 極楽パパ
14. 飲むのはやめとこう
15. 登場 Theme 2
16. Just a Gigollo ~ I Ain't Got Nobody
17. Latin medley of the fascination: 嫁の里帰り ~ 誰がマンボに "ウッ!!" をつけた
18. 知らぬまに心さわぐ "You Brought a New Kind of Love"
19. 退場 Theme 2
20. 高田馬場へ "Loosiana"
21. ほんじゃね

スウィンギン・バッパーズも結成30周年を迎え、記念すべき初のライブ・アルバムが発売されましたね。半年くらい前なんですけれど。
定番となってるオープニング曲から脱退した堀江さんに捧げられたというエンディング曲まで、ベスト盤的選曲で、アッという間の78分、相変わらず愉快でエンターテイナーだなって感じですね。

ジャンプ・ブルースとかスウィングとか、日本ではマイノリティーなサウンドながら、身につまされるユニークな歌詞と吾妻さんのボーカルが親しみ易さを感じるところで、「ビック・バンド歌謡曲」といわれる所以なのかな。しか~し、めちゃ上手いとは言えないけれどスウィングするビッグ・バンドとゲイトマウス・ブラウンばりにキレのあるジャンピン・ギター。これが肝心です。吾妻さんのギターはやっぱ最高すね。

曲は今更レヴューするまでもないが、(4)や(12)は聴いたことがなかったな。ライブではやってたのかな。(4)の歌詞なんか、身に覚えがあるからもう可笑しくって笑っちゃうね。(12)も吾妻ワールド全開のジャンプ・ブルース。最後、“ボーン・トゥ・ビー・ワイルド”だって。こういう遊び心も大好き。

カヴァー曲では、ルイス・プリマの(16)。ゲストの藤井康一さんがボーカルを担当されてて、割と忠実のカヴァーしてますね。歌もバンドもプリマほどの迫力はないが、なかなかいい感じです。吾妻さんのパキパキーンのギターが入ることでまたいい味が出てるな。鶯谷から始まった駅名が何線なのかピンと来ないが、「ウチです。」ってなんだそういうオチでしたか。ほんと面白い。
そういえば、DVDも発売されてるようで、お小遣い溜まったら買っちゃおうかな。

2009年7月13日月曜日

John Németh / Love Me Tonight


『John Németh / Love Me Tonight』 (Blind Pig Records BPCD-5127)
1. Love Me Tonight
2. Just Like You
3. Fuel For Your Fire
4. Too Good To Be True
5. Daughter Of The Devil
6. My Troubled Mind
7. Where You Been
8. She's My Hearts Desire
9. Love Gone Crazy
10. Country Boy
11. Blues In My Heart

ジョン・ネメスはウェストコーストらしいジャンプ・ブルースやシカゴ、テキサスといったブルースをベースにして、60年代を感じさせるR&Bやソウルも歌ってますが、抜けの良い高音とちょっぴりディープな歌声はソウルフルでかなり上手い。いずれR&B・ソウルアルバムを作るんじゃないかなと思ってましたら、今回のBlind Pigレーベルからの2作目で通算4作目となる最新作で、本当に出してきましたね。シンガーとして一歩踏み出した感じは受けますが、過去の3作を聴いてきて、R&Bやソウルに行くのは自然の流れだろうと思います。
 
まずは、冒頭のロッキン・ソウル。メンフィス・ソウルを想わせるイントロとノリの良いリズム、カッコいいね。曲作りの良さも然る事ながら、アレンジ、バンドアンサンブルやノリも申し分ないね。メンフィス・ソウルをロッキンに演奏するというのが、このアルバムのテーマになってるようですが、(2)もその路線で、これもなかなかバッチグーです。

(3)はグッと抑えたスローなバラードを丁寧に歌い込んでます。何といっても曲がいいね。歌も上手くて、ハーモニカもいい。強みだな。

(4)はこのアルバムの中で一番キャッチーなロッキン・ソウル・サウンドなんですが、僕はこれが大好きなんです。

バラードの(6)、クロマチック・ハープもなかなかシビレる(7)(9)、60年代のソウル(8)では、コーラスなんかモロ60年代でいいな。

(5)(10)(11)はブルースで、比較的ローダウンな(5)が好きですね。下手にドスを効かせることなく、ジョン・ネメス節で歌ってるのが良い。この人は自分の歌を持ってるので、何を歌ってもジョン・ネメスになる。ここが凄いんだな。

このアルバムはビルボードのブルース・チャートで10位まで上ったアルバムですが、十分納得できる内容だと思います。本人もきっと気を良くしてるだろうし、しばらくはこの路線で行くのかな。

2009年7月2日木曜日

Barrelhouse Chuck / 25 Years Of Chicago Blues Piano Vol.4


『Barrelhouse Chuck / 25 Years Of Chicago Blues Piano Vol.4』
1. Live Band Intro - With Wild Child Butler
2. Chicago Bound - Jimmy Rogers
3. Straight From The Shoulder - Johnny B. Moore
4. Tutti Frutti - Blind Robert Hunter
5. I Wonder Why - Billy Flynn
6. Ain't Superstitious - Johnny B. Moore
7. Sad And Evil Woman - Bonnie Lee
8. On My Way To Memphis - Johnny B. Moore
9. Lightnin' - Little Joe Berson
10. Lucille - Blind Robert Hunter
11. West Side Baby - Willie Anderson
12 Looking For A Goldmine - Bonnie Lee
13. Suzie Q - Hip Linkchain
14. Willie's Boogie - Willie Anderson
15. Mamma Told Me - Willie Kent

バレルハウス・チャックは1979年頃からシカゴで活躍している、ブギウギやバレルハウス・ピアノを得意とするブルース・ピアニスト。
6歳でドラムを習得したチャックでしたが、マディ・ウォーターズのアルバムでオーティス・スパンを聴いて、ピアノに転身したそうです。一番尊敬するピアニストはサニーランド・スリムのようで、サニーランドを賞賛するアルバムも作ってましたね。2002年発売の「Prescription for the Blues」はヴィンテージ・スタイルのピアノ・ブルースで、これもなかなか良かったが、やっぱり一番好きなのは2006年の「Got My Eyes on You」だね。リズム隊がマディ・バンドだったカルヴィン・ジョーンズとウィリー・スミス、そして、キム・ウィルソンにエディ・テイラー・ジュニア。これだけでも生唾ゴックンものだわね。

バレルハウス・チャックのシカゴでの活躍の足跡を巡る集大成的アルバム、「25 Years Of Chicago Blues Piano」も第4集が登場しまして、なんかまだまだ続きが出そうな感じがしますが、今回のはライブ集になってます。録音データが記載されてないので、正確な年月は分かりませんが、おそらく80年代の録音だろうと思います。

その場の雰囲気から、それ程大きくないクラブとかジューク・ジョイントのような場所でのライブかなって感じで、いい臨場感がありますね。ヴィンテージなサウンドといい、録音状態の悪さいい、なんか60年代のシカゴ・ブルースを聴いてるような錯覚しちゃいますよ。特にジミー・ロジャースの(2)はたまらんですね。ドラムがハウンド・ドッグ・テイラーの所に居たテッド・ハーヴェイ、サイド・ギターがHip Linkchain(Hip Lankchan)。この組み合わせは凄いな。そのHip Linkchainがフロントに立ってる(13)もめちゃくちゃ気に入ってます。この人はマジック・サムのフォロアー的なサウンドを出す人なんですが、ここではデイル・ホーキンスの超有名曲をデルタ・スタイルの雰囲気でやってます。このイナタいギターと気だるそうなルーズなボーカル、ホンと痺れましたね。

2009年6月23日火曜日

Tom "Blues Man" Hunter / Down In The Bottoms


『Tom "Blues Man" Hunter / Down In The Bottoms』 (Great Recordings GR2047-2)
1. I'm Burnt Out
2. It Is What It Is
3. I Want Some More of That
4. I've Got the Hots for You
5. They Say Time Is Money
6. What You Mean to Me
7. Gulf Coast Stomp
8. I Can Fix It
9. Roll with the Punch
10. Don't Hold Your Breath
11. Down in the Bottoms

トム“ブルース・マン”ハンターはロング・ジョン・ハンターの弟で、この兄弟が共演したアルバム「One Foot in Texas」で初めて弟の存在を知った訳ですが、あのアルバム、リズム隊はダブル・トラブルで、テキサス・ホーンズやゲイリー・プリミチ、ニック・コノリー、プロデューサーにはエディ・スタウトと、テキサス・オールスターちゅう感じで豪華に作製された、なかなか好いアルバムでした。兄のロング・ジョンは、澄んだ高音がよく通る艶のある歌声と、ソリッドなクリアトーンでパキパキ弾くギター。一方、弟は図太くて嗄れた渋い声と、幾分マイルドなクリントーンでメローに弾くギターでした。同じような路線の曲を演奏してても、それぞれにに個性があって楽しく聴かせて貰いました。あれ以降、兄は音沙汰ないが、弟は遅咲きのデビューながら地道に活動してまして、2作目のアルバムを発表しました。

2005年に発売された多分初アルバムの「Expressions of A Blues Man」同様、全曲オリジナルでソングライターとしての手腕を発揮して、こなれた良い曲を書いてます。

前作でいい味を出してたハーモニカやサックスは、今回は入れておらず、歌とギター、ベースをトム一人でこなし、あとはドラムとキーボードというシンプルな構成。B級のチープさに益々磨きが掛かった感じですが、サウンドは前作と同じ路線で、スワンピーなダウンホームとモダンさが同居したような、ダイアルトーンに負けず劣らずのイナタさがありますね。

タメの効いたリズムにパキーンとしたギターが絡む(1)やメローなギターに渋い歌声、トムの魅力が遺憾なく発揮されたスローブルースの(2)、スワンプ・ポップちゅう感じのノリの良いストンプ・ナンバーの(7)など、好い曲は結構いっぱいあって、曲作りはかなり上手いし、実力もあります。しかし、前作でも感じたのですが、全体的になんか単調なんですよね。アレンジなどもっと練って頂くともっと良くなると思うんですが。

2009年6月12日金曜日

John Primer / All Original


『John Primer / All Original』 (Blues House BHP-JP2008)
1. Add a Little Touch
2. Going Back to Mississippi
3. I Called My Baby
4. Everyday Brings by a Change
5. Blue Eyed Woman
6. Other Man
7. Woman That I'm Loving
8. Bad Child
9. Keep on Loving the Blues
10. At Home Alone
11. Say Yes, Don't Say No
12. Love in My Heart for You

シカゴ・ブルースのベテランギタリスト&シンガーのジョン・プライマー。マディ・ウォーターズ・バンドの最後のギタリストだったのは周知の通りで、マジック・スリムのティア・ドロップスにも在籍してましたし、サイドマンとしても今なお活躍されてるシカゴでも屈指のギタリストですね。そして、古き良きトラディショナルなシカゴ・サウンドを今に伝える数少ないブルース・マンでもあります。

このアルバムは昨年発売の最新作で、独自のレーベル“Blues House Productions”からの第一弾。タイトル通り、全曲オリジナル。こうなると自ずと力も入るってもんだが、そこは流石に酸いも甘いも噛み分けたベテランでして、力の入れ所が違うね。

いつになく50年代、60年代のヴィンテージなシカゴ・サウンドを力みなく、どっしりと落ち着いた感じでやっとります。例えば(1)は、「Poor Man Blues」の冒頭を飾った曲で、アップテンポのド派手にファンクしたナンバーだったが、ここでは、それこそ腰ダメのどっしりとしたシャッフルに生まれ変わってます。このアルバムのカラーを物語る象徴的な曲になってる思いますね。甲乙つけ難いカッコ良さだ。

(3)(8)ではエルモア・ジェイムス・サウンドを披露。トリビュート・アルバムを作製するほどエルモア好きのようだが、バンドも凄くタイトで、あのアルバムを思い出させるサウンド。スロー・ブルースの(3)がいいね。プライマーのスライドが渋いし、特にこのユルさがたまらんです。

(4)(9)はリトル・ミルトンのブルーズン・ソウルという感じかな。歌はソウルフルで結構上手いですね。

このアルバムの中では比較的ファンキーな(6)。この前聴いてたバイザー・スミスのブギのようなノリの良さで、お気に入りの1曲です。

そして、オーティス・ラッシュを彷彿とさせる(10)では、エモーショナルなスクィーズ・ギターと歌、痺れますね。ギターが泣いてます。

最後はアコギとハーモニカのセットによるカントリー・ブルース。スライドを絡ませながらダンサブルに弾くギターは、アタックはそれ程強くないが、なにげにサン・ハウスぽくて好きだな。ハーモニカはハーモニカ・ハインズ。アルバムを通して、各曲毎に巧みに表情を変えながら、上手くサポートしております。このコンビ、なかなかいけるかも。

このアルバムを最初に聴いた時、ガツーンとくる一発はないし、ちょっと物足りなさを感じたんですが、何回か聴いているうちにジワジワっと効いてくる、そういうヤツですね。

2009年6月8日月曜日

Sista Monica Parker / Sweet Inspirations


『Sista Monica Parker / Sweet Inspirations』 (Mo Muscle MMRE-4084)
1. You Gotta Move (Fred McDowell)
2. You'll Never Walk Alone (Rodgers & Hammerstein)
3. Imagine (John Lennon)
4. Sweet Inspirations (Dan Penn & Spooner Oldham)
5. Why Did You Leave My Child? (Monica Parker)
6. Soul Shine (Warren Haynes)
7. This Joy (Shirley Caesar)
8. I'm Happy With Me (Monica Parker)
9. Three Little Birds (Bob Marley)
10. Let It Be (John Lennon & Paul McCartney)
11. Gospel Beat
12. All Things Are Possible (Monica Parker)
13. Kumbaya My Lord
14. Hero Song (Mariah Carey)
15. Live In The Spirit (Monica Parker)
16. To Dream The Impossible Dream (Joe Darion & Mitch Leigh)
17. Dr. MLK & Obama Impossible Dream Tribute

シスタ・モニカ・パーカー、カリフォルニア州のサンタクルーズを拠点に活動しているシンガー。7歳の頃から教会でゴスペル・クワイアを歌い鍛えられた喉で、ブルース、ゴスペル、ソウル、ジャズ、見事に歌いこなします。

若手の女性ブルース・シンガーでは、シェメキア・コープランドもパワフルなシャウターで好きなのですが、それ以上にやっぱモニカが好きだな。

レコード・デビューは1995年ですが、初めて聴いたのは2000年の3作目「People Love the Blues」でした。ウェストコーストらしい軽快なノリで、ハードにロッキン・ブルースしたアルバムで、その類まれな歌唱力とパワフルなシャウトに一発で惚れ込んでしまいましたね。また、殆どの曲を自作してまして、それが結構上手い。

その後出したトラディショナルなゴスペル・アルバムやガン克服後の復帰作のジャズ・アルバムなど、発表したアルバムはそれ程多くないが、一枚一枚それぞれ魅力的で、アルバムを出すごとに声や表現力豊かな歌唱力に益々磨きが掛かってるように思います。特に前作の「Can't Keep a Good Woman Down!」は、一番好きなアルバムで、モニカの良さを全部出し尽くした、集大成的なアルバムのように感じました。

そして、今回の最新作は通算8作目のアルバムで、カバー曲中心の構成になってます。コンセプトのあるアルバム以外でこんなに人の曲を歌うのは初めての事。ブルースやゴスペル、ファンキー・ソウルはもちろん、レゲエや今時のコンテンポラリーなR&B、ジョン・レノンからマライヤ・キャリーまで多彩な構成ですが、全てモニカ節で歌ってくれるからたまらんのです。

1曲目がブルースなのは嬉しい。モニカらしい軽快なノリのシャッフルで、先日亡くなったココ・テイラーに匹敵するパワフルな歌はやっぱガツーンときますね。ブルースがこの1曲だけとはちと寂しいですよ。

(2)はサッカー・ファンにも馴染みの曲。パワーだけではなく、こういう感情移入したバラードも表現力豊かに歌えるから素晴らしい。苦難を乗り越えたモニカだけに説得力があります。泣けます。

ジョン・レノンのイマジンも流石に上手いんですが、僕はレット・イット・ビーかな。バラード調から転調してノリのよいゴスペル調に変わるアレンジは結構好きですね。モニカならではで、ゴスペル・クワイアが入る所なんかゾクゾクします。

シャーリー・シーザーの(7)はアップテンポのゴスペル・ナンバー。教会でもこんな曲を踊りながら歌うんでしょう。楽しそう。

ボブ・マーリーの(9)も以外でした。レゲエのグルーヴに乗ってソウルフルに歌い上げてます。モニカのレゲエは初めて聴きましたが、聴き馴染んだ楽曲というのもあるでしょうけれど、何の違和感なくスーっと入ってきますね。

その他、オリジナルではコンテンポラリーなR&Bナンバー(5)、バラードの(8)(12)、ファンキー・ソウルの(15)なども聴き応えがあります。

最後は、マーチン・ルーサー・キングJr牧師の有名な「I Have a Dream」の演説とオバマ大統領の演説をサンプリングされた曲。グッときました。

2009年6月1日月曜日

Motor City Josh / Forty Four : A Tribute to Howlin' Wolf


『Motor City Josh / Forty Four : A Tribute to Howlin' Wolf』
1. Forty Four
2. Spoonful
3. Evil Is Goin' On
4. Back Door Man
5. 300 Lbs of Joy
6. I Ain't Superstitious
7. Sittin' on Top of the World
8. Smokestack Lightnin'
9. Little Red Rooster
10. Built for Comfort
11. Meet Me in the Bottom
12. Wang Dang Doodle
13. Goin' Down Slow

モーター・シティ・ジョシュの11作目となる最新作は、なんとハウリン・ウルフのトリビュート・アルバム。やるね~。ジャケットもなかなかカッコいいし、元々ハズレの少ない人ですから、益々期待が持てそうな感じだ。名曲の数々をどんな味付で料理してくれるのか、興味深いところです。

まずは、ウルフオリジナルの(1)。先のライブ・アルバムでもやってたような感じの、重心の低いファンキーなブルース・ロック。拳を振り上げて体が燃えてきそうな、そんなロッキンなノリで、かなりカッコいい。

サンプリングされたウルフの語りから始まる(2)。ジョシュのボーカルが、ウルフが歌い出したのかと思う位ソックリでドキッとしました。ウルフとコール&レスポンスなんて粋な演出もあり、凝った作りです。要所要所で入ってくるジェイソン・リッチの個性的なハーモニカも上手い。この曲は白人のバンドも多数取り上げてて彼らと聴き比べても、ジョシュが如何に泥臭くブルースしてるか良く分かります。難しい曲なのに大したもんです。

(3)これはもう70年代のハード・ロックの世界ですね。軽くファズの掛かったワウでのスライド・ギターとジョニー・ローズのサイド・ギターによるハード・ロック的リフ。そうそうこれはレッド・ツェッペリンですよ。あの時代を青春期で過ごした50代のロック親父ニンマリのサウンド。僕もハード・ロックに嵌まった時期がありまして、リアルタイムではないのですがゼップ大好きで、ゼップのレコードだけは捨てられなかった。

(4)は、このアルバムの中では特にダウンホームなサウンドに仕上がってます。ルイジアナを想わせるようなユルさと泥臭さがあって、何とも雰囲気のあるサウンドです。蜩の鳴き声みたいなジェイソンのハープが面白い。

(7)ではピアノを入れて、ゆったりとしたジャジーな感じでいいんですが、ギター・ソロになると途端にブルース。器用なようで実は無骨もんの不器用さがある。憎めないんだな。

(9)は先のライブ・アルバムでは、ノリノリのロッキン・ブルース・バージョンでしたが、こちらは緩いダウンホームなアレンジで演奏してます。聴き較べると面白いね。

なかなか聴き応え十二分の楽しいアルバムでしたが、仮に、このアルバムをもう一回作ったら、全く違うアレンジでやってくれるでしょうね。それも聴いてみたいものですが、いろんなアレンジで演奏しても全てモーター・シティ・ジョシュのサウンドになってしまうのが、この人の凄いところなんですね。人を楽しませることに長けてるし、白人のブルース・マンの中では、やっぱナンバー・ワンだな。

2009年5月27日水曜日

Motor City Josh & The Big 3 / Covered Up


『Motor City Josh & The Big 3 / Covered Up』
1. Born Under a Bad Sign
2. Dust My Broom
3. Jessica
4. Something
5. Little Red Rooster
6. Boogie Thing
7. She's 19 Years Old
8. I Can't Be Satisfied
9. On Line
10. Honey Hush
11. The Little Drummer Boy
12. Stopped by the Poe-Poe

今日は、デトロイト出身のギタリスト&シンガーのモーター・シティ・ジョシュです。
2002年発売のアルバム「Stringer Full Of Blues Vol.1」を聴いて以来、過去のアルバムからその後発売されたアルバム、全て購入するほどの熱の入れようでして、
ブルースは勿論、サザン・ロックやカントリーなど、幼き頃から聴いて来た音楽を吸収消化して、個性的なジョシュ・サウンドというものを、25歳で出した1stアルバムで既に確立させてましたから、やはり、並のミュージシャンではないなって思います。

ギターはアルバート・キングかアルバート・コリンズかという感じはしますが、テレキャスター弾きですから、やはり一番はアルバート・コリンズなのかな。しかし、ファットなサウンドにしろフレーズにしろ、自分のスタイルをしっかりと持ってるギタリストです。そのギター・サウンドはかなり魅力的で、最も惹かれるところですね。

そして、もう一つの魅力はボーカル。ハウリン・ウルフに近い感じで、黒人並みの図太い声をしています。初めて聴いて時は、そのみてくれとのギャップにホンと驚きました。

そんな存在感ばっちりのモーター・シティ・ジョシュが10作目として発表したアルバムが、今回の「Covered Up」ですが、タイトルからも想像できますように、お気に入りの人達の曲をカヴァーしたライブ・アルバムです。

ジョシュのライブは、いろんな趣向を凝らし遊び心満点の演出で定評がありまして、次は何が飛び出すかなんて楽しみがあるのですが、今回のアルバムは以前出したライブ・アルバムと較べると、全体的な印象としてはタイトに纏めたなという感じを受けました。ですが、つまらないなんて事は全くなくて、バンドの纏まりやらノリやらホンと良くて、より以上にバンド・サウンドに力入れたって、そんな意気込みが伝わってきます。

お気に入りは(10)で、アルバート・コリンズを割りとストレートにカヴァーしてますが、アレンジの上手さは流石で、完璧に自分の曲にしてしまってるのは凄いね。ファンキーなリズムのロッキン・ブルースはお手の物で、ただ遮二無二に突き進むのではなく、間を活かしたり、引くべき時は引いたりとメリハリをつけた演奏だからこそ、このファンキーさが生きてくるんですよね。

アルバート・キングの(1)もファンキーなブルース。この手のサウンドが一つの基本形となってます。もう一人のギタリスト、ジョニー・ローズの硬質で切れのあるストラト・サウンドと、ファットで艶やかなジョシュのテレキャスター・サウンドのコントラストがなかなか面白い。特に後半のコール&レスポンスがいいね。

ジョシュのワイルドなスライドが切れまくる(2)、ツイン・リード・ギターが冴えてるオールマンの(3)、妖艶なスライドがゾクゾクする(7)などなど聴き所満載で、めちゃくちゃシビレるライブ・アルバムでした。

これだけの逸材をアメリカのレーベルは、どうしてほっとけるのか不思議でならないのだが、自主制作でもいいからアルバムを出し続けてくれたらOKかな。来日なんて現実考えたら不可能に近いし、しかし、年間300本のライブをこなすライブ大好きな人達ですから、いきなりフジロックに登場してもきっと盛り上がるだろうな。

2009年5月16日土曜日

Maurizio Pugno featuring Sugar Ray Norcia / That’s What I Found Out!


『Maurizio Pugno featuring Sugar Ray Norcia / That’s What I Found Out!』 (Pacific Blues PBCDI-20701)
1. Opening Act (A.Marsico)
2. That Crazy Girl Of Mine (R.Norcia/M.Pugno)
3. Bite The Dust (R.Norcia)
4. Keep On Sailin' (R.Norcia/M.Pugno)
5. When My Father Met Charlie's Uncle (M.Pugno)
6. It Must Be You (R.Norcia/M.Pugno)
7. That's What I Found Out (R.Norcia/M.Pugno)
8. Mind To Give It Up (R.Norcia/M.Pugno)
9. I Love You Baby (Lazy Lester)
10. Take It All Back Baby (R.Norcia/M.Pugno)
11. Oh Louise! (R.Norcia/M.Pugno)
12. Fine Long Legs (R.Norcia/M.Pugno)
13. Black Angel (Stain/Arr. By M.Pugno)
14. I Love The Life I Live (Willie Dixon)
15. The Preacher (Horace Silver)

シュガー・レイ・ノーシア目当てに購入したアルバムだったのですが、これがとんだメッケ物で、と言うのも、「お~」って唸ってしまったのが、シュガー・レイの横でグレッチのナッシュビルを持って写ってるマウリツィオ・プーニョ(どう読むか解らなかったので自動翻訳してみました)というイタリア人ギタリスト。イタリアを中心にヨーロッパ諸国で活動しているようで、テキサス~ウエストコースト系のジャジーでスウィンギー、そして、ジャンピンないいギターを弾いてまして、思いっきり僕好みなんですよね。シュガー・レイがイタリアまで行って、共演アルバムをレコーディングしたのも解るな。

1曲目軽快なノリのジャジーなインスト・ナンバー、2曲目がジャンプ・ブルースで、結構好きなサウンドだなと思って聴いてたら、3曲目でガツーンとやられました。この曲はシュガー・レイの傑作アルバム「Knockout」に収録されてた曲で、シュガー・レイのオリジナルなのですが、マジック・サムの「I Found New Love」みたいな雰囲気でやってます。ギターも所々でマジック・サムのフレーズをサラッと弾いたりしてますが、イントロやソロでのタメてからバキバキって弾きたおす所なんか、鳥肌が立つ位カッコいい。

(4)はルイジアナのスワンプ・ポップちゅう感じかな。ハーモニカもサンパイかレイジー・レスターを想わせるレイドバックぶり。良い味出してます。ギターはテキサス系のパキパキ・サウンドで、ソロの途中にフレディ・キングの「Hide Away」のフレーズを入れたりしてたまらんです。

(5)はチャーリー・クリスチャン辺りのビバップかなスウィングかなってな感じの曲。ジャズという底なし沼に嵌まってしまうのが恐ろしいので、深入りしないように心がけておりますが、でもスウィングは楽しい。

(6)や(9)はジミー・リード・タイプのシャッフル・ナンバー。(9)はレイジー・レスターのクレジットになってますが、この曲はジミー・リードの曲ですね。レイジー・レスターのバージョンを元にしてるからでしょうね。泥臭くはないが、ドッシリと重心の低いリズムで、間を活かしたルーズな感じはなかなか好いです。

(10)はもろT-ボーン・ウォーカーのギターを模倣したスロー・ブルース。この手の人達にとっては基本中の基本でしょうね。上手く弾いてます。

その他に、ブルーズン・ソウルやロックンロール・ナンバーとかもやってて、自分達の好きなサウンドをいっぱい詰め込んだという感じのアルバムで、一貫性はないけど、いろんなタイプの曲が聴けて結構楽しめました。マウリツィオ・プーニョもいろんなタイプのギターを巧みに弾き分けて、かなり腕利きのギタリストですね。ただ、器用貧乏にならないといいんだけど。

2009年5月10日日曜日

Byther Smith / Got No Place To Go


『Byther Smith / Got No Place To Go』 (Fedora FCD 5034)
1. I'm a Honey Bee
2. I Had My Fun aka Goin' Down Slow
3. Monticello Lonely
4. I Know That's Grace!
5. Got No Place to Go
6. Byther Boogie
7. How Much More?
8. 35 Long Years
9. Every Woman I Meet
10. Come on in This House
11. Red!! You Let the Dogs Out

バイザー・スミスは、シカゴ・ブルース最盛期の60年代初頭から活動し始め、以降40年以上第一線で活躍している重鎮の一人と言っていいのだが、日本では今一つ知名度が低い。と言う自分も初めて聴いたアルバムは、2001年発表の「Smitty's Blues」だった訳なんですが。モダンなんだけどもダウンホーム臭いイナタいサウンドは割と個性的で、特にタメの効いたテンションの高いブギは結構好きなんです。

70歳代半ばになっても精力的に活動してるバイザー・スミスですが、今回のアルバムは「Blues On The Moon」(これが初のライブアルバムというから驚き)に続き、フェドラから発売されたスタジオ新録のアルバムです。

1曲目からいきなりロックンロール・ナンバーとは少々面食らってしまったが、チャック・ベリーっぽいフレーズを織り交ぜながら、バイザーらしいちょぴりクランチのかかったギターはインパクトありますね。リズムのノリも好きなほうで結構お気に入りです。

(4)ではもろジェームス・ブラウンのファンキー・ソウル。こういう曲になると歌の音程がちょっとビミョーって所もありますが、お年を考えたらこの迫力は凄い。

(6)はジョン・リー・フッカーのワンコード・ブギ。これはブギ・チレンですね。フランク・ゴールドワッサーのハーモニカがいい味出してまして、ダウンホーム臭さが益々臭くなってますね。

前半戦は割と意欲的な取組みをした感じですが、後半戦はバイザー・スミスらしいシカゴ・ブルースが並んでおります。

まずは従兄弟のJ.B.ルノアーの(7)。やっぱり、こういうロウダウンなシャッフルはいいね。たまらんです。バイザーはルノアーからギターを学んだそうですから、この曲も直伝でしょうか。じっくり煮込んで熟れたいい味を出してます。

スロー・ブルースの(8)。オーティス・ラッシュを彷彿とさせるクリア・トーンのスクイーズ・ギター。この表現力は流石、ぐっと心に染みてきますね。

そして、ジュニア・ウェルズの(10)。ジュニア・ウェルズとは70年代、テレサズ・ラウンジで長年一緒に活動した仲。その時の演奏は「ライヴ・アット・テレサズ 1975」で聴けます。あのアルバムはいろんな意味で有難かった。この曲もウェルズの定番曲、歌は及ばなくとも熟成されたギターの味は格別。

最後はファンキーでロウダウンなスロー・ブルース。ただ単に昔の音をなぞるのではなく、クリエイティブな楽曲を今なお探求する姿勢には感銘を受けます。

2009年4月30日木曜日

Eli "Paperboy" Reed & The True Loves / Roll With You


『Eli "Paperboy" Reed & The True Loves / Roll With You』 (P-Vine PCD-20035)
1. Stake Your Claim
2. Am I Wasting My Time
3. It's Easier
4. The Satisfier
5. Take My Love With You
6. I'll Roll With You
7. She Walks
8. I'm Gonna Getcha Back
9. Won't Give Up Without A Fight
10. (Am I Just) Fooling Myself
11. (Doin' The) Boom Boom
12. Walkin' And Talkin' (For My Baby)

何年か前に出たイーライ“ペーパーボーイ”リードの1stアルバムを聴いた事があるが、本筋は60年代のソウルに傾倒してるなと感じさせつつ、ギターがもろブルースのフレーズであったりと、ブルーズン・ソウルという側面も垣間見れた。

しかし、今回のアルバムでは首尾一貫、徹底して正統的な60年代のサザン・ソウルにこだわって作ったようですね。

これが大正解で、バンド自体の成長やイーライの歌が格段に上手くなったこともあり、サウンドに纏まりができスッキリとした感じだ。全曲オリジナルだが、何処かで聴いた事のあるようなキャッチーな曲ばかりで、スーっと耳に馴染む。

ぶりぶりファンキーだったり、ソウルフルに聴かせてくれたり、こういうサウンド聴いてるとやっぱり、オーティス・レディングとかウィルソン・ピケット、エディ・フロイド、O.V.ライトとか、スタックスやマッスルショールズ・サウンドが非常に聴きたくなってくるんですね。

普段、ブルースしか聴かない自分にとっては、思い出させてくれる。だから、リバイバルなのでしょうけれど、ネオ・ヴィンテージ・ソウルと言うそうですね。
ふらっと入ったお店でイーライ“ペーパーボーイ”リードが流れたら、僕はそこの常連になっちゃうな、多分。

2009年4月28日火曜日

Mitch Kashmar / Live at Labatt


『Mitch Kashmar / Live at Labatt』 (Delta Groove DGPCD128)
1. I Got No Reason
2. Dirty Deal
3. Whiskey Drinkin' Woman
4. Evil Man Blues
5. Song For My Father
6. Sugar Sweet
7. You're The One
8. Lollipop Mama
9. Wake Up & Worry
10. Castle Rock

ミッチ・カシュマーは、2005年にDelta Grooveからアルバムを発表して以来、その存在感を発揮してメキメキと頭角を現してきたDelta Grooveの看板ハーピストです。

最近はWARのメンバーとしての活躍も目覚しく、名実共にウェスト・コーストを代表するハーピストになりました。

ミッチの吹くクロマチック・ハープのサウンドは、ウィリアム・クラークを彷彿させるものがあり、ウィリアム・クラークの後継者は、この人しかいないだろうと思います。

このアルバムは2007年8月、カナダで行われたブルース・フェスティバルに出演した時に収録されたライブです。80年代のミッチ・カシュマーのバンド・メンバーがバックを固めており、ばっちり息の合ったサウンドを聴かせてくれますが、注目はやはりウィリアム・クラークのバンドにも居たことのあるギタリスト、ジョン・マークスかな。

まずは1曲目のロッキンなジャンプ・ブルースが最高。クロマチックの素晴らしさも然る事ながら、ジョン・マークスのセンスのいいジャンピンなギターも痺れますね。ハープ・ソロでギターのカッティングが如く、ザクザクと刻むあたりも好き。

(2)、(3)での割りとトラディショナルなシカゴ・ブルースでは、ダイアトニックの生ハープで演奏してます。ネコの鳴き声のように甲高くブロウするのも特徴的です。

(4)は“Evil Gal Blues”。MCでオリジナル・チューンはベシー・スミスみたいな事を言ってましたが、えっ、ダイナ・ワシントンじゃなかったの。どっちでもいいんだが、サウンドはぶりぶりファンキー。(1)と甲乙つけ難いくらいカッコいい。

(5)は意表を突くファンキー・ジャズ。

そして、スタンダードを挟んで取って置きの(8)。ウィリアム・クラークを偲んで演奏された曲ですね。この貫禄はもうベテランの域ですわ。

このような人達が、ごく当たり前のように日本に来て、とびっきりの演奏をしてくれる時がいつか来るだろうか。

2009年4月21日火曜日

Cedric Burnside & Lightnin' Malcolm / 2 Man Wrecking Crew


『Cedric Burnside & Lightnin' Malcolm / 2 Man Wrecking Crew』 (Delta Groove DGPCD127)
1. R.L. Burnside
2. So Much Love
3. My Sweetheart
4. Nobody Else
5. Don't Just Sing About The Blues
6. That's My Girl
7. She's Got Somethin’ On Me
8. Fightin’
9. Stay Here In Your Arms
10. She Don't Love Me No More
11. World Full Of Trouble
12. Mad Man Blues
13. Tryin' Not To Pull My Gun
14. Time To Let It Go

セドリック・バーンサイドは、R.L.バーンサイドの孫で、カルヴィン・ジャクソンの息子。ミシシッピー・ヒル・カントリー・ブルース界のサラブレッドだな。R.L.の「Mr. Wizard」以降、ちょくちょくレコーディングに参加してますので、ファンにはもうお馴染みのドラマーかな。

一方、ライトニン・マルコムは、ノース・ミシシッピーのヒル・カントリーで活動してるギタリスト。聴いた事はないですが、割とモダンなデルタ・ブルースをやるそうです。

2007年に1stアルバム「Juke Joint Duo」を発表してますが、そのタイトル通りのデュオ・バンドですね。

今回のアルバムでは、ジェイソン・リッチが3曲ハーモニカを吹いてる他は、ギターとドラム、そしてボーカルのヒル・カントリー・ブルースでは定番のセットで演奏してます。

サウンドはR.L.バーンサイドの流れを汲む、ワン・コード・ブギによる強烈なダンス・ビートを基本としながらも、ヒップホップ世代の若い感覚が、クロスオーバーした新しさを感じます。泥臭さもしっかりあるところがまたいいね。

ベースレスによるスカスカな音、だけども凄くタイト。これが本当に気持ち良い。特に要となってるのがライトニン・マルコムのギターで、嫌味のないディストーション・サウンドで弾くリフは、時にはワウなんかも被せたりして、結構カッコいい。

このアルバムは出来るだけ爆音で聴いたほうが痺れる。パンクを聴いてたガキの頃を思い出して、何だか気分が高揚してくるんですね。

“Wrecking Crew”の2人には、既成の枠を取っ払って新しいサウンドを作って欲しいと思うのだが、ブルース・フィーリングは忘れないで貰いたいな。バランスが難しいけれど。

2009年4月18日土曜日

Dialtone All-Star Live!


『Dialtone All-Star Live!』 (P-Vine PCD-25083)
1. SPOT BARNETT - Twenty First Century Walk
2. JOE JONAS - The Things I Used To Do
3. TEXAS NORTHSIDE KINGS - School Girl
4. THE WEST SIDE HORNS - Funky Mama
5. THE WEST SIDE HORNS - What No (What Know)
6. TEXAS EASTSIDE KINGS - Last Night
7. TEXAS EASTSIDE KINGS - Ain't Nobody's Business
8. TEXAS EASTSIDE KINGS - Cheating On Me
9. ORANGE JEFFERSON with THIERRY COGNEE - Mean Ol' Frisco
10. ORANGE JEFFERSON with THIERRY COGNEE - Good Advice
11. ORANGE JEFFERSON with THIERRY COGNEE - Ragged And Dirty
12. JOE DOUCET - Back Home
13. LITTLE JOE WASHINGTON - Little Joe Stomp
14. LITTLE JOE WASHINGTON - I Got To Love You
15. RAY REED - You Don't Have To Go

2008年3月13日。ダイアルトーンのアーティストが集結して、6時間にも亘って繰り広げられたライブ。その模様をざっと掻い摘んで収録されたのがこのライブ・アルバムだが、どうも今一つライブという感じがしない。コンピレーションということもあるだろうが、会場の歓声なんかが入ってないのはやはり寂しい。60年代みたいに歓声だけ後から被せるような愚かしいことをする必要はないが、ある程度は入ってたほうが臨場感があっていいと思うんだけどな。しかし、サウンド自体は流石にダイアルトーンだけあって、こってりと濃厚なサウンドが目白押しだ。

先ず、冒頭を飾るのはウェスト・サイド・ホーンズのサクソフォン奏者、スポット・バーネット。テキサス・トランペッツやウェスト・サイド・ホーンズの流れを汲むサウンドだが、よりブルージーでファンキー。リフレインされるサックスとファンキーなリズム、カッコいいですね。フランシス・トルバートという無名?のギタリストの16ビートのカッティングが、よりファンキーさを盛り立ててます。アグレッシブなソロもなかなか。一曲目には持って来いのインスト・ナンバー、ほんとカッコいい。

次は、ジョー・ジョナス。「テキサス・ハーモニカ・ランブル」に登場した一人で、その中でも大のお気に入り。僕はソロ・アルバムがないか探したくらい好きで、運よく何枚か手に入れることが出来たが、やっぱり、ダイアルトーンから早く出してほしいですね。さて、このライブでは大トリを務めたそうだが、1曲とはこれまた寂しい扱いじゃないですか。ハーモニカも吹いてないし。大体、6時間のライブを一枚のアルバムに納めようというのに無理がある。せめて2枚組みにするとかさ、欲を言うならDVDも出しちゃうとかね。買うよ。それはさておき、ギター・スリムの不朽の名曲を威風堂々と歌いこなしてます。ハーモニカはハッシュ・ブラウンに任せちゃってるけど、歌に専念てとこでしょうね。この迫力、圧倒されました。

「テキサス・ハーモニカ・ランブル」繋がりでは、オレンジ・ジェファーソンもこのアルバムで登場したもう一人の逸材。歌もハーモニカも特別上手いとは感じなかったが、エレキ・ギターを相棒にして、ロウダウンでイナたく素朴なサウンドは、なんだか惹きつけられるものがありますよね。この人のソロも探しましたが見つかりませんでした。もしかしたら、ダイアルトーンが初レコーディングかも。エディ・スタウトのお気に入りのようなので、そのうちソロ・アルバムも出るでしょうね。

テキサス・イーストサイド・キングスといえばダイアルトーン、ダイアルトーンといえばテキサス・イーストサイド・キングス、と言う位ダイアルトーン・レーベルの象徴的なバンドですね。初アルバムが出た時は、そりゃもう仰天しまして、何回聴いたか分からないくらいへヴィー・ローテーションしてました。この3曲もたまらんですね。なんやかんや言っても、やっぱりこのバンドが最高。

ジョー・デューセットも突然世に出てきたテキサス・ギタリストですね。このギター・インスト、ツボに嵌まっちゃったな。ファンキーなグルーヴにペキペキのギター、シビレる~。

リトル・ジョー・ワシントンの突拍子もないギターも相変わらずですな。次は何やらかしてくれるんだろうって、ほんと楽しみ。そういえば、最新作はもう発売されたのかな。

最後はレイ・リード。ジミー・リードの曲ですね。重心の低い腰だめの重たいシャッフル。
出てくる人出てくる人、皆とんでもない強烈な人ばっかで、恐るべきテキサス。
しかし、6時間もライブやって、他にどんな曲演奏したのか、気になるな。それ考えると悶々としてくる。

2009年4月8日水曜日

T-Model Ford / Jack Daniel Time


『T-Model Ford / Jack Daniel Time』 (Mudpuppy MPR-LLC-001)
1. I Love You, Babe
2. Red's Houseparty
3. Jack Daniel Time
4. Big Boss Man
5. Rock Me Baby
6. That's Alright Mama
7. Hi-Heel Sneakers
8. Got A Woman
9. Mistreatin' Woman
10. Killing Floor
11. Encore - I Love You, Babe

ミシシッピのデルタ・ブルースマン、T-モデル・フォードの通算5作目、6年ぶりの新作は、自身初となるライブ・アルバムとなりました。
2008年2月3日と4日の両日、クラークスディルのジューク・ジョイントでのライヴを収録されたもので、この時T-モデルは83か84才。前作の「Bad Man」以降なんの音沙汰もなかったので、もしかしたらと縁起でもないことを思ったりもしましたが、元気にライヴ活動を行ってたようで本当によかった。

T-モデル・フォードは1997年に72、3才にしてデビューし、ジュニア・キンブロウやR.L.バーンサイドなどと同様に、ファットポッサムの看板アーティストとなったわけですが、そのデビューアルバム「Pee-Wee Get My Gun」のインパクトは非常に強烈でした。ロック以上にロックしてて、初めて聴いたときはホント興奮しましたね。

ですから、T-モデルのサウンドはダーティーでパンキッシュというイメージは、今でも払拭できないのも確かなのですが、前作の「Bad Man」辺りからサウンドの色合が変わってきました。ファットポッサム特有の過剰に音作りされたものではなく、肩の力が抜けて自然体のサウンドのように感じました。

今回のライブ・アルバムで演奏されてるサウンドは、「Bad Man」以上にオーソドックスなデルタ・ブルースで、これならコテコテのブルースファンにも受け入れて頂けるんじゃないかなと思います。T-モデルのギター、ハーモニカ、ドラムのバンドセットによるロウダウンなブギから、アコギ一本のカントリーブルースまで、デルタ・ブルースの王道といってもいいくらい。デビューする以前、長年ジューク・ジョイントでやってきたサウンドというのは、実際こんな感じだったんじゃないかなって想像してます。そういう意味では貴重なアルバムで、T-モデル・フォードの本来のサウンドがここにあります。
正しく“Real Delta Blues”

2009年3月27日金曜日

Alberta Adams / Detroit Is My Home


『Alberta Adams / Detroit Is My Home』 (Eastlawn Records ELD-017)
1. Keep On Keepin' On
2. I'm Worried
3. Hello Little Boy
4. Tired of Being Alone
5. Detroit is My Home
6. Struttin' My Stuff
7. Always Home
8. Wet Clothes
9. Doctor Blues
10. Long Gone
11. I'm On the Move/Every Day
12. Hopin' It Will Be Alright

事ある毎に“Detroit's Queen of the Blues”と称される、ジャンプ・ブルース・シンガーのアルバータ・アダムス。
1920年代生まれ。一説には21年とも22年ともいわれておりますが、最近では17年という説まで出てきてます。これが本当だと、ジョン・リー・フッカーやウォルター・ホートンと同い年ってことになる。え~、そんなお年だったのって感じなのですが、見た目からするとB.B.キングと同じ位じゃないかなと思うんですけど。

それはさておき、30年代後半位からプロのシンガーとして歌い始め、デューク・エリントンやルイ・ジョーダン、ワイノニー・ハリス、T-ボーン・ウォーカーなどとも共演したことがあるそうで、いずれにしても、超ベテラン・シンガーであることに間違いはない。

50年代にはレナード・チェスに認められて、チェスに4曲ですが録音も残しています。実力のあるシンガーなのですが、ソロ・アルバムを出すのは、ず~っと後の1999年になってからなんです。実力を持ちながら録音の機会すら与えて貰えず、消えていったブルース・シンガーは数多くいるといいますから、かなりの遅咲きとはいえ彼女は幸運であったといえます。こういう人達の歌が聴けるのもブルースの醍醐味なんですよね。

今回のアルバムは、通算4作目となる2008年に発売された最新作です。
アルバータ・アダムスを初めて聴いたのは、デトロイトのコンピレーションのライブ・アルバム「Blues From The Heart Vol.3」の中の1曲でした。1997年の録音で、その頃から較べるても声が幾分ガラガラに嗄れてしまってますが、迫力のある図太さは相変わらず凄い。特に、1曲目のバレルハウスの雰囲気を出してるロッキン・ブギなんか、正に打ってつけの1曲で、ノリの良いブギウギ・ピアノと小粋にブラッシングするドラム、それに迫力のあるガラガラのボーカル。最高。冒頭からガツーンとやられました。場末の安酒場で見たら卒倒しそうですよ。

2曲目は一転、ジャジーなバラード。1曲目とは打って変わったジャジーなピアノも印象的だが、それよりも増してアルバータの魂を搾り出すかの如く歌う歌には圧巻。エモーショナルな歌声に感動すら覚えます。

ジャンプ・ブルースの(3)やニューオリンズR&B調の(6)、マンボっぽい(9)も結構好きですね。そして、最後にシークレット・トラックとなってる「Just a Little Bit」。ライブ録音のようだが、これがまた凄まじいド迫力でぶったまげました。90前後とはとても思えません。着包みでも着てるんじゃないかな。

2009年3月19日木曜日

Amos Garrett / Get Way Back : A Tribute to Percy Mayfield


『Amos Garrett / Get Way Back : A Tribute to Percy Mayfield』 (Tom's Cabin WHCY3)
1. My Jug and I
2. Pretty Eyed Baby
3. Stranger in My Own Hometown
4. Never Say Naw
5. The Country
6. To Claim It's Love
7. River's Invitation
8. Fading Love
9. Get Way Back
10. Ha Ha in the Daytime
11. Lost Mind

エイモス・ギャレットを知る切っ掛けとなったのが、ポール・バターフィールズ・ベター・デイズの1stアルバム。ホワイト・ブルース史に燦然と輝くこの歴史的傑作盤で、エイモスのみならず、ボビー・チャールズやジェフ&マリア・マルダーなども知る事となり、ウッドストック・サウンドにのめり込む切っ掛けにもなったのです。ポール・バターフィールドのハーモニカの素晴らしさも然る事ながら、エイモス・ギャレットのギターも負けず劣らず絶品で、特に「プリーズ・センド・ミー・サムワン・トゥ・ラブ」での煌びやかに流れるようなギターには惚れ惚れとしたものです。あと、マリア・マルダーの「真夜中のオアシス」はもっと最高の出来で、この曲を聴いてからかな、ソロアルバムを買ったのは。

久しぶりにソロアルバムを引っ張り出して聴いてますが、しかし、なんて気持ちのいいギターを弾く人なんでしょうね。エイモスのギターを“星屑のギター”とよく比喩されますが、これ以上イメージにぴったりの言葉はないです。特徴的なのはチョーキングのタイム感もですが、やっぱりチョーク・ダウンなんですよね。この時の何とも言えない浮遊感、ふわっと漂い流れるような感じはほんと癒されますよ。そして、歌声は渋いバリトン。テレキャスターと帽子がトレードマークで、ダンディという言葉が相応しい。ほんと渋すぎ。

前作の「Acoustic Album」から凡そ4年ぶりとなる新作は、パーシー・メイフィールドのトリビュート・アルバムで、エイモス自身いつかは作りたいと思ってたそうだが、エイモスのサウンドには打ってつけの企画ですね。まず、思ったのは選曲。通好みの渋い選曲ですね。オーティス・ラッシュも「Ain't Enough Comin' In」で演奏した(1)やプレスリーお得意の(3)、ゲイトマウス・ブラウンもやった有名曲(7)なんてのもあるが、あまりカヴァーされることの少ない曲ばかりで、本人が好きな曲を選んだんでしょうが、この辺もクセモノぶりを発揮してますよね。大体、テレキャスター弾きにはクセモノが多い。アルバート・コリンズとかスティーブ・クロッパー、コーネル・デュプリー、キース・リチャーズにウィルコ・ジョンソン。若手ではタブ・ベノワとかね、大好きなんですけど。しかし、今回のアルバムではテレキャスターではなくフルアコを中心に使用してるみたいで、柔らかくマイルドなトーンになってますね。弾きまくりというわけではありませんが、要所要所で円熟味を増したギターを聴かせてくれます。ほんと痺れるんです。歌声は昔程の艶は少々なくなってしまったが、バリトン・ヴォイスに渋みが増して味わい深い。パーシー・メイフィールドということもあり、歌に力を入れた感じは受けます。本当に歌心のあるアルバムで、聴けば聴くほどジワジワっと染みてきましたよ。落ち着きます。

2009年3月14日土曜日

William Clarke / One More Again!


『William Clarke / One More Again!』 (Watchdog WD1010)
1. Untitled Instrumental
2. I Got My Bags Packed
3. Five Card Hand (alt take)
4. Home Is Where the Heart Is (slow)
5. Letter From Home (alt take)
6. Educated Fool (alt take)
7. When I'm With You Baby
8. Untitled Instrumental
9. That Ain't the Way to Do It
10. Home is Where the Heart Is (fast)

ウィリアム・クラークの初期のアルバム、「Hittin' Heavy」とか「Blues from Los Angeles」とか聴きたくて探してはみたけれど、やっぱり見つからなくて、CDにもなってないしね、諦めてたら、数年前「The Early Years」というCDが発売された。Vol.1とVol.2があって、Vol.1にはしっかりとハリウッド・ファッツの名がクレジットされてる。もう速攻で注文しましたよ。アリゲーターのほうがレベルは上なんだけど、ウィリアム・クラークとハリウッド・ファッツが共演してる音源つうだけでも貴重で感動もんでした。このアルバムをプロデュースしたのが未亡人のクラーク夫人で、数多くの未発表音源を所蔵してるらしく、それらを編集したアルバムも今迄に何枚か発表してます。

2008年に発売された「One More Again!」もそんな未発表音源集で、亡くなる3年前の1993年の録音です。この頃はほんと脂の乗り切った絶頂期で、アリゲーターと同様に最高のサウンドなんですよね。(2)での師匠ジョージ・スミス譲りの図太いクロマチック・ハープは、五臓六腑にジンジン響いてきます。続く(3)は典型的なウエストコースト・サウンドで、アレックス・シュルツのT-ボーン・ウォーカーばりのテキサス・ギターがなかなかいい。アレックス・シュルツはロッド・ピアッツァのマイティ・フライヤーズにもいた人で、バッキングとかも凄くジャジーでセンスありますよね。「The Hard Way」でも演奏していたロイ・ブラウンの(5)。こちらはホーン・セクションが入ってないバージョンで、ゴージャスさはないが代わりにギターがシンプルのオブリガートを決めてます。(8)(9)辺りのふくよかなホーン・ライクなハープは、五臓六腑にしみるな。

ウィリアム・クラークはジャズ・オルガンが好きだったそうで、ジャジーでスウィングしてるグルーヴはこの辺りからの影響のようです。それにシカゴ・ブルースを混ぜ合わせたのがウィリアム・クラークのサウンドということになるのですが、これはウエスト・コーストの基本的なサウンドでもあるんですよね。何回聴いても聴き飽きません。

2009年3月10日火曜日

Hollywood Fats & The Paladins - Live 1985


『Hollywood Fats & The Paladins - Live 1985』 (TopCat TCT6082)
1. Hideaway
2. She's Fine
3. I've Tried
4. Lawdy Lawdy Miss Mary
5. Whole Lotta Shakin'
6. The Groove
7. Rooster Blues
8. Tear It Up
9. That Will Never Do
10. Let's Have A Party
11. Mystery Train
12. Sidetracked
13. Goin' To Get My Baby

ハリウッド・ファッツはウェストコーストのジャンピン&スウィンギーなブルース・ギタリストで、フェイバリット・ギタリストの一人です。
10才でギターを始め、13才で既にロサンゼルスのクラブで演奏してたというから凄い。マジック・サムやシェイキー・ジェイク、アルバート・キング、ジュニア・ウェルズ&バディ・ガイらに可愛がられ、教えを受けたようです。ハリウッド・ファッツというニックネームはジュニア・ウェルズとバディ・ガイが付けたらしい。

初レコーディングはライブですが、1972年のワッツタックス。アルバート・キングのバックでギター弾いてるのがハリウッド・ファッツです。当時、まだ弱冠18才。あの大舞台で本当に凄いや。その後は、ジョン・リー・フッカーやシェイキー・ジェイクのレコーディングに参加したり、マディのバンドにも在籍したことがあるらしいですが、ハリウッド・ファッツ名義のアルバムは、後にも先にも1979年のオリジナル・アルバム1枚のみだったのです。他にもっと聴きたいと思ったら、ウィリアム・クラークやジェイムス・ハーマン、スモーキー・ウィルソンなどのアルバムを聴くしかなくって、1986年に32才の若さで亡くなってしまったものだから、ホント録音が少ないんですよね。僕にとってはもう伝説的なギタリストなのです。それが数年前、デルタ・グルーヴがハリウッド・ブルー・フレイムスのアルバム「Road to Rio」で、おまけCDとしてハリウッド・ファッツの未発表ライブCD「Larger Than Life」を付けてくれた時は、ホント驚喜しました。

そして、今回のアルバムはハリウッド・ファッツ名義の2枚目となる貴重なライブ・アルバムです。ちょうど亡くなる1年前にダラスで収録されたライブ。音質はブートレグ並みで、音ゆれとかあってあまり良くないが、演奏はとても熱い。

フレディ・キングの(1)(12)、ジミー・リードの(2)(13)、チャック・ウィリスの(4)、ジェリー・リー・ルイス(5)、ライトニン・スリム(7)、リトル・ミルトン(9)、エイモス・ミルバーン(10)、ジュニア・パーカー(11)などなど。カヴァー曲のどれもが、見事にハリウッド・ファッツのカラーに染まってて、サウンドにブレがないんですね。いろんなタイプのギターが弾ける天才肌だったそうだが、やっぱりこのジャンピンでスウィンギーなギターはピカイチ。彼をリスペクトするウェストコーストのギタリストは、今でも数多い。

79年のオリジナルとおまけCDだった「Larger Than Life」、そして、今回のライブ。この3枚は僕にとって、ウェストコーストのブルース&ギターのバイブルみたいなもんです。

2009年3月4日水曜日

Big Walter Horton / Bocce Boogie : Live 1978


『Big Walter Horton / Bocce Boogie : Live 1978』 (TopCat TCT7082)
1. Every Day I Have The Blues
2. Walter's Boogie
3. Trouble in Mind
4. My Babe
5. Cold Chills
6. That's Why I'm Cryin'
7. Bocca Boogie
8. La Cucaracha
9. Sweet Black Angel
10. Baby Please Don't Go
11. Hard Hearted Woman
12. Little Bitty Girl
13. Don't Get Around Much Anymore
14. Tell Me Why
15. Breakin' with the Earl

1978年9月、ロードアイランドにあるBocce Clubで収録されたライブだが、これはジョニー・ニコラスの結婚披露パーティーの為にセッティングされたもので、ウォルター・ホートンを呼んじゃうなんて、なんと粋なパーティーなんでしょうね。
プライベートなライブなので録音状態は良くないが、お客さんの話声など会場のざわめきが終始聞こえてきて、却って生々しいリアリティーがあります。

ホートンは15曲中9曲に参加。シュガー・レイが歌う(1)に続き(2)で登場しますが、ホートン節のハーモニカとバック・バンドのグルーヴ感、もう最高で言葉になりません。次のキー・トゥー・ザ・ハイウェイを想わせる(3)では、ホートンのエモーショナルなハーモニカがとても素晴らしく、涙腺に響いてきますね。リトル・ウォルターの(4)もタメのある最高のノリで、これはもうかぶりつきでしょう。あと、ホートンが(9)や(10)を演奏してるの初めて聴きました。すごく得した気分。

2009年3月2日月曜日

RJ Mischo / King Of A Mighty Good Time


『RJ Mischo / King Of A Mighty Good Time』 (Challis CHREC118)
1. Cheap Wine
2. Joint!
3. Too Little Love(Too Much Religion)
4. Who's Out There?
5. Crawlin' Kingsnake
6. Greyhound
7. Rj's Back In Town
8. Birds Nest On The Ground
9. I Can't Do Without You
10. Good Bad Co.(Don't Worry)
11. Give It Up
12. Watchdog
13. King Of A Mighty Good Time

RJミショーはウェスト・コーストのハーピストで、まだ10代後半の若い時分からプロとして活動し始め、ミネアポリス時代はモジョ・ビュフォードやサニー・ロジャーズ、パーシー・ストローザーらと活動していたそうです。

シカゴには近いので、その辺りの連中との付合いも深かっただろうと思います。サウンドも50年代のヴィンテージなシカゴ・ブルースが感じられます。

しかし、本拠地をシカゴではなくウェスト・コーストに移したのは、リンウッド・スリムの誘いなのか、それとも性に合ってるからなのか、どうなんでしょうね。

RJのサウンドはウェスト・コーストに移ってからのしか聴いてないが、ヴィンテージ・シカゴ・ブルースを描写しつつも、軽快なスピード感やロッキンな豪快さは、やはりウェスト・コーストのサウンドだなって感じです。ハーモニカのテクニックも抜群で、図太くはないが割りと黒さのあるボーカルもなかなかカッコいい節回しで好きなところですね。

今回のアルバムも、1曲目から如何にもRJミショーって感じのロッキン・ブルースから始まりますが、ここ最近はずっと一緒にやってた、ロウダウンでいなたいギターを弾く職人フランク・ゴールドワッサーが参加していないのはちょいと寂しいな。

代わりにノルウェー出身のキッド・アンダーセンがギターを弾いてます。自身のアルバムは聴いた事がないのですが、スウィンギー&ジャンピンなギタリストでオーティス・ラッシュを想わせる部分も持ち合わせてるみたいです。チャーリー・マッスルホワイトのリード・ギタリストを務めたこともあり、最近はリック・エストリン&ザ・ナイトキャッツに参加してるようです。実は先のエルヴィン・ビショップのアルバムにも参加してたんですよね。これからこの名前が至る所で登場しそうで、ウェスト・コースト・ファンとしては押さえておきたい人かな。

キッド・アンダーセンを得て少々面持ちが変わったが、我が心石に匪ず転ず可からずで、RJミショーの確固不動のサウンドはなお健在で嬉しい限りです。

アフリカンなリズムにリゾネーターやシタールまで使った神秘的なデルタ・ブルース(3)は、変り種で結構面白かったが、やはり(6)(7)(8)辺りのロッキン・ブルースの怒涛の攻撃はたまらんです。特に(8)、イントロのハーモニカに絡むギター、このバンド・アンサンブルのカッコよさ、抑揚のある節回しのボーカル。ほんと最高にカッコいい。

ライス・ミラーのスロー・ブルース(9)でのハーモニカは深いし、モジョ・ビュフォードの(12)でのタメたハーモニカも痺れます。

2009年2月25日水曜日

Elvin Bishop / The Blues Rolls On


『Elvin Bishop / The Blues Rolls On』 (Delta Groove DGPCD126)
1. The Blues Rolls On
2. Night Time Is The Right Time
3. Yonder's Wall
4. Struttin' My Stuff
5. Keep A Dollar In Your Pocket
6. Who's The Fool
7. Black Gal
8. Oklahoma
9. Come On In This House
10. I Found Out
11. Send You Back To Georgia
12. Honest I Do

B.B.キングやジェイムス・コットンなど、錚々たるゲストを迎えて製作されたエルヴィン・ビショップの最新作です。エルヴィンのアルバムは歪の効いたギターで、ロック色の強いルーツ・ロックというイメージがありますが、このアルバムはブルースやソウルといった色合いの濃いものになってます。

オリジナルのタイトル曲(1)は、ホップなノリでウエストコーストのカラッとしたサウンドが気持ちいいです。エルヴィンの歌は今一だがスライドは年季入ってますね。キム・ウィルソンのハープは流石。

ナッピー・ブラウンの(2)を歌うのは、ウエストコーストのハーピスト&シンガーのジョン・ネメス。他にも(6)(10)で歌ってますが、この人の歌は飛び抜けて上手い。ソウル・シンガーとしても十分やっていける歌唱力だと思います。

エルモアの(3)。歌はロニー・ベイカー・ブルックスで結構上手いんですよね。エルヴィンのスライドから始まるギターソロもトミー・カストロからロニー・ベイカー・ブルックスに回していくライブならではの面白さがいいね。

セルフ・カヴァーの(4)、エルヴィン本領発揮ちゅう曲ですね。ファンキーなノリのリズムはスカッと気持ちいい。後半、デレク・トラックスを含む5人のギタリストが入り乱れてのソロは強烈。

(5)はB.B.キングが参加してのスタジオ・ライブ。エルヴィンの歪みとB.B.のクリーン・トーン。ホント対照的。「B.B.キング、カモン」で入るソロ、鳥肌もので痺れます。

(7)ではクリフトン・シェニエのオールド・ザディコを、R.C. CarrierとAndre Thierryという若手が演奏してます。ヌーヴォー・ザディコのファンキーなノリも好きだが、この古いザディコはブルージーでやっぱいいね。

(8)はロウダウンな歪んだギターによる弾き語りで、ダーティーに演奏してます。(4)と共にエルヴィンを一番感じられる1曲です。

(11)では久方振りのジョージ・ソログッドが登場します。「ギブ・ミー・バック・マイ・ウィッグ」タイプの曲をベースレスで、タイトにロッキン・ブルースしてます。こういう曲は血が騒ぐというか、掛け値なしにカッコいい。

1曲1曲聴いていくとホント良い曲ばかりで、グラミーにノミネートされたのも分かる気がしますが、エルヴィン・ビショップのアルバムという事を考えると、セルフプロデュースはいい仕事しててもミュージシャンとしてはどうかなって思ってしまう。ゲストばかりが目立ってエルヴィンはホント影が薄い。通して聴いてたら誰のアルバムなのか分からんよ。

2009年2月23日月曜日

Smoky Greenwell and the Blues Gnus / Between Iraq and a Hard Place


『Smoky Greenwell and the Blues Gnus / Between Iraq and a Hard Place』 (Southland Records SCD-41)
1. Roller Coaster
2. Crazy Mama
3. Goin' Uptown
4. Between Iraq and a Hard Place
5. Back To The Boogie
6. Mean Old World
7. Blues for the Southland
8. Tell Mama
9. Blue Light
10. Key To The Hightway
11. Going Down
12. One Way Out

カトリーナで崩壊したのであろう家屋の前で、お手上げ状態のスモーキー・グリーンウェル。未だに完全復興していないニューオリンズの実情は、まさにハード・プレイスなのでしょう。しかし、流れてくるサウンドは、そんな暗く重たい雰囲気は微塵も感じさせない明るく楽しいストレートなブルースで、ニューオリンズのタフさや気質を思い知るところでもあります。

前作の「Smokin' Classics」は、いろんなジャンルからの名曲をハーモニカ・インストでカヴァーしたアルバムで、歌心のある素晴らしいハーモニカが聴けて、ハーピスト、スモーキー・グリーンウェルを十分堪能できました。

今回のアルバムは、ブルースの名曲を数多くカヴァーして、ブルースマン、スモーキー・グリーンウェルを楽しめるブルース・アルバムとなりました。

オリジナルの(3)(4)(5)(7)の内、(3)と(5)はセルフカヴァーで、(4)と(7)が新曲のようです。タイトル曲の(4)は、ジミー・リード調のゆるいダウンホーム・ブルースで、重たそうなタイトルとは裏腹にリラックスして、ほのぼのとした雰囲気はなんとも味があります。(5)はロッキンなハーモニカ・インスト。オリジナルよりもタメを効かしたサウンドで、数段カッコよくなってます。(7)はギター一本の伴奏でのハーモニカ・インスト。ルイジアナを感じさせるロウダウンなゆる~いサウンドで、何と言ってもアーシーなハーモニカは痺れますね。そして、クラレンス・カーターの(8)を挟んで後半、ブルースのスタンダードが続きますが、リトル・ウォルターの(9)、この辺りのハーモニカは深みがあるしやっぱ上手い。最後、ドン・ニックスの(11)とサニー・ボーイの(12)は、南部のブルース・ロック仕立てで、これもなかなか好いです。

特段際立ったことをやってる訳でもなく、アルバムとしては平凡かもしれませんが、とても楽しめたアルバムでした。

2009年2月17日火曜日

Los Fabulocos featuring Kid Ramos / Los Fabulocos


『Los Fabulocos featuring Kid Ramos / Los Fabulocos』 (Delta Groove DGPCD125)
1. Educated Fool
2. If You Know
3. Crazy Baby
4. Lonesome Tears In My Eyes
5. Mojado Sin Licencia
6. Day After Day
7. Como Un Perro
8. You Ain't Nothin' But Fine
9. You Keep Drinkin'
10. Just Because
11. All Night Long
12. Burnin' The Chicken
13. Mexico Americano

ロサンゼルスのレーベル、デルタ・グルーヴからまた新たなバンドが登場しました。
バンド名やメンバーの雰囲気からして、テックス・メックス辺りのラテン系の香りがプンプンしてきますね。しかし、このジャケにファビラス・サンダーバードにいたギタリスト、キッド・ラモスが写ってること自体「えっ」と思ってしまったのですが、テキサスということ考えればそれほど不思議ではないか。

実際のサウンドは、テキサス・トルネードスや初期の頃のロス・ロボスを彷彿とさせるもので、軽快なリズムと心地よいアコーディオンの音色、それにブルージーなギターというのがこのバンドの味噌だね。

まずはヒューイ・ピアノ・スミス作のロックン・ロール・ナンバー(1)で小手調べってところかな。典型的なロックン・ロールなのにアコーディオンが入ってくると、コロッと雰囲気が変わる。面白い楽器だな。

オリジナルの(2)はテックス・メックスとロックン・ロールが融合したような曲で、お互いの持味が良く出てるし、このバンドの方向性を示す1曲かなと思います。ギターとアコーディオンの掛け合いも楽しい。好きな曲です。

ジョニー・バーネットのロカビリー(4)は、カリビアンかメキシカンかという感じのパーカッションが印象的なバラード調仕立て。ラモスのスパニッシュなギターも素晴らしい。

フラーコ・ヒメネスの(5)はテックス・メックスの名曲だよね。軽快なノリとアコーディオンの心地よさ。それにスペイン語の歌。言葉は全く分からないけれど、なんか惹きつけられる魅力があるんだな。テックス・メックスの醍醐味、ほんと楽しい曲だ。

オリジナルの(6)はデルタ・ブルースとの融合ちゅう感じの曲で、イントロのギターからワンコードのリフに行く辺りは特にカッコいい。なんかザディコにも聴こえてくるから不思議だ。このアルバムの中では一番気に入りました。

他にも、スペイン語での雰囲気のいいバラード(7)、スワンプポップになったロイド・プライスの(10)もたまりません。キッド・ラモスのアルバムに入っていそうなロッキン・ブルースのギター・インスト(12)。水を得た魚の如く弾きまくるギターがめちゃカッコいいし、イントロがスパニッシュというのも洒落てていいです。

取り留めも無く書いてしまったが、もし次のアルバムが出たらまた聴いてみたいですね。本当に楽しいバンドでした。

2009年2月11日水曜日

Bobby Charles / Homemade Songs


『Bobby Charles / Homemade Songs』 (Rice‘n’Gravy Records RIC0515)
1. The Football Blues
2. Queen Bee
3. Pick of the Litter
4. But I Do
5. Cowboys and Indians
6. The Mardi Gras Song
7. Too Blue
8. The Truth Will Set You Free (Promises, Promises)
9. Homemade Songs
10. Seize the Moment
11. Rose
12. Always Been a Gambler
13. Here I Go Again
14. Tennessee Blues
15. Sweep 'Em

ボビー・チャールズの2008年発売のオリジナル・アルバムです。
このアルバムも前作の「Last Train To Memphis」同様、アウトテイク集のようで、新録を期待してたのにちょっと残念でした。

しかしながら、このアルバムも犬と戯れてるアルバムと全く変わらない、アーシーで長閑なサウンドがいっぱい詰まってます。

ボビーの枯れた味のある暖かな歌声はいつ聴いてもいいね。それと、聴いて一発でそれと解るサニー・ランドレスの個性的なスライド。これがボビーのサウンドにぴったりマッチしてるんだよね。相乗効果ですよ。最高です。

2009年2月9日月曜日

Big Sam's Funky Nation / Peace, Love and Understanding


『Big Sam's Funky Nation / Peace, Love and Understanding』
1. Up In Here
2. Keep Movin'
3. Dozenland
4. T.M.P.
5. Yu Blockin'
6. The Way It Is
7. Exploding Hearts & Minds
8. Wishful Thangs
9. Up In Here
10. We Got It
11. Feelin'
12. Peace, Love & Understanding

ニューオリンズのジャズ・ファンクにも好きなバンドは結構いるのですが、その中でも新作が出たら必ず購入するバンドの一つが、ビッグ・サムズ・ファンキー・ネイション。

デビュー・アルバムからのお気に入りで、3作目となるこのアルバムも相変わらず重量級のリズム隊がぶりぶりファンクしてます。そして、意外とキャッチーなサウンドなんですよね。車走らせながら爆音で聴くと、そりゃ~もう爽快です。

一曲目や(9)は、P-Funkをもっと重低音にしたようなファンク・ナンバー。アイヴァン・ネヴィルがボーカルで参加してます。

(2)では変調を繰り返しながら、怒涛の如く進撃するかのようなサウンド。これにはシビレましたね。後半は全く別の曲をくっ付けたような構成で、リズムがまた超ヘビー。その上にサムのトロンボーンやギターがクールに暴れる。これはホント凄まじい。
このサウンドは一度走り出したら止まらない超特急エクスプレスだ。途中下車は許されない。

2009年2月8日日曜日

Six Strings Down / Six Strings Down


『Six Strings Down / Six Strings Down』 (Hot Tamale Records 1002)
1. The Guitar Song
2. Rough In That Stuff
3. That's How Strong My Love Is
4. Pawn Shop Man Blues
5. Devil In Drag
6. Dreams
7. Inner City Blues
8. Snatch It Back
9. Radio
10. Open Up Your Mind

ニューオリンズの若手ギタリストJohn Lisi、Billy Iuso、West Bank Mike Doussan、Josh Garrett。それぞれ自己のバンドを率いて活動している4人のギタリストが集結し、作り上げたアルバム。ブルース・ロックやサザン・ロックといった感じのサウンドで、実にファンキーでイカシたギターアルバムでした。

1曲目のローダウンなシャッフルや2曲目のニューオリンズらしいファンキーなサザン・ロック、この辺りのサウンドは結構カッコいい。やはりギタリストが4人もいるとギターに厚みが出るね。それに、それぞれ個性もありますから、絡み合ったギターを聴くのも面白かった。あと、オールマンの(6)とかね、マーヴィン・ゲイの(7)なんかはもうファンクでね良かった。John Lisi作の(9)は、キャッチーなメロディーのサザン・ロック。ギター・ソロでの4人の掛け合いは結構ドラマチックで好きですね。技を凝らして巧みにというのではなく、感性で弾いてる感じは、好きな所ではあるのですが、折角個性的な4人がいるのですから、凝ったギターアンサンブルも聴いてみたかったという気はします。

2009年2月3日火曜日

Washboard Chaz Blues Trio / Mix It Up


『Washboard Chaz Blues Trio / Mix It Up』
1. Busy Bootin'
2. Sailor Blues
3. Don't Leave Me Here
4. Call It Love
5. Go Round and Round
6. Summer's Gone
7. I'm So Glad
8. Insane and Crazy Blues
9. 1st Shot Got Him
10. Special Streamline
11. Mother Died
12. Falling Down Blues
13. Dodge
14. So Much Trouble
15. Oh, Oh, Oh

ウォッシュボードを掻き鳴らしながら歌うウォッシュボード・チャズ、リゾネーター・ギター弾きのロベルト・ルティ、ハーピストのアンディJ.フォレスト、というシンプル且つユニークな編成でブルースを演奏する、ニューオリンズのアコースティックなバンドです。

カントリー・ブルースをジャグ・バンドのリズムでやってるんですが、このウォッシュボードを掻き鳴らす「シャッカ、シャッカ、シャッカ、シャッカ、カララララ~」ちゅう独特のリズムと、ザクザク軽快に刻むリズムギターとのアンサンブルはダンサンブルでとても愉快だ。ついつい体が踊りだしそうな位のノリの良さ、ニューオリンズの人達はこれで踊ってるんじゃないかな。それに、チャズの何処となくすっ呆けたような歌い方は、愛嬌があって和ませてくれます。ホント大好きなバンドですね。

今回のアルバムで通算4作目となるわけですが、当初よりずっと一貫したスタンスを持ち続けています。この不変的なユニークなサウンドは、例えギタリストやハーピストが交代しようとも、チャズさえ居れば変わることはないと思います。実際、ハーピストがアンディJ.フォレストに変わり、より磨きが掛かって最強になりましたね。

お気に入りは、ブッカ・ホワイトのトレイン・ソングの名曲(10)。チャズのウォッシュボードとルティのアコギで刻むリズムは、高速回転する「シュッシュッ、ポッポ」で、ハーモニカが汽笛を鳴らす。常套手法だがこれがツボにはまって最高ですね。

スキップ・ジェームスの(7)はチャズの歌が特にいい。(2)でベースラインをとってるのはスーザホンかな?タメの効いたゆるいスロー・ブルースもたまらんです。哀愁漂うバラードの(11)などなど。メリハリもある良いアルバムでした。

2009年1月28日水曜日

Moanin' At Midnight : The Life and Times of Howlin' Wolf


『ハウリン・ウルフ ブルースを生きた狼の一生』 (P-Vine Books)
ジェイムズ・セグレスト、マーク・ホフマン共著 訳:新井 崇嗣
EP盤 「モーニン・アット・ミッドナイト / ライディン・イン・ザ・ムーンライト」

延期延期で少々忘れかけてたハウリン・ウルフの伝記が、今日、突然我が家に届いていた。5千円払わされた嫁にはブーブー言われてしまったが、毎度の事だ。
4、5年前、Living Blues誌で紹介されてた本で、日本語訳が出てほんと良かった。
ずっしりと重たく、本の作りも丁重で申分ない。手に取って表紙眺めて、これだけでも満足した気分になったのは自分だけだろうか。
今日はハウリン・ウルフを聴くとしよう。レコードで聴きたい気分だな。
本の中身をパラパラ見てみると、40年代から70年代までの写真も何十枚か掲載されてます。しかし、インデックス等を省くと全354ページ。果たして完読するのはいつになることやら。エルモア・ジェームスの伝記もまだ読んでないのに...

2009年1月27日火曜日

Bobby Rush / Look At What You Gettin'


『Bobby Rush / Look At What You Gettin'』 (Deep Rush DRD-1004)
1. Another Kind Of Fool
2. Ain't No Love Like My Baby's Love
3. Let Me Love You
4. Look At What You Gettin'
5. I Got 3 Problems
6. Hooked On You
7. Get Up, Show Me What You Working With
8. She's Fine
9. I Should Have Left You
10. She Ain't Lovin' Me Like She Oughta
11. Train And My Hound Dog

見るからにバイタリティ旺盛で、いつまでもチャレンジ精神を持ち続けてるボビー・ラッシュ。前作はアコースティックなブルース・アルバムを出して、僕は結構お気に入りの一枚でした。今回は「Night Fishin'」路線で、よりファンキーになったソウル・アルバムです。歌やハーモニカの節回しは、ボビー・ラッシュそのもの。映画で観たステージのサウンドに近い感じなのですが、シンセサイザーや打ち込みみたいなのを多用してて、今時の音なのでしょうけれど、どうもこの機械的なリズムが苦手でして。ただ、ソウル・アルバムにしてはハーモニカの活躍の場が多かったのは良かった。曲自体も割りと良い曲が多くて、中でも一番良かったのは(11)。ルーファス・トーマスを思い出すユーモラスなR&Bナンバーで、ファンキーなリズムに絡むボビー・ラッシュ節のハーモニカ、ブルージーだね。それに犬の鳴き真似がまた面白い。しばらく耳に残りそうだ。

2009年1月26日月曜日

Marcia Ball / Peace,Love & BBQ


『Marcia Ball / Peace,Love & BBQ』 (Alligator ALCD-4922)
1. Party Town
2. Peace, Love & BBQ
3. Miracle In Knoxville
4. Watermelon Time
5. Down In The Neighborhood
6. Where Do You Go?
7. My Heart And Soul
8. I'll Never Be Free
9. Married Life
10. Falling Back In Love With You
11. Right Back In It
12. Ride It Out
13. I Wish You Well

マーシャ・ボールは、テキサス州オースチンを本拠地として活動してるベテランのピアニスト&シンガーだが、そのサウンドはルイジアナとニューオリンズが基となってます。

ちょっぴりハスキーな歌声が魅力的で、ブギウギなピアノで軽快にノリまくるのが持ち味というか好きな所かな。自分のサウンドを持ってる人ですね。

今回のアルバムでも1曲目、2曲目と軽快なノリのニューオリンズR&Bで、「マーシャ・ボール」ちゅうサウンドだ。

そして、気に入ったのは(4)で、ドライブ感のあるセカンド・ライン・ビートにプロフェッサー・ロングヘアを想わせるブギウギ・ピアノ。途中入るギターソロが結構スウィンギーで、そこだけジャンプ・ブルースみたいで面白い。楽しい曲です。

(6)(8)はソウルフルなバラードで、特にDr.ジョンとデュエットしてる(8)がいい。Dr.ジョン渋い。しんみりと聴かせてくれます。

(9)はピアノをアコーディオンに持ち替えてのケイジャン。カラッとした明るいサウンドはやっぱ楽しいね。

ジャジーなバラード(10)、ロックンロール・ナンバーの(11)などなど、いろんな曲が楽しめて良いアルバムでした。

2009年1月23日金曜日

John Boutte / Jambalaya


『John Boutte / Jambalaya』
1. Two Bands Rollin'
2. It Don't Cost Very Much
3. A Change Is Gonna Come
4. Shake My Gate
5. Sisters
6. All These Thing That Make You Mine
7. Treme Song
8. Battle Hymn Of The Republic
9. That's My Desire
10. Hey, That's No Way To Say Goodbye
11. At The Foot Of Canal Street
12. Didn't It Rain
13. Why
14. Hot Time In The Old Time Tonight
15. If I Had My Life To Live Over
16. I Washed My Hands In Muddy Water

2008年に再発されたジョン・ブッテのベスト・アルバム。
代表作が網羅されてますが、いろんなタイプの曲があってジョン・ブッテ・ワールドを十二分に堪能することができました。
新作で再録された(5)(7)(11)のオリジナル・バージョンも聴けます。アレンジの違いなど聴き比べるもの楽しいものです。
何回聴いてもハートにじ~んと響いてくる歌声。
やはりジョン・ブッテは最高のシンガーだ。

2009年1月22日木曜日

John Boutte with Conspirare


『John Boutte with Conspirare』
1. Wayfarin' Stranger
2. A Change is Gonna Come
3. Please Send Me Someone To Love
4. A Thousand Beautiful Things
5. How I Got Over
6. Go Tell It On The Mountain
7. Home
8. I Could Have Danced All Night

2006年12月10日、テキサス州オースチンに在る"The Carillon"というコンサート・ホールで、"Christmas at the Carillon"というクリスマス・コンサートが開催されました。

ジョン・ブッテはオースチンのコーラル・グループ Conspirare と共演し、その時のライヴが収録された Conspirare名義のアルバム"Love Calls You"の中から、ジョン・ブッテが歌った8曲を編集されたものが今回のアルバムです。

ピアノと聖歌隊、それにジョン・ブッテというシンプルな構成で歌われたこの8曲は、残響効果のある特殊なホールも手伝って、それはもう言葉に出来ないくらいに麗しく感動的です。

ピアノの伴奏で歌うサム・クックの(2)とパーシー・メイフィールド(3)。こんな素晴らしい「ア・チェンジ・イズ・ゴナ・カム」を僕はこれまでに聴いたことがない。ざわ~って鳥肌たって、ただただ感動。続いて(3)でもうノックアウトですよ。

ゴスペル・クワイアも素晴らしい(5)。力強く歌うブッテのゴスペルにも痺れます。こういう曲を聴くと、やっぱり教会で聴いてみたいと思いますね。

(7)では、聖歌隊のハーモニーの美しさにほろりです。そして、ブッテの歌。神神しいほどに美しくて泣けます。

最後に大きな拍手と歓声が湧くのですが、それですら感動してしまう。あ~、その場に居合わせたい。

2009年1月21日水曜日

John Boutte / Good Neighbor


『John Boutte / Good Neighbor』
1. Door Poppin'
2. Good Neighbor
3. Showing Up For The Party
4. The Eternal Now
5. Southern Man
6. Wake Up
7. Cutting Heads
8. Sisters
9. Broke Down The Door/The Treme' Song
10. Love Ya' Mean It
11. My Life
12. Foot Of Canal Street
13. Accentuate The Positive

ジョン・ブッテは今活躍してる人たちの中でも最高のシンガーだと思います。
ちょっぴりハスキーでハイトーンの歌声は、時おり中性的な感じを受ける時もあるけれど、そのずば抜けた歌唱力と感情表現の豊かさは、やはり一流です。心にじ~んと響いてくるんですよね。

今回の新作では、リロイ・ジョーンズやジェームスとトロイのアンドリュース兄弟、クレイグ・クライン、アイヴァン・ネヴィル、ポール・サンチェスなどニューオリンズの腕利きが大勢参加してます。これだけ勢揃いするとニューオリンズですから豪華なサウンドがと思いがちですが、実は至ってシンプルでシック。

ジャズは勿論、セカンド・ライン物、R&B、ソウル、ゴスペルなどなど幅広く歌いこなすジョン・ブッテですが、今回はなんとニール・ヤングの「サザン・マン」を取り上げております。気に入ったものは何でも吸収して自分のものにしてしまう雑食性は、ニューオリンズならでは。これが個性となるんでしょうね。ブッテらしいアレンジとニューオリンズらしい独特のグルーヴは最高です。

ブルージーなギターとセカンド・ライン・ビートに乗ってファンキーに歌う(1)、ソウルフルなバラードの(3)や(11)。特に(11)は切なくなるほど感動的な歌。歌詞が解ればと残念に思うのですが、楽器の一つとして聴いてしまう歌声にこんなに感動させられてしまう。また、ゴスペル調のお得意の(12)などなど全曲素晴らしいです。

2009年1月18日日曜日

Get Hip Showcase 2 Favorite Title '00~'08


『Get Hip Showcase 2 Favorite Title '00~'08』 (Get Hip GC-012)
1. Cabaret 2008 / Little fats & Swingin' hot shot party
2. What Can Say After I Say I'm Sorry / Fat joyHum(Tsubasa)
3. Is It True What They Say About Dixie? / ちょい濡れボーイズ featuring 新井武人
4. Exzactly Like You / Fat joyHum(Sara)
5. The Frim Fram Sauce / Little fats & Swingin' hot shot party
6. Stupid Cupid / The Skabays
7. メエ / モノポリーズ
8. Misaki / ふたり乗り
9. I Want You to Be My Baby / Bogalusa
10. Shine / ちょい濡れボーイズ
11. Sweet Sue Just You / Little fats & Swingin' hot shot party
12. Carpet Alley-Breakdown / Old Southern Jug Blowers
13. It's Only a Paper Moon / ちょい濡れボーイズ
14. Rock Candy / Hot Saxy
15. On the Sunny Side of the Street / Little fats & Swingin' hot shot party
16. Wrap Your Troubles in Your Dreams / Bogalusa

ゲットヒップ・レコードという日本のレーベルのベスト・トラック編集盤。
ジャグ・バンドを中心にジャイブ、ブルース、ウエスタン・スウィング、30年代のオールド・タイミーなジャズなど、楽しくなるようなアメリカン・ルーツ・ミュージックがたっぷり収録されております。

日本で知ってるジャグ・バンドはMad-Wordsかバンバンバザールくらいで、このアルバムに入ってるバンドは全く知らなかったのですが、ジャズの名曲がずらっと並んでたので結構楽しめました。

どのバンドも演奏上手くて良くスウィングしてますね。中でも比較的気に入ったのは、まずは、Bogalusa。ルイ・ジョーダンで馴染み深いジャイブの(9)。ブルージーなギターがいいね。オールド・ジャズの名曲(16)もいい感じだ。

オールド・ジャズといえば、もっとも好きな(15)。30年代の大恐慌の時に作られた曲でね、元気でるよね。ホントいい曲だな。

ちょい濡れボーイズも好きだな。ギター2本にウォッシュボードという3人組みで、ゲストでアコーディオンとベースが参加してます。少人数ということもあってかウォッシュボードが凄く効いてます。デキシーランド、ニューオーリンズのジャズはやっぱいいね。

(12)のOld Southern Jug Blowersは、唯一ジャグを使ってる大所帯の古典的なジャグ・バンド。ジャグが「ぶお~」って何とも言えないいい味出してますね。これは正しくデキシーランド・ジャグ・ブロワーズちゅう感じで、とても楽しいサウンドでした。

ジャグにしろジャイブにしろ、皆で陽気に騒いで楽しまなきゃという音楽の根本だよね。これはのめり込んじゃうね。

2009年1月15日木曜日

Harmonica Hinds / Harmonica Hinds-Finally


『Harmonica Hinds / Harmonica Hinds-Finally』
1. Wake the Spirit
2. Goin Down to the River
3. It's So Cold
4. You Got it Good
5. Take Your Time
6. Stop Complaining
7. Imelda
8. Harmonica Hinds Shuffle
9. Don't You Steal My Money
10. Can't Stay Here Forever
11. That Old Dichotomy
12. Connected With the Sun

シカゴのバディ・ガイズ・レジェンドをホームグラウンドとし、定期的にライブを行ってるハーピストのハーモニカ・ハインズ。

70年代初頭にシカゴに移って来て、ジュニア・ウェルズなどを見てハーモニカを覚えたそうですが、そのウェルズの本拠地、テレサズ・ラウンジのハウスバンドを務めたこともあるらしいです。

ギターとハーモニカ、そしてタンバリンを単独で演奏するアコースティックなライブをするそうですが、今回のアルバムは、エディ・テイラーJr.などが参加して、オーソドックスなシカゴ・ブルースをバンド・サウンドに乗っけてやっております。

冒頭を飾るのは、ファンキーなハープ・インスト・ナンバー。ハインズのハーモニカも素晴らしいのですが、どうしてもエディJr.のギターに耳が行ってしまう。この存在感たるや大したものだ。やはり血は争えないって感じですね。

(2)は伝統的なシカゴ・ブルース。ハインズの歌は今一だが、ハートに沁みてくるハーモニカの音と親父さんを想わせるエディJr.のギター、心地いいね。

歌入りとインストは半々くらいの選曲ですが、断然インストの方がカッコいい。

(7)とか(12)あたりが単独のアコースティック・ライブでやってるみたいな曲かな。オーガニック・サウンドでなかなか渋いですね。

2009年1月12日月曜日

Eddie Taylor Jr. / I Got To Make This Money,Baby


『Eddie Taylor Jr. / I Got To Make This Money,Baby』 (Wolf 120.817)
1. I Got To Make This Money, Baby
2. Salute To Eddie Taylor
3. Train Fare Blues
4. My Little Machine
5. Mama, He Treats Your Daughter Mean
6. That's All Right
7. Goodbye Williee Kent
8. I'm In the Mood
9. Take Your Hand Down
10. Just A Little Bit
11. Biggest Blues Fan
12. Whiskey Headed Woman

エディJr.はエディ・テイラーの3番目の息子で、幼い頃からブルースに触れ合って成長したようだが、実際、関心があったのはヒップホップだったそうです。それが、親父さんのアルバムを聴き始め、ギターを弾くようになった。血は争えないって事ですね。

エドワード・テイラーでデビューして、エディ・テイラーJr.に改名し、今回の最新アルバムに至るまで、一貫して根本的にエディ・テイラーを継承しているサウンドだ。

特に(2)では、ジミー・リード+エディスタイルで、今回全面的に参加してるハーピスト、ハーモニカ・ハインズの素朴で味のあるハープを伴って、正しくあのサウンドを鳴らしてて涙もんですわ。曲名通り、エディ及びブルースに対する尊敬の念を感じます。

黄金時代のシカゴ・ブルースを想わせる、飾り気や誇張のないクリーンな音色で、終始ゆる~いサウンドは、ガツンという感じじゃないけれど、ふわっとした心地良さでホント気持ちのいいサウンドです。
エディJr.はサイドマンの仕事も目を見張るものがあるので、そちらも楽しみですね。

2009年1月10日土曜日

Buddy Guy / Skin Deep


『Buddy Guy / Skin Deep』 (Zomba 88697-31629-2)
1. Best Damn Fool
2. Too Many Tears
3. Lyin' Like A Dog
4. Show Me The Money
5. Every Time I Sing The Blues
6. Out In The Woods
7. Hammer And A Nail
8. That's My Home
9. Skin Deep
10. Who's Gonna Fill Those Shoes
11. Smell The Funk
12. I Found Happiness

バディ・ガイの最近のアルバムはというと、ファット・ポッサム系のデルタ・ブルースをやってみたり、弾き語りのカントリー・ブルースやR&B、ソウルをやってみたりと、テーマを決めて制作してました。今回はブルース・ロックしてまして、バディのあの、魂をヒステリックなまでに搾り出すような歌やギターも今なお健在で、よりバディらしいアルバムかなと思います。

ゲストはデレク・トラックスやスーザン・テデシ、エリック・クラプトン、ロバート・ランドルフなど多数参加してますが、その中でも天才ギター少年のクイン・サリバン君の参加は驚きでした。ジャケットの中に写真も載せて、よっぽど気に入ったみたいですね。

1曲目からバリバリロックしたアルバムですが、僕は(4)(6)(8)あたりが好きかな。

(4)はどっしりとした重心の低いシャッフル。流石にノリがいいね。(8)ではサザン・ロックバンドがやりそうなロックン・ロール・ナンバーだが、これが実にカッコいい。

そして(6)、「スティル・ア・フール」タイプの緩いデルタ・ブルース。ロバート・ランドルフの神秘的なステール・ギターでのスライドとバディの太くてマイルドな335。その合間を縫うようにして流れるネイザン・ウィリアムスのアコーディオン。いい味出してるよね。

バディは曲によってメインのストラト、テレキャスター、ES335と使い分け、時にはジェリー・ジョーンズ・シタールまで演奏してて、何つってもバディ・ガイですから、そりゃー楽しめるってもんです。

次はもう一度、ハーピストとのコンビも聴いてみたいですね。ハーモニカ・ハインズあたりでどうですか。